大好きなゲーム メタルギアソリッドV TPP

瞑想日記にだけするつもりだったけれども、好きなゲームを語りたいと思ったので、書く。

僕はメタルギアソリッドVが大好きだ。
と、言うと、大概怪訝な顔をされる。だって、TPPと言えば、KONAMIと小島監督が仲違いをした「未完の作品」と言われているからである。

ただ、僕はそれを聞いてもなお、このゲームが大好きだ。もっと言うと、このゲームのストーリーが大好きだ。
何故なら、監督の描きたかったこと、やりたかったことが、ゲームの中できちんと表現されていると感じたからである。
もし未完なのだとしたら、僕が感じたことはなんだったんだろう?本当に、監督はリリースしたことを後悔するような、そんな出来だったのだろうか?

デスストランディング内で、監督がTPPの出来を謝罪しているのでは無いかと思われる描写がある。そのことを話題にした動画を見て、僕はもう一度デスストをやり直した。

そこで感じたことは、「監督がそんな謝罪をするかな?」である。というか、「これは謝罪なんだろうか?」である。

サムは「バグ?」、「未完成?」と述べていたが、これは「自分が分からないことを、未完成としてしまうユーザー側の捉え方」を揶揄したようにも感じられたのだ。

ユーザーの捉え方が、常に製作者の意図通りに受け取られることはない。そこがゲーム制作(それ以外のジャンルでも)の難しさだと思う。

僕がTPPをやっていた時の心境を、順を追って述べていきたい。
前提として、僕は実は前作のピースウォーカーをプレイしていない状態で始めた。もっというなら、グラウンドゼロズもしてなかった。つまり、予備知識一切なしの状態でTPPを始めたのである。あ、もちろん他のメインタイトルはやってます!

初期
なんか分からんけど、サイファーっていうのが悪いやつみたいやな。そいつらに基地めちゃくちゃにされたから、復讐するんやな。あ、この骸骨みたいなんが敵の親玉か。
パスって女の子が殺された?のか?でもなんか生きてそうな感じもするけどなー分からんなー
え?9年も経ってるん!?初めから怒涛のストーリー展開やなー。
え!?なんかキャラメイクするやん。え、主人公スネークとちゃうん?あー間違えたなー、俺はスネーク操作したかったのにー。
え?結局スネークやん。じゃああのキャラメイクなんやったん?
は?なんで隣にスネークと同じ声のやつおるん?誰なんこいつ。ていうか俺は誰なん?イシュメールとかいうやつは幻覚なんか?でも銃打って人殺してるしなー。
お?炎の男?これヴォルギンやろ絶対。ていうかまたとんでも超能力者ボスと戦う展開なんかー。それメタルギア4でやったからもうええねんけどなー。この浮いてるショタサイコマンティスとも戦うんやろ?どうせ。
うお、オセロットやん!ていうかなんか雰囲気違うな。1とか2とか4とも雰囲気違うし、1番落ち着いてる感じやなー。でもこいつは今までのシリーズとおんなじでなんか腹に一物持っとるんやろうなー。
義手つけて、リハビリして、いきなりもうミッション開始か。なんかワクワクしてきたで。
「伝説を取り戻せ!」ってめっちゃいい檄の入れ方やなー。なんか自分自身がボスになったような感覚になるなー。
このカズっていうのが親友なんやな。もうボロボロやん。でもなんかただならぬ仲みたいやなー。「待たせたな」って言い方知らんし、めっちゃ無視してもうてるやん。
お、なんか出てきた。スカルズ言うんか?4のカエル部隊的な感じなんかな?それか3のスペツナズか?
なんとか逃げれたでー。さあ、これから復讐の始まりや!
なんや、このバルーンで人集めるんか。ストーリーラインはあんまりなくて、ミッションこなしていく感じなんやな。今までのメタルギア求めてた人からしたら、ちょっと違うなって思うんちゃうかなー。まあとりあえずやっていくかー。

中期
サイドオプスめっちゃ楽しいやん。だんだん兵士も揃ってきたし、マザーベースも大きくなってきたなー。
この復讐のために力をつけていくこの感じ。この感じって今までのゲームにはなかったな。大体復讐するやつってアンチテーゼ的に扱われること多いからな。「復讐は何も生まない」ことを描くために、復讐を使うから、今一乗り切れへんねん。
でもこのゲームは、復讐がメインや。そんなゲームってなかったように思うねん。表立って復讐できる。これって気持ちええなー。
でもな、なんかいけないことしてる感じがするなー。復讐のために強くなる。その快感が面白いとともに、なんか変な後ろめたさがあるわ。これでええのんかって。こんなん今までに感じたことないで。
ヒューイってまんまオタコンやん!なんかでもこのオタコンはハルと違って言い訳ばっかりでええ性格ちゃうなー。別人やと思っとこう。
ていうか何?このポット?なんか関係あんのか?
うお!サヘラントロプス来た!いきなりもうバトルすんの!?終盤ちゃうの?
…やった!マシンガンで蜂の巣にしたった。このゲーム最高やな、めっちゃおもろい。敵を倒す快感だけじゃなくて、「だんだん復讐がなされていく」、「同じ志の仲間が増えていく」これっていわゆる会社組織みたいなもんやんな?マザーベースのみんなのこと好きやし、仲間意識もめっちゃ芽生えてもうとる。帰ってきたらみんな敬礼してくれんのも、ボスがただリーダーであるってだけやなくて、尊敬されてることを感じるわ。みんな守るために頑張るさかいな。もっとミッション行きたいなー。もう俺がビッグボスを動かしてるんじゃなくて、俺自身がビッグボスやって思いになってもうとるわ。

一章の終盤
ついにこの時が来たんやな。今までの集大成や。絶対にスカルフェイス倒して、復讐を成し遂げたるわ。ていうかめっちゃむずいな、このミッション。
サヘラントロプスと再戦やな。よし、気合い入れて倒したるでー。
…スカルフェイス、なんかあっけない終わりやったなー。復讐したかったけど、この場に来たら、なんかスネークにもカズにも殺して欲しくないなー。絶対に心に良くないものを残すわ、ここで殺したら。今までそのために頑張ってきたけど、なんでこんなに躊躇してまうんやろ。
もしかしたら、監督はこのシーンのために、今までの復讐の快感を描いてきたんやろうか。やとしたら、すっごい体験をしてるで今。こんなん別のゲームでは味わえへんからな。だって、他のゲームで「ここでこいつを殺したらダメだ!」とか言うやん?あれ全然共感できへんからね。いや、やっとけよそのために頑張ってたんやろって思うわ。復讐は何も生まない、心に良く無いものを残すって、リアルに体験できるんはほんますごいわ。
手足撃ったかー。まあそれくらいが落とし所やんな。と思ったらヒューイ殺しとるやんけ!まあこいつも人生めちゃくちゃにされとるからな、スカルフェイスに。ま、こんなオチやろ。
声帯虫はマンティスに奪われたし、ここから物語はどう展開していくんやろ?だってな、復讐っていうメインストーリーは終わったんやで?このゲームの1番おもろいところもう終わってもうたやん。復讐を終えてからの世界かー、気にはなるなー。でもなんか、ここからすっごく面白いワクワクとかは、もう味わえへんような気がする。多分やけど、復讐を終えた後の虚しさとか、謎とか、そういう哲学的なことがテーマになっていくんとちゃうんやろうか。今までのメタルギアとは全然違うなー。でも俺はこの話めっちゃ好きや。二章楽しみや。

二章前半
なんか嫌な雰囲気やなー。全体主義的な、「味方ですら疑え」って。
そりゃそうや。だって、スカルフェイスへの復讐のために頑張ってきた組織やから、そりゃスカルフェイスいなかったら仮想敵作って一応団結するしか無いよな。でもな、それが欺瞞というか、苦し紛れであることは多分みんな気づいとるで。気づきながらも酔っとるんや。だって、今更「はい、解散」とはいかんくらいの人員の量になっとるやろ?なんというか、目標があるうちは楽しかったけど、終わってもうたら、「とりあえず今のまま大きく」みたいな、手段が目的にすり替わるって集団、よくあるよなー。もうマザーベースは、自分で自分自身を騙していくことでしか継続できない組織になってしまったんやな。
なんかミッションやってても虚しいわー。今までの使い回しのステージ出てきたし、何のためにやってんのか分からんくなってきた。
…待てよ?メタルギアはここまでテーマ性の深いゲームを作ってきた。この虚無感自体がゲームの仕掛けなんやないやろうか?そう思うと、この虚しさの行き着く果てはなんなんやろう。気になってきたな。

二章後半
声帯虫に感染した仲間を殺さなあかん。こんな辛いことはないで。組織としての維持を取るか、死んででも仲間の命を優先するか、究極の選択や。そして、それをプレイヤーにさせようとしとる。ビッグボスがやない。あくまでプレイヤーにさせようとしとる。こんな残酷なことあるか?
ヒューイ、お前ごちゃごちゃ言うとるな。でもな、ある意味その通りや。「仲間だろう?」ってほんまにそうやねん。でも選ばなあかんねん。それがボスの仕事なんや。マザーベースには、ボスの選択に疑問を持つものや、責めるものも絶対におる。ヒューイはその代表や。そして、そいつら含めて組織をまとめるのもボスの仕事なんや。
俺はヒューイの言葉を聞いて、ムカつくよりも、「ごめん」って感情になった。あの敬礼していた兵士たちも、心の奥底ではボスを憎んだかもしれん。ほんの一瞬やとしてもや。だけど、自分の信じたボスの選択を信じた。
この罪を背負って、目的がなくても大きくなっていかないといけない。それがボス課せられた使命であり、罰なんやろうな。

ヒューイの断罪
うわー、すごいことなってんな。もう全員暴走状態やん。そりゃ無理ないわ。大切な仲間をたくさん失って、欺瞞と虚しさしかない組織で、みんなもう限界状態なんや。そんな時に、格好の容疑者が出て来た。こんなん吊し上げられるに決まってる。それにその相手がヒューイやからこそ、もう考える余地なく、ヒューイが犯人やと思い込んどる。
これはほんまに恐ろしいことや。犯人を探すことが手段でなく目的になっとる。自分らが存続するための目的や。ヒューイがほんまにやったかどうか分からんし、カズもオセロットもなんとなく証拠ないまま吊るそうとしる感じや。俺はあんまりヒューイだけが犯人やとは思われへん。ていうか明らかにミスリードっぽい感じがしとる。「まともなのは僕だけか?」いや、それは言い過ぎやけどな。でもある意味みんなまともではないと思うで。
いやいや、誰が犯人かなんてこのエピソードではどうでもええ。目的を失った巨大組織、復讐の果てにいきつくものがテーマなんや。
オセロットの言葉、めっちゃきついなー。ダイの大冒険のミストバーンも似たようなこと言ってたな。自分の生き方は、自分の1番苦しい時に返ってくる。これ、誰しもが心当たりあるんちゃう?みんな何かしら後ろめたいものを持ちながら生きてると思う。それがいつ返ってくるのか分からないまま、怯えて生きるしかないんやろうか。ヒューイにも言えるけど、オセロット自身にも言えることやないんか?

ラスト
ま、マジか…ビッグボスは影武者で、本当のボスは他におった。
このラスト、賛否両論やろうな。でも俺はこのラストがすんなり入って来た。だって、どう考えてもプレイヤーはビッグボスやからや。プレイヤー自身がビッグボスになりきれるような仕掛けがたくさんあった。今までプレイしてきたメタルギアでのビッグボスと、今作のビッグボスは明らかに描かれ方が違った。ほんまにプレイヤーそのものやと思っていたからや。
ほんまもんのボス、プレイヤーとしてのボス。2人でメタルギアサーガが完結した。
でもなんやろう、虚しい感情もある。ほんまに終わったんやな。そう感じるからかな。
このゲーム、事あるごとに幻肢痛って言葉出てくるけど、これがほんまにメインワードなんやろうな。「失った痛みへの復讐」から「復讐先を失った痛み」へと変わっていく。初めから最後まで動機は「痛み」なんや。何かプラスに向かっていく目標やない。マイナスからゼロに戻るだけの動機やから、続かへん。虚しいだけなんや。
そう考えたらこのゲームはハッピーエンドではないし、すっきりした終わりでないこともなんとなく分かるわ。
声帯虫事件の真犯人は?リキッドとサヘラントロプスは?バトルギアは?
色んな謎は残ったままや。でも俺は謎が多い、謎が残る作品が好きや。そこに考察の余地が生まれるからな。
いやー、それにしても久々にいいゲームをしたなって気分や。この気持ちをシェアしたいな。よっしゃ、レビューサイト見てみるかー!

レビューサイトにて
・未完成のゲーム!
・小島監督とKONAMIの確執!
・ヒューイがクソすぎる!
・虫の王国という隠しシナリオがあるがそれはKONAMIのせいでなくなった!
・ビッグボスだと思っていたら、そうじゃなくてがっかりした!
・MG本編に繋がる物語だと思ったのに、違った!

な、なんやこれ…?なんでこんなレビューばっかりなんや?「ヒューイが悪いかどうか」、「TPPは未完成かどうか」とか、どうでもいい内容の考察多すぎやろ。ていうか、TPPって未完成なんか?
なんか分からんくなってきた。自分の感じ方がおかしいんか?どのサイト見ても自分と同じ感じ方をしとるやつがおらへん。
褒めてる奴おるけど、システムとかそっちの方の評価やし、ストーリーの面で評価してる奴ほとんどおらん。
一から全てを説明されへんと理解できひんやつ多すぎちゃうか?いや、それは上から目線の意見やな。正確には、説明されてへんことを自分なりに考えることを楽しめる奴、少なくないか?自分なりにこのゲームの意味とか、監督の意図とかを読み解いて解釈するからこそ面白いんちゃうんか?謎が残ったこと自体が楽しいってこと、あんまり考えへんのか?
なんか、アホらしなってきた。

終了1ヶ月後の感想
個人的には、TPPは未完成ではなく、これで完成しとるんちゃうかって思うんや。そもそも、ゲームが完成するってどういう状態なんや?誰にとって?監督?プレイヤー?
ゲーム内に幻肢痛という言葉がたくさん出てくる。色々なキャラが幻肢痛に苦しみ、その解決として復讐に向かう。それはプレイヤーもまた同様や。プレイヤーも幻肢痛に苦しみ、復讐に向かう。その矛先はヒューイであったり、コナミであったり、オンラインでの対決やったり。
プレイヤーにとっての幻肢痛は、自分の手でメタルギアを終わらせた痛みなんやろうな。しかし監督は、それが幻肢痛にはならず、前に進むための力、永遠の空白となり続けると、プレイヤーを信じとる。
でも、現実には幻肢痛となり、TPPのキャラと同じことをしている・思っているプレイヤーがたくさんいる。その痛みが治ることはもうないのかもしれへん。
面白さや感動だけでなく、「幻肢痛」の苦しみをプレイヤーに感じさせる本作は、紛れもなく神ゲーやと思う。





以上、自分が感じていたことを表現してみた。
ここまで、監督と制作会社とプレイヤーとの間で誤解を生んでいるゲームはそう無いだろう(と僕は思っている)。もちろん、監督の意図は知らない。もしかしたら本当に未完成だと思ってリリースしたのかもしれない。そうだとしても、プレイヤーである自分が感じたこと、それも含めてゲームの一部だとすると、これは自分にとっては紛れもなく神ゲーなのである。
もちろん、これを未完成ゲームだとする人にとっては、未完成なのである。
しかし、そう断ずる人があまりにも多かったので、自分なりにこのゲームに対して感じたことを、表現してみた。今でも時々やり直すくらいには、面白いと思えるゲームはそんなにないから。

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