先送り癖と戦う人のための卒業論文の書き方

ADHD傾向の人間の大きな特徴の一つに「先送り癖」があります。本記事は、かなり重度の先送り癖を持つ筆者がいかにして卒論を提出したかと、その経験に基づく同様の人種へのご提案です。計画的に書ける人は、ぜひそうしてください。
(実際にADHDかどうかは診断を受けていないのでわかりませんが、事実私の重大な欠陥として「先送り癖」があり、これによって卒論も就活も大変苦労してきたことは確かです。)

本記事を開かれた方もまず間違いなく卒論締め切りの接近に恐怖心を抱き、逆にWordファイルや大学からのメールが開けなくなってしまった悲しき先送りモンスターの方かとお見受けします。
とはいえ卒論ばかりは提出しないわけにもいきませんので、「とりあえず提出」にまで漕ぎ付くための、私なりの先送り癖対策を(自分自身のために)書き残したいと思います。

そもそもの、先送りして得をすることなんて何もないだなんて話は先送り人間からしたら分かり切った話で、大きなお世話と言うほかありません。分かっているのに謎の恐怖心でできないから困ってしまうんですよね。

全体的な目的は、先送り癖特有の「謎の恐怖心によるフリーズ」を防ぐこと、この一点です。謎フリーズしない方には、もっと別の卒論の書き方に関する書籍があります。大学図書館にきっとあるので、そちらを読んでください。

1 卒論のテーマを決める

卒論のテーマは、ゼミ・研究室に入った段階でなるべく早く決めてしまったほうがいいかもしれません。というのも、三年春時点でテーマを決めた場合、論文集めや基本的な知識の蓄積をさっさと始めることができるからです。
私が卒論テーマを決めたのは4年春~初夏頃でしたので、論文集めやその読みに大いに時間を取られ、そのことも焦りと恐怖に繋がってしまいました。
卒論そのものに取り掛かる前に、そのテーマに関わる語句や常識的な部分を理解する時間を取る、という意味で卒論テーマ決めは三年春をお勧めします。

2 卒論テーマに関する基本的な知識を理解する

上でも述べましたが、これには時間がかかります。関りがありそうな語句や研究史は目を通しておいて損はないでしょう。
ただ先送り人間はこういうのが本当にできないので、手順をかみ砕きます。

  1. 図書館へ行き、辞典を引いてテーマに関係する語句の内容を読む(辞典には研究史や大事な論文のタイトルが掲載されていることがあり便利)

  2. 辞典に載っている参考文献をメモ

  3. 参考文献を学内から探し、コピー・データ化し手元に置く

  4. 学内に無い参考文献は取り寄せる(多少お金がかかりますが、国立国会図書館や各学校の取り寄せ方法があります、便利)

  5. 何についての文献なのか忘れないうちに読む(理想は一か月)

  6. 読みながら内容を「卒論ノート」的なものにまとめる

つまずきやすいのは、3と4と5です。ほぼ全部ですが、Todoリストを作成する等して自分に達成感を与えながら頑張ってみましょう。
筆者はこの時点で卒論提出半年~2か月前くらいです。大いに反省しています。

3 図書館が閉まる前に文献を借り終える

2をやると、卒論に必要な「前置き」部分(テーマについての先行研究の流れなど)が概ね分かります。それらを、なるべく全てデータ化し終えてしまいましょう。
なぜ文献集めから先にやるのかと言うと、「自分で検証する本論」部分の作業と、「前置き」部分に関する作業のマルチタスクをやろうとすると狂ってしまうからです。
先送り人間は、マルチタスクをやろうとすると頭の中がめちゃくちゃになってしまいます。その「めちゃくちゃ」感を不快だ・不安だと感じている状態が数か月続くと本当に心身が弱ってしまい、そうなると一番よくない状況です。私はこの不快感に脳の容量を支配され続けて簡単に病んでしまうので、あまり何事も深く考えたり、不快さについて掘り下げたりしないほうがいいと感じています。
また、先送り癖を持つ方は往々にしておっちょこちょいかと思われますので、USBへの保存の他、クラウドへの保存、PC本体への保存、外部の何かしらへの保存と保険はたくさんかけておきましょう。
筆者は最終的に友人たちとのDiscord鯖へデータを投げていました。

4 自分の本論へ取り掛かる

「前置き」部分に関する情報、必要な資料を集め終わったら、本論へ取り掛かりましょう。どうせ先送りするので、切羽詰まった時にそれらの資料は無理やりにでも読むでしょう。
集めた資料のリスト化等も必要ありません。そんなことをしている暇があったらさっさと本論へ取り掛かるほうが良いです。資料のリスト化をしている間に筆者は1か月過ぎていました。これもまた一種の先送りです。

卒論はものを調べた後に、自分なりの何らかの結果と、得られた結果からの考察をしなければならないので、とにかく予想でもいいので結論が欲しいところです。本論に取り掛かるといっても、具体化されないものは全て先送りしてしまうものかと思いますので私の例を挙げると、

  1. 自分の持っている資料と残り時間から、できそうな検証方法を考える

  2. 予想でいいので得られそうな結果を出す

  3. 多分こういうことが言えるだろうという考察を出してみる

  4. 論文全体の目的・意義(書かないといけないやつ)を考える

  5. 検証の作業を無心でやる

先送り人間にとって一番の敵は「不安」です。不安感があるから先送りにし、不安感によって全てが滞ってしまいます。
であれば、不安を感じる前に先に論文のゴールを設定してしまいましょう。
途中で予想していた結果と異なるなと分かれば、別にそこから考察をし直せばよいだけです。不安を感じる要素を極力避けて、無心で作業ができるようにすることのみが重要かと思います。
筆者はこの方法を取った瞬間ある程度の不安が消え、作業をすることができるようになりましたが、なんとこの時点で12月も半ばを過ぎていました。恐ろしい話です。

5 締め切りに間に合うように書く・誤字脱字を確かめる

本論に関する作業ができているのなら、あとは特に問題ありません。文字に起こしていくだけです。先送り人間はとにかくゴールを最初に設定し、不安を解消する必要があるため、AIに論文の目次を考えてもらうのもいいと思います。私はそうしました。

文字に起こしている際、最も怖いのはデータの破損です。聞いた話によると、大学入学時点で購入したPCというのはだいたい4年程で壊れてしまうものらしいです。最近のPCは性能が良いのでそういうわけでもないのでしょうが、用心しておくことに越したことはありません。こまめに保存をし、データは複数の場所へ置いておきましょう。
USBには名前を書いておくほうがいいです。私は年末年始の間、USBを学内に置き去りにして気が付きもしませんでした。

完成したら、誤字脱字をチェックしましょう。余裕があれば教授にも添削してもらい、内容を修正するのが良いと思います。
私は本当にぎりぎりまで完成しなかったので無理でした。

誤字脱字にはWordの読み上げ機能が便利です。参考文献欄も注意しましょう。注意力散漫な人間であることを念頭に置いて、三回ほど読み直すとさすがに大丈夫かと思います。
筆者はこの段階で提出締め切り日の午前11時頃でした。ギリギリにもほどがあります。

6 印刷し表紙を付けたり形式を整えて提出

卒論提出完了までには、多少時間がかかります。筆者の場合、受付担当の方は一人で卒論受領の手続きを行っていました。提出時には数人ほど前に並んでいましたし、規模の大きな大学では、もっと長い列になっていることも考えられます。
そのため、提出までの形式を整え終わるのは、遅くても卒論締め切り1時間前です。(間違いや忘れ物の可能性を考えるともっと早い方がいいですが、それを言うと1日前には完成していた方がいいに決まっています)

また、忘れてはいけない持ち物は学生証と印鑑の二つです。
提出に必要なので、忘れないように家を出る前に確かめましょう。筆者はどうせ忘れるので常に持ち歩いています。


以上、先送り癖に悩む人間なりの卒論提出方法でした。
先送り癖に悩む人間たち、強く生きて行こう。


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