冬の到来と、レースの勿忘草
起きると一面、雪景色である。
カーテンを開けると刺すように明るい。
これは雪国暮らしの人はわかると思うのだけど、雪が積もるとレフ板のように反射して外がとても明るくなる。
夜でも結構明るいのだ。
寒さと、雪掻きのげんなりさと、うらはらに。
やたらとパァッとした朝である。
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今朝はどの仕事をしようか。
特に急ぎの仕事もないし、ずっと余裕がなくて出来ずにいたレース編みをしようか。
来年以降のシリーズとしてアクセサリーに取り入れようとレース糸と針、そして本を買っていたのだけどちょうどその頃から忙しくなり奥底に仕舞っていた。
いそいそと取り出して、明るい窓の方を向いて、黙々と編む。
ほぼ初心者なので編み目を間違えては解いて…の繰り返しだ。
マンションの通路はいつもより騒がしい。
隣の子どもが手袋を出せと大騒ぎして、母親にピシャっと叱られ泣いている。
逆側の部屋に住む人たちは、ゾロゾロとスコップを持って駐車場へ出ていった。
また別の部屋のお婆さんはヘルパーさんに連れられて「急がなくていいよ」と言われながら、いつもよりゆっくりと歩みを進める。
たくさんの雑音を聞きながら1日かけて編んだ勿忘草は、全然美しくなくて、将来性はあるのかと自問自答した。
夜中に雨が降るらしい。溶けるだろうか。
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