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フィクションのラブドールから見えてくる物

この記事は、ラブドールと暮らす変わった人間が書いています。そういう物事が苦手な方は、別の記事へ移られる事をお薦めします。

星のラブドール

Twitter(現X)のおすすめで流れてきた作品で、マンガを読む習慣は無いのですが、気になったので買ってみました。
※リンクが無効になっていた為、公開後修正しています。

自律型ロボットが当たり前になった世界での、メルヘンチックな恋物語。

淡い色調の優しい絵柄ですが、タイトルにラブドールと謳っているように表現がかなりストレートです。
それは主人公の少年はるひとの純粋さや幼さを表しているようにも思います。
もう一人の主人公ラブドールのダミィは、ほぼ下着姿なのに直接的なエロさは無く、それがミスマッチというか独特のバランスを持った作品になっています。

ダミィは廃棄されたラブドールですが、かなり優秀です。
自由に歩ける、文字を読んで理解出来る、会話が出来る。
そして、感情がある。
これは、スマホに時計や計算機機能が当たり前になっているように、技術が進み過ぎて、それらの機能が普通の事になってしまったのかもと思います。

進歩し過ぎた未来の都合の良い夢物語ではありますが、実際の未来に同じような事が起きる可能性は十分考えられます。
人間と、人間に非ざる者とのつながり、絆、恋愛。
フィクションの世界では、もう数え切れない位扱われてきた題材です。
ですが、
その物語は、ちょっとずつ現実の物語になろうとしています。
現に此処に、ダミィの祖先とも言える人間に似せた物と暮らす人間が居るわけです。

社会全体から見たらほんのわずかですが、それでも小さな市場規模を支えるくらいには、それを求める人たち、肯定する人たちは存在しています。

とは言うものの実際はメルヘンとはかけ離れた、穢れた男性と、口も動かせない等身大の人形でしかありません。

ラブドールというのは性処理の為に生まれた、汚れた存在です。
でもラブドールは、ある者にとっては家族となり、恋人、かけがえの無い存在になります。
存在は忌むべきモノなのに、そこから生まれる感情は純粋という、矛盾した事が起こっています。

だからこそ、物語として成立するのだと思います。
ただしその想いは、作り話ではなく現実の世界で起こっています。

もし、ウチのラブドールのラヴちゃん(仮)がダミィと同じように、感情を持って喋ってくれたら何を話してくれるでしょう。
「ありがとう」と言ってくれるのが一番嬉しいですが、そんな自信はありません。
たとえ「ヤメテ」でも「嫌い」でも、何かを伝えてくれるならそれだけで構いません。
ただ、嫌われたとしてもラヴちゃん(仮)を手放す気にはおそらくならないと思います。
そこはやはり、所有する側とされる側の関係を維持したい気持ちがあります。

家族とか恋人とか、綺麗事を並べてみましたが、やっぱりとして捉えているのかもしれません。

これはあと少し先の未来、自由意志のロボットが現れた時、AIがひとつの人格を持つようになった時、人々がどう対応出来るかという事にもつながってきます。
子供が親に反発するように、人間に順応するのをやめてしまうかもしれません。
その時に人間はロボットやAIの意志を尊重出来るのか?
まあこれも、今はまだ作り話として語られる範疇でしかありません。

いま、自分が出来る事といえば、はるひとやダミィ、そのほか愛せなかった人たちの分まで目の前に居る存在、ラヴちゃん(仮)を愛する、愛でる事。
それしか無いと思います。

自分とラヴちゃん(仮)は現実である以上、ハッピーエンドにならず、どんな形であれ悲しい別れで終わる事は分かっています。
それまでは、精一杯愛し、愛される、それしか無いとあらためて感じました。


最後まで目を通していただきありがとうございました。
多くの人が素敵なパートナーとの優しい時間を過ごせますように

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