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とても不思議なこと
これは、40年以上経った今でも忘れることのできないとても不思議な体験です。
その夏の日、当時の彼と海までドライブをした帰り道のことでした。急な腹痛を覚えた私はずっと我慢していましたが耐えかねて彼にどこかトイレのあるところで車を止めてほしいと頼みました。
その頃はまだ気軽に利用できるコンビニなんてありません。切羽詰まってきた私は通りかかったJRのとある駅のトイレを借りることにしました。
駅員さんに事情を話し改札を抜けると私は一目散にトイレに駆け込みました。
当時、駅のトイレと言えば見るからに不衛生だったのですがそんなことも言っていられなかった私は入り口から一番奥のトイレに駆け込みました。
すると、ほんのわずかにあいていた扉のすぐそばに人の気配を感じて慌てて「すみません」と言って手にかけていたドアノブを離そうとしたのです。
でも、トイレの中のその光景を見て体が凍りついたように立ちすくんでしまいました。
そこには、うす汚れた床に這いつくばる女性の姿があったのです。
何かを落としたのか両手をひたひたと床に這わせて探しているように見えます。何より違和感を抱いたのは彼女の着衣と長い黒髪でした。
真っ白なロングワンピースを着てそのきれいな黒髪も床で汚れることなど彼女には全く気にする気配がありません。私には気づいていないようで顔を上げることなくひたすら床に手を這わせています。
突如恐怖心がこみあげてきた私は、もはやトイレどころではなく駅を飛び出し彼の待つ車に飛び乗って「早く車を出して!」と叫びました。
当然彼は驚いていましたが、その時の私はあの光景を話すことができず車中黙ったまま家まで送ってもらいました(腹痛はなぜかなくなり彼にも後日話しました)
あの時出会った女性はもしかするとこの世の人ではなかったのかもしれない。そんな感覚がしています。
そして、そのあとしばらくして話題になった映画「リング」のクライマックスシーン。
私は驚きました。テレビから這えずり出てきた主人公が、あの時見た女性そのものに見えたからです。
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