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毎日書く #07 ソルの〈sensual dream〉

ソルは試験会場へ向かって走っていた。

制服のネクタイを緩めようとして、結び目に手をやったが、セーターのザクザクした手触りだけだ。あ、俺、私服着てんじゃん、とソルは気づいた。何てことだ!

試験開始まであと1時間半だ。
着替えに帰るか。ソルはそう判断した。

私服だろうと構わないのに、どうしてだか気がく。それはやっぱり、夢の中だからだ。

ソルは夢をとりしきる何者かに追いつこうとして、もしくは、そいつから逃げようとして、走った。胸が苦しい。

校門のところで、向かいの車線を走るタクシーの運転手と目が合った。タクシーはぐいとソルの立っているところへUターンしてくれた。

ドアが開く。助かった!

ソルが乗り込もうとすると、そのタクシーは実は乗合のヴァンで、他にも乗客を乗せていることがわかった。そして、何ということだ、それら乗客がゆっくり降り始めたのだ。ソルは一刻も早く家へ帰りたいのに!

乗客たちは皆、でっぷりと太った、酒焼けした、ヨーロッパ風な風貌の男たちだった。ソルは自分が急いでいることを忘れ、彼らから目が離せない。

フランネルのシャツに、サスペンダーで吊ったズボンをはいた男たちは、そこに白いガーデンチェアを並べ、それぞれ腰を下ろし、飲み食いに興じ始めた。

男たちはビールのジョッキを挙げ、いつの間にか宴のような光景に変わっている。

いい匂いしてきた、とソルはちょっと呑気な気分になる。

それにしても、なんだよ、こいつら?ソルには理解できない。

ふと見ると、ヴァンの運転手がテーブルに足を上げて、煙草を吸っていた。

「何なんですか、この一行いっこうは?」ソルは運転手に尋ねた。納得のいく返事があったかもしれない。だけど、ソルは肝心のところをすっかり忘れてしまった。

俺はこの男とデキてるんだったっけ?そうだった、とソルは確信する。

何とかして、もっとコイツによく思われなくちゃな、とソルはあせる。

男は白いデッキチェアに座って、煙草をふかしながら老人たちを眺めている。そして時折、煙草の煙しにソルへ視線を寄こす。

ソルの渇望はさらに増していく。ドキドキしてくる。
コイツとこれっきりになってはいけない!

俺、こんなに苦しくっちゃ、ヤバい・・・。
・・・とたやすく限界を迎えた時・・・、目が覚めた。
ソルは無事に生きていた。

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