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~虎に翼~ ようやく泣けました

どうも。
こりーぬ、です。
初めての方も、また読んでくださってる方も
ありがとうございます。

いよいよ寅ちゃんが、ちゃんと自分の
悲しみと向きあえるのかな、
と思いながら観ていたオープニングで
役名:佐田優三に『(回想)』が
付いてなかった!ので
もしかしたらワンチャンありかな、
と妄想が弾んでいました。

寅ちゃんも、仕事をしながら
ラジオから流れてくる
復員船帰港のニュースで
復員兵の名前が呼ばれるのを
黙って聞いている。

場面が変わって、
街中をふらふらと歩く復員兵。
鞄を少年にひったくられて
必死に取り戻し、
その手にあったのは
寅ちゃんが作ったお守りでした。

この辺ね、どっちだ?どっちだ?
と諦め半分、期待半分でした。

寅ちゃんのところに来たのは
優三さん、
ではなく
優三さんと歳のあまり変わらぬ復員兵。

優三さんとは、復員を待っていた
病院内で隣のベッドにいただけのご縁。

優三さんは、その人が体調を崩して
命が危うくなりかけたときに
寅ちゃんのお守りを握らせて
「これはものすごく力のあるお守りだから
きっと大丈夫。回復して戻ってこられる」
と言ってくれたんだそう。

「虎は千里を行って千里を帰る」
五黄の虎生まれの寅子が作ったお守りは
本当にご利益があったみたい。

その人が回復してから間もなく
優三さんは病で亡くなってしまった。
お守りを握っていた復員兵は、
自分が優三さんの運を使ってしまったのではと
気に病んでいたので、
そんなことないですよ、と。
そう言うしかなかったんじゃないかな、
寅ちゃん。

こうして、一縷の望みは絶たれたも同然です。
優三さんは、本当に亡くなってしまったんだ。

それでも、寅ちゃんは淡々と
仕事と家事をこなす日々。

お母さんが、寅ちゃんに
亡くなったお父さんのカメラを売ったお金を
渡して、
「これは、寅子のためだけに使うお金だから、
これで贅沢してきなさい」

寅ちゃんの反応を見るに、
けっこうな金額だったんじゃないかと
思う。

実は、花江ちゃんにも
夫を失った悲しみを癒してもらうため
お金を渡して
少し贅沢をしてちゃんと悲しむことに
向き合わせていた、らしい。

花江ちゃんは、闇市でお酒を。
そして、お母さんも。
おはぎ、らしきものをお家で
こっそり泣きながら食べている
シーンが挟まっていました。

お母さんのこの心遣い、
素晴らしいな、と思う。
なかなかできることじゃない。
こんな時期に思いついたり、ましてや
嫁や娘にそんなことさせてやれないと思う。

寅ちゃんも闇市に出かけて
串焼き?焼き鳥を2本とお酒を頼むんだけど、
表情が固まったまま動いてなくて、
どちらにも手をつけずに
お金だけ置いて行ってしまう。

とぼとぼ歩きだしてから、
追いかけてきたお店のおかみさんに
「勿体ないから持っていきなさい」
と言われて、新聞紙に包まれた焼き鳥を
渡される。

それを持って、いつもの河原に
座って包みを開く寅ちゃん。
「……美味しい物はいつも分け合って
食べようって、言ったじゃない。
必ず帰ってくるって言ったじゃない」
串焼きを握って齧りついて、
ここでようやく寅ちゃんは泣けたのです。

そして、この焼き鳥を包んでいる新聞紙。
ここに、日本国憲法が掲載されているんです!
やっとこのドラマの一番最初のシーンに
戻ってきたんですね。

優三さんに言われたことを思い出している
寅ちゃん。
「寅ちゃんが、一番したいことを頑張って、
弁護士でもいいし、他のことでもいい、
優未の良いお母さんでもいい。
うん、頑張らなくても、いい。
僕の好きな、寅ちゃんがやりたいことを
がむしゃらな顔をしてやりきる、
それが僕の望みです」
隣で、そんな風に言ってくれた優三さんを
思い出して、ようやく喪失の悲しみと
向き合えたんだろうな。

この回の始めの方でね、
直明くんが、マッチ箱の他に仕事を始めると
寅ちゃんに言うんです。
阿笠博士……じゃない、
重田さんにもお願いして
紹介してもらった仕事をするんだと。
「本当はもっとお母さんやお姉ちゃんに
楽させてあげたいと思っていたんだけど、
思い描いた通りにはならないもんだね」
「僕が頑張ってこの家の大黒柱になるから」
と笑って言う直明くん。

「大黒柱……」
この言葉にひっかかりを
感じているらしい寅ちゃん。

直明くんは、小さい頃から利発で、
本が大っっっ好きで、
本当はもっと勉強したかったんだろう。
思った通りにならないものだ、と言ったけど
どんな未来を思い描いていたんだろう、
と寅ちゃんは弟の小さい頃を思い出して
その境遇を不憫に思っている。

何とかしてやりたい、という思いに
駆られているであろう寅ちゃん。

やっぱり、このヒロインには底力があって、
そう簡単に潰されないという信頼感が
視聴者に表現されていると思います。
明るい、力強さに溢れる朝ドラで、
もう大好き。

太平洋戦争がターニングポイントというか
そこから這い上がる女性というのは
朝ドラで、それこそ何度も何度も何度も
飽きる程に描かれてきているけれど、
悲愴感が漂ってないのが本当に良い。

こういうドラマを朝に観られて
本当に良かったな。
陳腐な表現ですが、
そう思っています。


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