芸術の秋に
秋が深まると少しだけ芸術的なものに触れたくなりますよね。
ということで、先日クラシックコンサートに行ってきました。
ピアノを習っていた程度で、特に素養があるわけではありませんが、クラシックはわりと好きな方で年に何回かコンサートに行っています。
と言ってもチケットが取りやすい人が身内にいるからというのもあるからなのですが。
ここでクラシックについて語ると見せかけて、真逆の「金管楽器が怖かった!」というお話です。笑
もしかしたら私のような人がいたりして?と思って、恥を忍んで心のウチを暴露します。
クラシックに詳しい方ならご存じでしょうが、金管楽器といえばオーケストラの後方に陣取り、主に交響曲の一番盛り上がる場面に登場します。
クラシックコンサートといえば、オーケストラでしょ。と思われますよね。
しかし私が行くクラシックコンサートは、主にピアノとバイオリン主体のもので、ピアノリサイタル、バイオリンリサイタル、ピアノ三重奏,弦楽四重奏、オペラなどが多いです。
どちらかというと穏やかなクラシック音楽が好きで、素人の私にとってクラシックを聴きに行くとは、すなわち癒されに行くのが目的といったところです。
オーケストラの場合、美しいフレーズの生演奏は息を呑むほど感動しますが、大音量になると圧倒されて穏やかな気分ではなくなることがしばしばありました。
オーケストラが奏でる、交響曲の盛り上がった場面の大音量が圧倒的すぎるのです(私には)。
ところが先日行ったコンサートは、前半がモーツァルトのピアノ協奏曲、後半がとある作曲家の交響曲でした。ザ・オーケストラです。
珍しく夫が行きたいと言うので、クラシックの花形である交響曲がいいんじゃないの、と申し込んだのでした。
久しぶりのオーケストラです。
ま、大きな音だろうが、言ってもクラシックだしね。久しぶりに大音量の迫力あるクラシックも聴いてみようじゃないの、なんて思っていました。
…が。この日もやはり、予想は的中しました。
休憩を挟んで席に戻ると、ピアノはなくなりオーケストラ後部に大きな金管楽器がどんどん運ばれてきました。見るからに大きな音が出そう。この時点でビビる…。
後半の交響曲が始まりました。この作曲家の交響曲は暗く重たい曲調です。少しずつ迫ってくるような曲調から、ズンズンズン…と低音が響き、どんどん盛り上がってゆき、最高潮で
パパーン!
と金管楽器の破裂音が鳴り響いた時、心臓がドキドキしました。ドキドキよりバクバクでしょうか。
そしてこの日も、「怖い…!」と思ってしまいました。
その後も第一楽章が終わるまで、大きな音は続きました。
第二楽章の比較的穏やかな曲調でやっと平静を取り戻し、コンサート会場で考えていたのですが。
ロックのコンサートではそれこそ大音量です。その時には「怖い!」なんて感じたことがないのに何が違うんだろう?
まず、私にとって決定的に「怖い」のは、閉鎖的な空間で身動きが取れないことです。
例えば、ロックのコンサートでは、爆音がしたら「キャー!」とか「すごい音ー!」と同行者に話ができます。声をあげて飛んだり跳ねたりできます。
しかし、クラシックコンサートではじっと静かに座っていなければならないのです。この大音量に身を潜めて、微動だにしてはならないのです。いや、動くくらいはいいのか。でも「ちょっと失礼」なんて席を立つことなど御法度である。喉を潤す飲み物も禁止である。
何もできないというそのプレッシャーも「怖い」。
あと、これが一番の問題なのだと思いますが、この作曲家の曲はほぼ聴いたことがなかったのです。曲を知らない上に予習をしてこなかったのだ。
故に、次の展開が全く読めず、まるでミステリー小説の謎解きをしているような、どこに罠が仕掛けてあるのかわからぬまま先を進む恐怖があるのです。
不吉な兆候がズンズンズン…と迫ってくる。いつ?いつ?いつ(金管楽器が)はじける?とドキドキしてきます。
オーケストラ後方に座る金管楽器集団が楽器を持ち上げたら
「来るー!!」
と恐怖心でいっぱいになります。そして恐怖のどん底につきおとされる感覚。
明るい曲調ならまだしも、この日のように知らない作曲家のおどろおどろしい曲調で金管楽器が弾けると、より恐ろしいのです。
最後まで大迫力の演奏が続き、ようやくコンサートは終了しました。
終了後、「ブラボー!」とあちこちから歓声があがり拍手が鳴り止まず、他の観客からすると素晴らしいコンサートだったのだと思います。
鳴り止まぬ拍手に、「まさかアンコールないよね…?」と小声で聞いてきた隣の夫も私と同じような気持ちだったらしく、笑えてきた。
素人はやはりこうなるのだ。
芸術の秋だと張り切ってやってきたのに。
さて、次からは大人しめのクラシックにしよう。
※クラシックファンの方、すみません。素人の個人的な感想です。