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さよなら興行、ニューシネマパラダイスを見て昔を思い出す



   福岡にある中洲大洋映画劇場という映画館が、建物の老朽化により今月末で閉館となり78年の歴史に幕をおろします。普段足繁く通っていたとは言えないが福岡で映画を見る時はこの場所をよく選んでいた。赤色とティファニーブルー色の座席、手書きの映画紹介文章やパネルや、公開映画のラインナップが好きだった。せっかくなら映画館で見たいけど人が多過ぎるのは嫌だなあと思う自分にとって貸切になる穴場でもあった。ジョジョラビットを見た時は自分ともう1人しか客がいなかったと思う。


    中洲大洋映画劇場さよなら興行でニューシネマパラダイス上映することを知り、見に行った。この映画を見たのは10年ほど前で、大学生の時。当時すごく見たくて見たという訳ではなく、映画音楽を部活で演奏するから作品を見てみようというのがきっかけだったと思う。実際に見て音楽、ロケーション、ストーリーが美しいと思った気がする。
    今回は見たくて見に行ったのに、映画を見てあれ?こんな映画だったっけ?と思う部分やシーンが多かった。10年前の記憶を蘇らせながら見たからしょうがない気もするし、感動したことを忘れてる自分にショックもある。見終わった後ニューシネマパラダイスについて調べると完全版と劇場公開版がある事を知った。昔見たものが完全版で、今回見たものが劇場公開版だった。上映時間が30分ほど違ったので、それは違和感感じるよなとほっとした。自分の記憶力が衰えてるわけでは無かったと安心できてよかった。 

 

    印象的な場面は昔と変わることもある。トトがアルフレードに映写室からの景色を見せてもらった場面だ。自分が小さかった頃時々公民館で映画上映があった。親の仕事が終わるまで公民館の中を散策しながら待っていた時、係のおじさんが隙間からこっそり映画を見せてくれたことを思い出した。仕事を終えた親がすみません、と謝りそのおじさんがいいよいいよと話していた気がする。20何年も前のことがニューシネマパラダイスを見て急に蘇った。自分にとってのアルフレードだったのかもしれない。あの人の事は何も知らない、どんな流れで見せて貰ったのかも覚えていない。


    大学生の時は映画音楽を中心に考えて見てたから、音楽が流れる場面にばかり注目していたと思う。愛のテーマが流れるのはエレナ関連の場面が多かったはず。でも今回見た劇場公開版はエレナの登場場面も限られてるので、昔のようには思わなかった。2つのverで1つの作品を見たのは初めてだが、2つとも見て良かった。その時惹かれなかった場面が時を跨いで自分に響くことがある、こんなよくある事を忘れていた自分に気づけた。
    他にもトトとアルフレードの関係性、母親の言葉、狭い田舎ならではの距離感等この映画はすっぽりと収めてる。ノスタルジーに惑わされるな、というアルフレードの台詞がある。が、この映画を見てノスタルジーを感じずにいられない。



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