あの日、母親は私に刃物を向けた②


(つづき)

大学に進学してからというもの
実家には滅多に帰らなくなった。

現在は母もおとなしくなり
喧嘩するようなこともなくなった。
たまにお菓子や米を送ってくるような母親らしい一面もあった。

1年半に1回ぐらい帰ると、嬉しそうに出迎えてくれる。

でも、どうだろう。
心の底から感謝はできない。愛せない。

私の心は、おそらく何か大事なものが欠如してしまっている。
そしてそれは一生取り戻すことができないんだと思う。


家族のことは
いままで誰にも伝えることができなかった。
幸せな家族のもとで育った素直な子として友人の前では演じてきた。
でも本当は、それは僻みだ。

改めて思う。
愛は呪いだ。

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