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【本読み】おまじないの呪い

『おまじない』(西 加奈子さん:著者 ちくま文書さん:出版)について。

気持ちの良い小春日和に、そこらのベンチで本を読みたくなり本屋で購入。相棒はできたての塩パンと冷たいジンジャエール。

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( 蛇足ですが私は塩パンが好きです。塩パンの魅力についてはまた別で… …)

一言で『おまじない』は、ぜんぜん優しくなかったです。        でも温かかったです。

全部で8編の短編集。文庫本でお値段なんと¥620+税でした。              正直最近の本はどんどんお高くなっていて、懐侍がぴえん。       富豪になりたい。こちらは懐侍と話がついて、購入できました。

”おまじない”って、受け取り方を間違えると”呪い”になると思うんです。

または、時間が経つと”呪い””おまじない”になったりするのかなって。

そんな思いを馳せる話が詰まっていました。

本の内容に言及すると、女性の主人公が多かったです。            最近、男性・女性で呪いの戦いが多いですよね。良い悪いとかは別にして。

どこかに救いや意味を求める強い気持ちが、”おまじない”を”呪い”にしてしまうのでしょうか。そして、呪い同士で争ってしまう。(これは呪術廻戦の観すぎかもしれない……)

うち1編の「孫係」は、完璧なおじいちゃんが孫と完璧な関係を築く物語。でも、完璧って人間ありえないし。裏では弱さをさらけ出しあって、理解しあって、結託して、完璧に見せかけてる。

担わなきゃいけない役割を”係”にすることで、消化できる。

例えば親、友達、社会から、重く苦しい”おまじない”がかけられても、この祖父と孫のように受け取り交わせたら、今よりももう少し生きやすいのかもしれない。         

「痛い痛いの飛んでいけ」って痛いものは痛いじゃないですか。傷口が急にふさがるでもないし。けれど、誰かにそう言ってもらったとき、どこか耐えられる痛みになるんですよね。不思議です。

優しくないけど温かい。そんなことを考えた本でした。

どの物語も読みやすくて、優しくないけど温かいおまじないがかけられた人が”呪い”とせめぎあってました。

ぜひ読んでください。装丁も美しくて好きです。

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