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他校の研究授業に行ってみました。

「担任がいないと、教室が荒れる。」そう思っていました。
それは私自身の担任としての力の無さなのだけど、出張などで教室を空けることがなんとなく心配で、なんとなく怖くて、必須な出張以外は基本的に教室にいるというのが通常…。
ただ、ある日、どうしても見てみたい研究授業のチラシが目に留まり、管理職にお願いをして、午後の授業を補教(違うクラスや専科の先生に教室に入ってもらうこと)を依頼。出張に行けることになりました。

東京都昭島市立光華小学校の研究発表に参加してきました。
研究主題は「子供も大人も楽しめる学びの創造~光華遊学で遊ぶように学ぶ~」。子どもたちの中にある「遊ぶ力」「学ぶ力」を信じ、そんな姿を求めて研究されてきたことが伝わる研究発表でした。

参観したのは、4年生の「単元内自由進度学習」。これは、児童が個々で「何を」「いつ」「どのように」学ぶかを自分の意志で決め、活動を進めていく学習方法です。児童が主体的に「自己決定」「自己調整」をして学ぶ姿が期待されていました。

(実際に見た子どもの姿、つぶやきとそこから考えたことを自由気ままに、勝手に書きます。)



「フツー。これやるよって言われてやる方がいい。」


 学習中と学習後に、2人の子どもに「この学習どう?」と聞いた感想です。
・全員にアンケートをしたわけではない
・たまたま選んだ子の意見が「フツー」だった
・まだ始めたばかりの学習方法で慣れていない
など、結論を出すには情報が足りないことは承知の上ですが、「主体的に学んでます。」と大人が思っている一方で、児童の反応は正直なものだなと思いました。

そこで一つ疑問に思ったのは、「なぜこの学習をするのか、どんなことを学んでほしいと思っているのか」を先生は子どもたちに伝えたのだろうか?ということです。
子どもは、結構考えているし、大人のことをよく見ています。「ほらほら、美味しいよ。」と言われて、何も考えずに餌を食べる動物ではないのですから、自分たちが行う活動が何のためで、どう良いのか説明を聞きたいと思っているはずです。

でも先生は、中々それを言わない。種明かしをする気持ちになるからでしょうか?もっと手の内をさらして、「先生は、みんなにこうなってほしい、こんな力を付けてほしい。」という説明をしたらいいと思うのです。その話に納得できれば、子どもたちももう少し迷わずに活動できるのではないかと思いました。

「クジラが小さくなるよ。」→「なんで小さくなるんだろう?」


4年生は社会と理科の2教科を同時に行えるようになっていました。自分がその時間、社会と理科のどちらの学習を進めるのか選択ができるということです。
ある男の子が、理科「とじこめた空気と水」の学習に取り組んでいました。

使っていたのはこんな実験キット↑

空気鉄砲の中にスポンジのクジラを入れて、空気を押すと体積が小さくなり、クジラがシューっと縮んでいくのです。何度も何度も実験し、「すごい、クジラが小さくなっていく。」「クジラがちっちゃくなっちゃった~!」と嬉しそうに遊んでいました。
いつまでやるんだろうと見ていると、ボソッと「なんで小さくなるんだろう?」と言ったのです。まさにこの「問い」が浮かんだところが、遊びから学びへのスイッチなのではないかと思いました。ですが、残念ながらこの問いは誰にも聞かれることなく、その子も気に留めることなく、流れていってしまいました。

ここから考えたことは、「問いづくり」までは、学級単位で先生と共にやったほうがよいのではないか?ということです。空気鉄砲でとにかく遊び、活動後に「不思議なことはあった?」と先生が問いかけるだけで、たくさんの問いが子どもから出されると思います。
・どうしてクジラは小さくなるんだろう?
・どうして中に入れたスポンジの飛ぶ距離が違うのだろう?
・どうしたらもっと遠くにスポンジを飛ばせることができるだろう?
・水を入れたら変わるのかな?
このように、ある程度問いを出させた上で、「空気と水の謎を解こう!その順番はみんなが決めていいよ。」と子どもたちに任せれば、問題解決に向かいやすいのではないかと思いました。

しかし、問いを見付けることすら子どもたちに任せたい、問題発見の力を付けさせたいと考えるのならば、「先ほどの男の子のこのつぶやきを教師はどう支えられるのか。」「問いを救い上げるシステムや学習カードはどんなものだろうか。」をもう少し明確にしなければならないと感じました。(そんなのいきなりは無理だよな~というのが正直な気持ち。)

「筆箱がなかったからできませんでした。」という振り返り


学習の最後には、振り返りの時間がありました。本時の学習を振り返り、振り返りカードに書く時間です。
A君は、「クジラが小さくなった。」
B君は、「筆箱がなかったから(学習カードを書くことが)できませんでした。」
と書いていました。どちらの振り返りが適していると思いますか?私だったら、B君の振り返りを取り上げ、紹介するなと思いました。なぜなら、B君は「今日の学習の仕方」について振り返りをしているからです。
先生からは、
・学習の中で考えたこと、分かったこと、気付いたこと
・どうしてだろうと不思議に思ったこと
などを書くように指示がありました。しかし、これは学習内容に関わるもので、だったら学習のまとめとして学習カードに書けばよいと思うのです。単元内自由進度学習の振り返りなのであれば、今日の自分の学習の進め方が適切だったのか、時間は十分だったか、次はどう修正していくかなどを考えさせる事の方が重要なのではないか?ということを考えていました。それが、「自己調整しながら主体的に学ぶ」ことに繋がっていくのではないかな~と。


なにはともあれ


色々書きましたが、ここまで考えさせてもらえるというのは、とても提案性のある研究授業、発表であったということ。
一人で何度も何度も実験ができ、自分のペースで本当に理解するまで追求できるこの授業のスタイルをスタンダードにしていきたいなと改めて思いました。学ばせていただいた学校、先生、子どもたちに感謝です。

出張に行き、教室を空けてみた結果はというと…
結構大丈夫だったと言えたらよいのですが、案の定というか、思った通りというか、何やら子ども同士のトラブルがあったようでした。「またか…」と思いつつ、いつも私が子どもたちの行動や言動を抑圧してしまっているのかもしれないな~と考えるきっかけにもなったので、よしとします。


他校の研究授業に行ってみたら・・・

想像以上に学びがあった!
いつもの学級経営に対して課題が明らかになった!

でした~。(また行きたい!)


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