ガールズバンドの宿命~WENDYの悲劇。
その昔、WENDYという、ガールズバンドがいた。
山本彩さん(vo,key)、寄田真理さん(dr,vo)、大隅宮さん(g,vo)、小林亜希さん(b,vo)の
4人で、広島で結成された。
雑誌『バンドやろうぜ』(以下バンやろ)主催の企画、『BAKUとバンドやろうぜ』(以下BAKUバン)の開催を知り、
少しでも、憧れのBAKUの近くに行きたい、一緒に音を出したい、と、結成。
スクールに通っていた、寄田さん以外、
楽器を見たことも触れたこともなかったが、それでも練習を重ね、企画に応募。
結成2ヶ月にして合格。
他のインディーズバンドと、BAKUと共に、
合宿、オムニバスアルバムの収録、イベントに参加。
『第1回BAKUバン』で、堂々ステージに立つ。
この時披露した曲『笑顔のかぎり』『君との夏休み』が評判を呼び、以降、バンやろのイベントに、ゲストとして呼ばれるようになる。
更に、バンやろがレコードレーベルを立ち上げ、その第1号として、インディーズながら、ミニアルバムを発売。
バンドを始めたばかりとは思えない、
楽曲の良さ、全員が曲を作れることなど、
各方面で注目され始める。
しかし、正直、私は驚いた。
ストレートなロックだった『笑顔のかぎり』が、テンポを落とし、ポップスへと変わっていたのだ。
キーボードも入れ、結成当時とは、
まるで違う曲になり、WENDYはポップスを
選んだのだと思った。
当時は、ヴィジュアル系が最盛期を迎え、
ロックがヒットチャートを席巻していた時代。
そこに、ポップスを奏でるWENDYが、
しかも結成して間もない彼女たちが、
割って入ることは出来るのか、と、
一部のファンは心配したが、
高校卒業後、全員18歳で、BAKUと同じ事務所、レーベルに所属、メジャーデビューを果たす。
デビューシングルから、3ヶ月連続リリース、
アニメ『蒼き伝説シュート!』の主題歌に、『エール〜あなたの夢が叶うまで〜』が起用され、ラジオ番組のゲストにも、かなり頻繁に呼ばれるなど、順調に見えた、WENDYの活動。
しかし、ここから、暗雲が立ち込める。
何の告知もなく、記念すべきファーストアルバムの発売が延期されたのである。
ファンは、予約か、発売日にショップに行って、初めて延期を知ることになり、
事務所には、問い合わせの電話が殺到した。
しかし、事務所の返答は『しばらくお待ちください』の一点張り。
ようやく、発売されたのは、当初の発売日から、3ヶ月後だった。
そして、WENDYは、このアルバム発売後に、解散した。
順調だった活動に、何が起きたのか。
そこには、ガールズバンドならではの問題があった。
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