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5月、ロシアのプロパガンダ・コラム

5月13日 ロシア国営報道ノーボスチの論評=プロパガンダ・コラム(抜粋超訳):(2,544 文字)

欧米はウクライナに軍事的巨人を作り出し、それを破滅させることになる

欧米はウクライナをめぐり、ますます決断が難しい複雑な状況に追い込まれている
ウクライナは対ロシア戦の主戦場となり、キーウへの支援を止めることは、欧米の敗北を認めることになるのでやめられない
欧米は、少なくとも今のところ敗北を受け入れる覚悟はない
そして、欧米のタカ派が対立をエスカレーションさせ、核兵器保有国の直接衝突の危険性が高まっている
この懸念から、最近、米国当局の緊張緩和の意向を示すニュースが増えている
これは、重要情報の提供を米国が拒否したという、ワシントン・ポスト紙のリークからも分かる
さらに、中国に関するブリンケン国務長官のスピーチは、過激すぎるとして「台湾に対する立場に変わりはない」と撤回された
ウクライナ支援は、西側諸国、特に米国にとって、ますます負担になっている
キーウへの400億ドルという前代未聞の支援という無責任な政策の代償に経済が対応できなくなり、その継続は欧米のシステムの安定性そのものを直撃し、国民もそれを感じている
この責任を「プーチンの侵略」に押し付けようとする試みは失敗している
ほとんどの米国人は、社会経済状況の悪化を政府の責任だと考えている
ランド・ポール上院議員は400億ドルの法案を阻止し、監督監察官の任命を要求し「米国経済を破滅させてもウクライナを救うことはできない」と宣言した
さらに、西側諸国は軍備、特にミサイルが不足している
ウクライナにあまりにも早く武器を供給しているからだ
NATOの倉庫の在庫は急速に減少しており、米軍産複合体は前期の生産能力不足と有能な人材の喪失により、必要なペースで増産することができないでいる

欧州はもっと悪い
軍事作戦は長期化で、旧ソ連製ではなく、欧米製の高価な兵器の供給をせざるを得なくなっている
米国にとってウクライナ問題は地域的な問題にすぎず、最重要問題は中国である
ウクライナに過剰な供給が必要となり、膠着状態に陥っているように見える
そのため、NATOや米国には、この紛争における長期的な戦略や最終的な目標が原理的に存在しないという意見が増えている

米国は(欧州と同様に)ウクライナにおいて、ロシアに地政学的敗北をもたらすという明確な目的を持ち、現在もその目的を持っている
この目標を達成するための戦略は極めて明確で、軍事的、経済的、政治的に泥沼化することだった
しかし、特別作戦の開始から3カ月近くが経過し、間違っていたことが明らかになった
欧米諸国自身が「沼地」に足を踏み入れてしまったのである
こうなったのは、米国と欧州が、ロシア経済の強靭さと、地獄のような制裁に立ち向かう意志を過小評価していたからだ
また、国が危機に瀕したときに動員モードになる国民性のたくましさもある

戦闘を観察して、欧米がウクライナでまた致命的な過ちを犯したこと分かった
逆説的だが、大事になったのは、米国とNATOがウクライナ軍を近代化しすぎたのだ
ロシア(少なくとも我々の社会)は、ウクライナ軍の訓練と装備のレベル、そして彼らの高いモチベーションに驚かされた
ロシア人にとっては、NATOが8年の間に、軍事的にもイデオロギー的にも、自分たちを標的とする強力な勢力をウクライナに送り込んできたことを理解できたのはラッキーだった

唯一の疑念は、欧米諸国自身が、この成果に満足していないことだ
米国とNATOは、第三国の武装勢力の訓練について非常に豊富な経験を持っている
米国人は準軍事的、非正規組織との仕事が得意だ
それらの秘密工作活動の実績を多く持っている
しかし、外国の正規軍を相手にする場合、米国人の有名な失敗例は多い
直近では、アフガン軍の惨状だ
サウジアラビアは、イエメン紛争が示すように、米国の軍事・技術協力は助けになってない
このことから、正規軍に対してはむしろマイナスに働く
米国人の全面的な関与なしには、ウクライナ軍は通常戦闘不能なのだ
つまり、ウクライナはその高い戦闘力によって欧米に大きな驚きを与えたが、驚きは時と共に失望に変わっている

もし、米国と欧州の想定するシナリオ通りに、ウクライナ軍が強くなかったとして、事態が進展したとしたら、どのような状況になるかを想像してみよう
ロシアは、制空権を確保し、軍隊が無条件に、最短時間で、ウクライナ軍の抵抗を一掃し、ウクライナ領土のかなりの部分を占領していただろう
それで終わっただろうか?
いや、それは始まりになっただろう
なぜなら、支配地域には、何百万人もの人口があり、大部分はナチスとロシア恐怖症のプロパガンダに洗脳されている人だからである
破壊活動やテロ闘争を展開する理想的な条件が整っており、ウクライナ軍はそれをしただろう
欧米は、「解放運動」の戦士を訓練し、軽量の(つまり比較的安価な)武器を供給し、火に油を注ぐだけでよかったのである
だから、西側は「間違って」いたのだ

ロシアは限定された戦力で特殊作戦を行っている
そのため、ウクライナ軍は見事な回復力を見せ、NATOの優れた訓練を受けており、欧米の支援(訓練、アドバイザー、通信、情報、武器供給など)と相まって、深刻な敵対勢力となっている
その結果、戦線は膠着している
ロシアは、小さいが重要なエリア(産業拠点、農地、港、海へのアクセスなど)と、親ロシア派の人口を支配している
このように、欧米の思惑通り泥沼化しているようだが、無理な負担ではない
(注:5月時点で「小さいが重要なエリア」と評価している事は注目すべきだろう)

西側諸国こそ、2つの正規軍が戦うという古典的な戦争形態に追い込まれ、自分の首を絞めるように、ゆっくりと、非常にコストのかかる敗北を余儀なくされている
結果は目に見えているが、まだ至っていない
その前に、西側は支払うべき代償がある
西側は国内の社会不満を潰し、国内経済の穴を塞がなければいけない
ウクライナ人が米欧の期待以上に戦ってしまったからだ西側諸国は、同じ国の2つの部分(露とウクライナ)を互いに戦わせるという「天才的」な考えを持ったことを100回以上後悔するだろう

(終わり)

12月15日時点の記事に対するリアクション



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