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1stアルバムを超える名盤を。

『どんなミュージシャンも、1stアルバムを超えるアルバムは作れない』

良く聞く言葉だ。

私は、20年、30年以上、ファンを
続けているバンドがいくつかあるが、
やはり、一番多く聞くのは、1stアルバムだ。

1stアルバムにしかない、初々しさ、
その奥にある野望のようなものを感じ、
つい、聞いてしまう。

かといって、最新作が1stアルバムより
劣っているかというと、違う。

演奏も歌も、格段に上手くなっているし、
長く活動してきただけの貫禄がある。

では、何故、1stアルバムを聞くのか。

私の場合、あるバンドは、1stアルバムしか
参加していない、元メンバーの演奏が好きだったり、

そういう、特殊な場合を除いては、

最新作にはない、きらめきを、1stアルバムに
感じるからだ。

これから始まる、ミュージシャンとしての
人生。

そのスタートを切る、一瞬のきらめき。

そんなものを、1stアルバムに感じる。

希望や野望や、こうなりたいという理想、
それを凝縮したような、
何とも言えない、感情を含んでいる。

それが、1stアルバム。

その、きらめきを感じたくて、
つい、1stアルバムを聞いてしまう。

また、長く活動しているうちに、
ボーカリスト以外のメンバーが
歌うことがあるが、

これも善し悪しで、うまくハマっていない場合もあるので、そのアルバムは、あまり聞かない。

その対極にあるのが、1stアルバムで、
自分のパートを、全力で演奏している。

もちろん、全てのアルバムで全力投球だろうが、上手くなっていくにつれて、
テクニックに走ってしまうミュージシャンも
いる。

聞いている人、皆が、楽器に詳しいとは
限らず、私はギターとドラムを、
学生時代にかじった程度だが、
そのテクニカルさが、カッコイイ場合と、
単に『すごいですね』で終わる場合がある。

ここも、1stアルバムとは違うところ。

きらめきも、年月が経てば、
貫禄に変わる。

それは、自然な流れだが、
私は、きらめきを感じたい。

多くのファンは、最新作を待ち望み、
手にして、喜んで聞くと思うが、

私は、一旦、サブスクで聞いて、
良ければ(自分の感覚に合えば)、CDを買う
ようにしている。

長年、活動していると、ボーカリストの
歌い方が変わったり、楽曲をアレンジする
ことがあり、
私はオリジナルが好きなので、
そういうアルバムは買わないし、聞かない
からだ。

もし、アルバムでは、それをしなくても
ライブに行ったら、アレンジされていて、
がっかり、ということも、何度かあった。

TMNのボーカリスト、宇都宮隆さんは、
『ファンが喜ぶのは、オリジナル』
と考え、ダンスをしながらでも、
息を切らすことなく、CDに忠実に歌った。

あまりに忠実なので、口パク疑惑まで
出たことがあるが、そんなことはなく、
宇都宮さんの努力の賜物である。

こういうバンドは、安心してCDを買い
ライブにも行けたが、
最近は、ライブバージョンを、
ライブに来た方限定のオプションのように
考えられているようだ。

そういう時に思う。

1stアルバム、どういう気持ちで作った?

アレンジするなんて思わず、
ただその曲を良くすることに集中して、
演奏や歌を歌ったはずだ。

アレンジすることが悪いのではなく、
オリジナルが好きなファンがいることも
忘れないで欲しい。

1stアルバムに込められた、きらめき。

それを忘れずにいられたら、
そのバンドは、長く活動出来るだろう。

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