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カメ吉の話①


兄のところには一匹のカメがいる。
正確に言えば、姪っ子のカメ。

姪は生きものが好きだ。おかーさん(義理姉Mちゃん)が生きもの好きだからなのかなー。

姪っ子の生きもの好きはなかなかで、彼女が幼稚園のころ、家に帰ってかばんを開けると、何かしらの生きもの(昆虫とか)が出てくることがよくあったらしい。

姪小学校3年生、夏休みの自由研究は、浜辺の生きものの観察だった。足しげく海辺や磯に通って、写真を撮り、それについて詳細に調べてまとめた、たいそう立派なものだった。


ところで、私の実家は米農家で、私も田植えと稲刈りだけは手伝っている。うちのお米は美味しい、と思う。時々他のも食べるけれど、やっぱりうちのコシヒカリは美味しい。そのお米をいただくには、年2回くらいは手伝いをしないと。

田植えは毎年、家族総出で行う。もちろん今では機械で植えるから、黒波(新エヴァの)がやってたみたいな手植えはしない。だけど、軽トラで田んぼまで苗箱を運んだり、田植え機に苗を補充するのを手伝ったり、空になった苗箱を回収して洗ったり、何かと手が必要なのだ。

小学校4年生だった姪は、まだ田植えの手伝いができないから、苗箱洗いをするおかーさんのちかくで遊んでいた。

オタマジャクシだの、カエルだの、ザリガニだの、姪っ子がそういうのと遊んでいた時らしい。用水路で、あれカメじゃね?みたいのを見つけた。その姿はすぐ消えてしまったみたいだけど、彼女はいったん家に戻って、バケツと網を取ってきて、また用水路を見ていた。根気強く待っていたところ、やっぱりカメじゃね?みたいなのが現れたらしい。すかさずそれを捕まえて、バケツに入れた。体長3cmくらいの小さなカメ。

姪は父と母に許可をとり、そのカメを飼うことした。少しだけ水を入れた水槽に、小さなカメがいた。姪は指先にエサをくっつけて、直接ごはんをあげていた。

えー、怖くないの?かまないの?
心配になって私は聞いた。
ぜんぜんだいじょぶだよー、かわいいよー。
と姪。

姪がつけたこのコの名前が、カメ吉。

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