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通奏低音の話

2020-10-21 15:37:40

この作曲家の名前のアンサンブルでバロック音楽を始めた経緯もあり、学生時代から通奏低音に慣れ親しんできたのだが、突き詰めると奥が深い。丁度近々にコンサートもあるのでこの機会に極めて独断的な発想の話。

基本はファゴットやバソンは通奏低音奏者ではなく、補強係である。

このヒエラルキーを崩してしまうといい演奏はできない。と思っている。

以下はこのことを大前提とする。

譜面の難易度は初級レベルなので、楽譜を演奏することは初心者でもできることである。ファゴット/バソンは単音で左手の補強係を務めるだけであり、主役はいうまでもなく鍵盤奏者であるが、場合によってはかなり大胆なことをやっても良い。しかしここで脈々と紡がれてきた和声と音楽のエネルギーから逸脱してしまう(勘違いか技術的破綻がそれをもたらす)とその瞬間、ファゴット/バソンはただの邪魔者になってしまうし、それを恐れてただ無難に演奏すればいてもいなくても同じになる。バロック音楽における和声、そして鍵盤楽器はそれほど大切な音楽の要素である。

では、バソンやファゴット、チェロ、ガンバはどういう仕事をしなければならないか?
実は割と単純で、基本は鍵盤楽器から提示される和声がもたらすエネルギーにそって響きを増幅させ、ふさわしいシェイプを描くことだ。

この2点をに注力すれば自然と「いい音程」「拍節感とテンポ」は付いてくるものだ。と思う。

ここで必要なのは和声が導くエネルギーを感知するアンテナを磨くこと。に尽きる。

もちろん実際の演奏ではいくら良い感性があってもなんともならない。突き詰めれば技術的な問題に行き着く。意図された「音の大小」つまりシェイプを表現するには真っ平らな土台が必要だ。つまり「譜面の全ての音を一定の音量で均一にテヌート奏法で延々と演奏できること」が技術的裏付けで必要となる。木管楽器には楽器の特性上、オープンでよく鳴る音と鳴りにくい音、ピッチが高くなりがちな音と低くなる音がある。加えてブレスに余裕がある時も、ない時も常に同じように、一定の音量で、鍵盤に対して高い低いもなく演奏するのは難しいことだ。これが無意識レベルである程度(完璧はない)できないと、身体が感じた音楽に楽器が反応してくれない。そのため、日々の基礎練はやはり大切だと思う次第。

オールテレマンプログラムのリハーサル前の雑感。

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