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病に倒れたブライアン・メイが作った曲


QUEENのギタリスト、ブライアン・メイというと、責任感が強く真面目で完璧主義な上に、とてもデリケートな性格の持ち主なんですよね。

デビュー当時のブライアン・メイはひょろりと長身で痩せていて、体調を崩す事が多かったそうです。

QUEEN初のアメリカツアー

1974年5月12日はQUEEN初のアメリカツアーが中止になった日です。ブライアンが病に倒れたからなんです。病名は肝炎でした。同年4月から始まったアメリカツアーは中断となり、帰国を余儀なくされました。

更にこの年の8月にも、ブライアンは十二指腸肝炎で緊急手術を受け、9月に控えたアメリカツアーもキャンセルせざるを得なくなったのです。

1974年といえば、デビュー間もないQUEENがようやくアメリカで本格的に売り出そうとしていたとても大事な時期だったんですよね。

そんなQUEENにとって大事な時期に自分のせいでアメリカツアーが中止になってしまい、ブライアンは相当なショックを負ったようなんです。

ブライアンが入院中には、他のメンバーでレコーディング作業が行われ、アルバム制作にも加われずやるせない気持ちだったそうです。

病に倒れたブライアン・メイが作った曲

そんな彼が病床中に思いついて作った曲がこちらです。


◆ Now I'm Here(ナウ・アイム・ヒア:邦題「誘惑のロックンロール」)

直訳すると、

Now I'm Here=僕はここにいるよ

というところでしょうか。

こちらの曲は、初の来日公演の一曲目に演奏された曲として、ファンには印象深い曲でもあるんですよね。

暗闇の中でブライアン・メイのギターのイントロが流れ、フレディがドラマチックに登場するという、初期のQUEENのライブの定番の演出になっていた曲です。

ブライアン曰く、「アメリカでのツアーの衝撃を書いた曲」なのだそうです。

当時モット・ザ・フープルの前座を務めていたQUEENらしく、歌詞にはモット・ザ・フープルが登場したり、ブライアンが心を寄せていたアメリカ在住の女性が出てきたりします。

Down in the city just Hoople and me
街中でフープルと僕の二人きり

Down in the dungeon just Peaches and me
お城の地下の中で可愛い彼女と僕の二人きり

こんな歌詞が続くのですが。

ちょっと待って、ブライアンの本音は実は違うんじゃないの?と思うのです。


ブライアン・メイの本音を深掘り

当時のブライアンのインタビューでは、「入院中、もうバンドから必要とされないかと恐れていた」「何もできない自分に焦っていた」と深刻な精神状態を語っています。

アメリカ進出への足枷になってしまった事に落ち込み、バンドから見捨てられるんじゃないかと日々悩んでいたのです。


そんなブライアンの心情を深読みすると、この曲は実はバンドに向けての心の叫びのようにも聴こえるんです。

Here I stand (here I stand)
僕はここに立っているよ(ここに立っているよ)

Look around around around around around
辺りを見渡してごらん

But you won't see me (but you won't see me)
だけど、君には見えてないね(君には僕のことが見えていないね)


Now I'm here (Now I'm here),
ここにいるよ(ここにいるんだよー)

Now I'm there (Now I'm there)
こっちにいるよ(こっちにいるんだよー)


この歌詞、何度も登場します。
ブライアン、必死のアピールではないですか。

曲名までも"Now I'm Here"(ここにいるよ)です。

暗い病室の中で"自分はここにいるよ!見捨てないでくれー"というブライアンの心の叫びのように聞こえませんか?

"大丈夫、ブライアン・メイなしではQUEENは成り立たないんだから、自信を持って!"と当時のブライアンを励ましてあげたくなるような、ファンの妄想が膨らむ曲です。



そんなブライアン・メイが作った曲がこちらです。


◆ Now I'm Here(ナウ・アイム・ヒア)QUEEN

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