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自尊心のかけら

自尊心が低かった時代、小さな散財を繰り返した。今も残っているものは一つもない。

買っただけで満足したガラクタたち、脂肪になるだけのジャンクな食べ物。

それらに消えていったお金。

手近な欲に負けていたあの日。

今思えばバカだなあと思えるが、その頃は世界がクリアに見えなくて、ボヤけていて身の回りしか見えていなかった。視力はあっても心の目が曇っていた。

今も全てクリアになったとは言い難いが、原因と結果について、結局は全て自分で引き受けるしかないのだと気づいて、自分をごまかすことをしなくなり、ごまかすために必要だった手近な欲に負けなくなった。

そして見過ごしていた小さなものたちに目がいくようになった。

名もない路地の小さな花、道端に逞しく生きる猫、飼い主との散歩を楽しむ犬、それらの愛おしさに心が癒されていくのを感じた。

花たちや動物たちは自分を飾ることをしない。

それでもなんと美しいのかと、その佇まいを思うとき、ありのままでいることの大切さを教わる。


そのままでいい


そのことを気づくのに何年もかかってしまった。