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生命を見つめる



月に一度のナイトボランティアは
細く、長く、続いている

夕方18時に入り、翌朝の9時まで

巡回や掃除、緊急時の対応などがあるが
合間はしっかり時間が取れるので
いつも集中して仕事をしている

普段が朝型生活なので
仮眠が深夜になるのはつらい
今日は早めに少し休もうと思っていたが
引き継ぎ時に、ターミナルのお子さんがいると聞き、緊張した

子どもが亡くなるのは
とても辛い

初めてお別れした子どものことは
今でもはっきり覚えている

最初に仕事をした肢体不自由児施設

まだ20歳そこそこだった自分には、
担当している子どもが亡くなるという衝撃的な事実が
受け入れられず
心の痛みも悲しみもごちゃまぜにして
結局、感情に蓋をしてしまった

大泣きする同僚や先輩方に
自分なんかが泣いちゃいけない、とどこかで思い
このことで医療へ進路変更した先輩を
すごいと思いながら、受け入れられない思いを持ち続けた

今、年を重ねて、経験を積み
親になり、ケアマネとして数々のお別れを経て
泣いていい、と思えるようになった

正直なところ
年をとって涙もろくなったのもあるかもしれないけれど
泣いちゃいけないとか
ここで凛としとかなきゃ、家族の思いを支えなきゃなんて
到底私にはできっこない

辛い時に、一緒に泣いて
気持ちを共にわかちあうことなら
今の私でもできるから

今日、私ができることは
いつもは消灯するフロアの電気を灯し続けて
呼ばれた時にすぐに動けるように待機する

必ず来るものならば、穏やかに、静かに

神様に愛された子は、早く天に召されるのだと
言われた言葉を思い出して祈る

どうか心静かに

その時が迎えられますように




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