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苦難から掴んだメジャーデビュー~BAKU

BAKUと聞いて、懐かしいと思われる方もいると思う。

BAKUの代名詞の曲名が『ぞうきん』。
歌詞はこうだ。

新学期になり 2日ほどして 先生が言った
明日必ず ぞうきん1枚 持ってきなさいと
それが分かった時から 古いタオルの僕らは
誰が 明日 縫われてしまうか
怯えてる

BAKU/ぞうきん

物を擬人化した歌詞が、特徴だったバンドだ。

メンバーは谷口宗一さん(vo)、加藤英幸さん(dr)、車谷浩司さん(g,後のAir)、そして、
阿部浩之さん。

しかし、メジャーデビューしたのは、
阿部さん以外の3人だ。

時は、バンドブーム真っ只中、
原宿のホコ天は、インディーズバンドが
凌ぎを削っていた頃。

メンバー募集の張り紙で集まった4人。
車谷さん、阿部さんは栃木県のO市の高校、
加藤さん、谷口さんはU市の高校に通い、
住む場所は離れていたが、
一緒にスタジオに入り、腕を磨いた。

そして、ホコ天デビューするなり、
大きな反響を呼び、ファンが急増。

原宿までは、初めはそれぞれ機材を持って、
電車で通っていたが、
ある事務所に声を掛けられ、仮所属し、
機材車を出してもらうことになる。

これが、のちに、BAKUの運命を変えることになる。

ホコ天で演奏するたびに、ファンは
増えていき、
某楽器制作会社とスポンサー契約を結び、
楽器提供を受け、メンバーはその会社の
テレビCMに出演するなど、

バンドの規模は、どんどん大きくなる。

更に、車谷さん主演で、4人で映像作品に
出演するなど、音楽以外でもニーズがあった。

そして、4人は、憧れの日比谷野外音楽堂で
ライブをするまでになる。

このライブは、ビデオで発売され、
最後の曲で感極まり、涙を見せないようにと後ろを向いたまま歌う、谷口さんが観られる。

それを他のメンバーが、笑顔で前を向かせる
様子もあり、当時のバンドの状態の良さがうかがえた。

あとは、4人が無事、高校を卒業し、
メジャーデビューするばかり。

そんな時、事件は起きた。

メンバーを乗せた機材車が、事故を起こし、
阿部さんが、意識不明の重体になったのだ。

他のメンバーも怪我をしたが、
阿部さんの容態は深刻だった。

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