程々にヒステリック

今日も目が覚めた。もう飽きた。晴れだけど、何のため?日差しを体感できないもん。
毎朝同じベッド、同じ天井、同じ老婦を見て起きている。気障りな匂いがする、何が起こったかわかるのが大嫌い。この鼻持ちならない生活に慣れてきた、最低だね。北向きの部屋から雑音が続いているから、あの女が何もしていないのを確かめなくちゃいけない。立ち上がって。歩いて。
気持ち悪い。果て無いループ。終わらない地獄。

で、何を待っているの?朝起きて笑顔のふりをして、コーヒーを淹れて、調理をして、ちゃんとジャムをパンで塗って。そうしないと文句が上がる。テレビをついて、益体もない流れるニュースを出す声で頭をいっぱいにして。
我を忘れて。考えないで、ただ実行して。何も言わずに全てを言って。黙って全てを感じて。
掃除をして、穏やかを忘れて、一人の時間を忘れて、落ち着きを忘れて、安らぎのことを放して。自分を打っちゃって。何も言われずに全てを理解して。「はい」と言わないと返さないで。友人の声を忘れて、愛した人の顔を見失って。夢を見ないで、夢は退屈の味方。でも、夢は現実の敵でもある。虜の敵。

独りぼっちでいて、心から逃げて、本当の自分さえから逃げて。ふりをして、ふりをして、ふりをして、死ぬまでふりをして。殺すまでふりをして。自分の命を値しない三人に捧げて。笑って、笑って、笑って。
「なんだ、狂ってるの?」
これはあなたの現在。逃げない現在、切りの無い現在。過去に戻れないだけでなく、あなたの希望の将来も来ない。もう無理だね。
違和感を構わないで。このあなたの胸の中で、何が絡みついているの?何が燃えているの?何もない、何もない。心配することはない。全ては大丈夫。

こっちから境界線が見えない。窓からいつもと変わらない銀泥だけが見える。出口がない家にいるのはしょうがない。目眩がするほど身近で嫌いな声を聞いて、息が詰まるまで聞き続けて。灰になるまで服して。
落ち着いて、動けなくなるほど力を抜いて。

私、もし叫んでみるとしても、何も変わらないとわかっている。何も終わらないね。もう無理だね。
この永遠の複製に閉じ込められている。もう助けを求めない。

明日も、明後日も繰り返して。毎日繰り返して。
刑死を繰り返す。

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