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フレディ・マーキュリーと「車」

フレディ・マーキュリーの愛車、ロールス・ロイスが落札されたのは数年前のことです。

フレディは長年ロールス・ロイスを愛用していましたが、実は運転は一度もしたことがありませんでした。

いつも助手席に乗っていたんですよね。フレディはそもそも運転に興味すらなかったそうで、フレディの友人は、「じっと我慢することが苦手なフレディが車の運転などしたら、あおり運転の巨匠になっていただろう」なんて述べています。

あおるフレディ…。笑


それはさておき。
フレディと車にまつわるお話しで、少しマニアックなエピソードがあります。

このエピソードでチャーミングなフレディを知っていただければと思います。

と言いつつ、ただフレディが可愛いと言いたいだけの記事です。



QUEENのローディ、ピーター・ヒンス氏(フレディから"ラッティ"と呼ばれていたので、以下ラッティと書きます)の書籍にあったこんな一幕です。ラッティは、フレディより10歳ほど年下の(当時)青年です。

1976年の夏、QUEENのメンバーはロンドン郊外のリハーサル施設で曲作りをしていたんです。そこにはメンバー含め、パートナーや関係者などが共同で泊まり込んでいました。

そんなある日の夕食時、具合が悪くロンドンに帰っていた恋人メアリーから、フレディに電話がかかってきました。病院での診断結果は「耳の感染症」とのこと。それを聞いたフレディは、居ても立っても居られなくなり、

「行かなくちゃ!メアリーのところに行かなくちゃ!」

と慌てふためきます。

恋人の診断結果に慌てふためくフレディ。しかも耳の感染症。いや、それは心配だろうけど。
フレディ、優しい。

運転をしないフレディは、ラッティに乗せてもらってロンドンに向かいました。この車はフレディ所有のロールス・ロイスではなく、マネージャーが乗っていた車です。

ラッティはこの時、実は車のブレーキに違和感を感じていましたが、フレディが早くメアリーの元へ行きたそうなのでそのまま運転してロンドンへ向かうことにしたのです。

ロンドンに近づいた頃、案の定、途中でブレーキが効かなくなり、咄嗟の判断でハンドルを切って排水管の山のあたりに突っ込んで車はストップしました。


ヤバいっ、ロックスターを乗せた車が事故!フレディに何かあったら生きておられん!


とラッティは真っ青になって隣のフレディを見ると…。車は故障したものの、フレディはすり傷一つなくピンピンしていました。

ホッとして救助要請のため近くの住宅へ向かうことに。

当時は携帯電話などなく、助けを呼ぶためには固定電話を借りなくてはなりませんでした。

そこで、ラッティは車に残り、フレディが暗闇の中、灯りを頼りに近くの家まで電話を借りに歩いて行ったのです。

その時のフレディのファッションが、また可愛い。ジーンズに日本のファンからもらった、刺繍入りの黒のシルクの着物を羽織っていたんですって。

こんな所にもフレディの日本愛が…(感涙)。想像するだけでにんまりしちゃう。


ラッティが車で待っていると、通りかかったトラック運転手達が気を利かせて車の移動を手伝ってくれたそうです。

しかしフレディはなかなか戻って来ません。

何をしていたかというと。

お家を訪問したフレディに、住民は彼がQUEENのボーカルだと気づき、お茶に誘ったのでした。フレディはそれに応じ、近所の人もやってきてのんびりとお茶をしていたということです。

フレディのこの余裕さ。可愛い。

たとえ所持金も持たずに突然訪問し、電話を借りた手前断れなかったにせよ、ですよ。フレンドリーなフレディに和む。

しかしフレディとお茶できるなんて…。羨ましい住民よ。


やっと戻ってきたフレディは別の車でロンドンへ向かい、故障した車はレッカーで運ばれ、ラッティは施設に帰るための迎えの車を一人で待っていました。

するとバンドのメンバーが迎えの車と共に心配して駆けつけてきました。

メンバー達は、「めちゃくちゃになった車の残骸はどこにあるんだ!?」と尋ねたそうです。

フレディはこの事故を、「凄まじい惨状で、車は焦げてねじ曲がって金属の山になった!」と大袈裟にバンドに伝えていたのでした。

こんなフレディのちょっと意地悪なユーモアがまた可愛い。


結局ブレーキに問題があったというわけで、ラッティは特にお咎めなくことなきを得たということでした。

フレディはラッティを一切責めることなく、見事なハンドルさばきだったと逆に褒めたという。

めっちゃいい人。

そして、後に行われたこの一件のインタビューでのフレディのコメントが、「自分がいなくなったら猫達の世話は誰がするのかと焦ったよ」でした。


…ヤバい。



フレディ、あなたはどこまで可愛い人なんですか…!!


という、可愛いが盛りだくさんのフレディ・マーキュリーのエピソードでした。

(え、どこが?って?)


フレディファンが増えたかな。笑
(失礼しました)