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初夏


立ちどまり、見上げた。
緑のセロファンに見えかくれ
青、赤、黄
たてに揺れ、よこに揺れ、ななめに揺れて
ときどきまわる。
だれもまわせない万華鏡には”こもれび”と名前がついていた。

じぶんがいない、じぶんがこもれびになった
いまだどちらかわからない。
だけど、そのとき、わたしのなかの扉がひらく。

そこには静けさと言葉にならないことが必要で
透きとおった思考に似たものが
あたまからつま先までを、ざぁっとながれる。

わたしのこもれびがはじけて、散らばったひかりが
色濃くうつれば、あたりは夏のおとずれ。



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