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後輩指導で疲れる薬剤師

薬剤師の佐藤さんは、町の薬局で長年働いていました。ある日、新しい後輩の山田君が配属されました。山田君は薬学の知識は豊富で、自信満々でした。しかし、実務経験が少なく、仕事のミスが多発しました。それにもかかわらず、山田君は自分が仕事をきちんとこなしていると思い込んでいました。

最初の数か月、佐藤さんは山田君の指導に力を入れましたが、山田君は自分のミスを認めず、「自分は完璧だ」と自負していました。佐藤さんはその態度にイライラしつつも、指導を続けました。しかし、山田君のミスは減るどころか、むしろ増えていきました。

ある日、山田君が患者さんに間違った薬を渡してしまうという重大なミスが発生しました。佐藤さんはそのフォローに追われ、一日中大変な思いをしましたが、山田君は「これくらいのミスは誰でもする」と軽く受け流しました。佐藤さんのストレスは限界に達しつつありました。

日々の業務の中で、佐藤さんは山田君のミスを何度もカバーしましたが、山田君はその度に「自分はちゃんと仕事をしている」と信じて疑いませんでした。佐藤さんは上司に何度も山田君の問題を報告しましたが、具体的な改善策は取られませんでした。山田君の自信満々な態度は変わらず、仕事のミスは続きました。

10年が経ち、山田君は相変わらず自己評価が高く、自分が有能な薬剤師であると思い込んでいました。佐藤さんのストレスは日に日に増していきました。彼は上司に再度直談判しましたが、山田君の態度や行動は変わりませんでした。

ついに、佐藤さんは自分の限界を感じ、薬局を辞めることを決意しました。退職の日、山田君は佐藤さんに「あなたの指導のおかげで、僕は一人前の薬剤師になれました」と感謝の言葉を述べました。その言葉に、佐藤さんは苦笑いを浮かべながら、「そうか、頑張ってな」とだけ言いました。

薬局を去った後、佐藤さんは新しい職場で働き始めました。そこでは、自分の経験とスキルを存分に発揮でき、ストレスの少ない環境で働くことができました。山田君は相変わらず自信満々で薬局に残り、ミスを繰り返しながらも、自分が有能であると信じ続けていました。

佐藤さんは、山田君のような後輩に出会ったことを教訓にし、自分の限界を認識し、適切なタイミングで行動することの重要性を学びました。

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