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【マンガ業界Newsまとめ】2021年電子コミック市場は4000億円超え!|1/29-037


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毎年1月25日は、出版科学研究所の発行する出版月報1月号=前年度出版市場発表の日です。一般に、出版業界で出版市場規模やマンガや電子書籍の市場規模などの数値は、同誌の数字を指します。(電子書籍の将来予測数値では、インプレスの「電子書籍ビジネス調査報告書」が使われます)

近年は、電子書籍の市場成長(=紙市場の低迷)と、その中でマンガの市場規模が毎年進捗報告される場ともなっていました。マンガ市場については、2月号により詳しく掲載されます。

今年はマンガ目線だと「電子コミック市場4000億円突破」「電子コミックが電子書籍全体に占める割合、88.2%」あたりが大きいところでしょうか。

マンガの市場規模は、2010年代前半に紙と電子(当時はほぼガラケーのみ)の合計で4000億円強ほどまで低迷した時代があります。現在は、電子のみでほぼその市場規模を稼ぐ勢いです。

また、「電子書籍に占める電子コミックの割合」については、近年長い間「約8割」として試算され続けてきましたが、これがいよいよ88.2%ということで9割に届こうというところです。

文字物の電子書籍も、実際は伸びてると思うのですがマンガの伸びがそれを大きく凌駕しているということですね。

紙のコミックは2020年の鬼滅の刃ブームによる脅威の20%アップの前年比に対して1%減ということで、実質大健闘と言えるのではないでしょうか。


こちらはなんと家計簿ソフトからの家計支出の変化を追った記事です。

結論として、電子マンガと音楽配信について家計の支出が大きく伸び、その拡大率は2倍とのこと。前述の電子書籍の好調を裏付けていますね。合わせて、動画配信やオンラインゲームが伸び、カラオケや映画館が低調とのこと。

第1回の緊急事態宣言以降、デジタル市場が伸びるのはうなずけますが、宣言解除後にデジタルでは無い市場が復調しても、デジタル市場は堅調に維持されたとのこと。スマートフォンなどを通した消費は、一般家庭でも定着化しているということが読み取れますね。興味深いです。


コミックシーモアのNTTソルマーレ社を中心に、講談社や新潮社などが参画する北米向け電子コミックプラットフォーム「MangaPlaza」が、3/1のオープンに伴い、事前登録キャンペーンを開始しています。

サブスクの課金額は定かではないのですが、事前の無料登録者が多いほど、のちのキャッシュバックが大きくなるキャンペーンのようです。北米でも人気の『進撃の巨人』などの試し読みが、トップページに並びます。

日本国内では、マンガのサブスクというとあまり存在感がありませんが、北米において、集英社・小学館が運営するVizMedia社が、先行して月額3ドルという破格のマンガサブスクサービスを実施しており、それ以外の出版社を担いだMangaPlazaでも、同様のサービスで追いかけるという構図とみられます。

ちなみに、こうした折に「北米最大規模」など、「最大」という修飾語が良く使われますが、これはユーザー数や売上ではなく、作品点数を指す場合が多く、今回もそれのようです。

また、オープンと同時に、同社が全世界500万DLを超えて展開するスマホゲーム「Obey Me!」を、コミカライズした作品を同時リリースとのことで、同社のIP展開が織り込まれています。

なお、NTTソルマーレ社の前身はNTT西日本、そしてコミカライズ担当のマックガーデン社も、マンガ出版社には珍しい関西事務所をもち、ともに大阪に拠点を構えます。このゲームコミカライズは、西日本連合で行われているようで、そこも興味深いところです。

個人的には、北米向けに『Obey Me!』が展開されることには「欧米か!」とタカ風に一度口にすることを止め得ませんでした。両社様には大変申し訳なく思います。お詫びに今度、近所の大阪王将で自主的にかえれまテンをしようと思います。


引き続いての北米の話題です。NAVERが展開するウェブトゥーンにおいて、英語圏作家の作品が、同じ英語圏で連続してヒットしているというニュースです。

自国発の作品が多数登場することにより、その国に大きな市場が生まれるということは、日本がその豊穣なる漫画文化をもって証明しているところですが、英語圏にもヒットWebtoon作家が生まれ、それが続くことにより、より大きな漫画市場が英語圏にもできてくることが期待できるでしょう。


NAVERの決算が好調とのこと。売上規模で言うと、検索プラットフォーム、コマース、フィンテック、コンテンツと続き、そのコンテンツの中にWebtoonが含まれているとのことです。

グループ全体でのWebtoonの位置づけはそう大きくはないようですが、伸び率が大きいのでやはり期待されているようですね。ライバルのカカオも大きく張ってますしね。


先日、カカオピッコマによるフランス進出が発表されましたが、続く形でcomicoによるフランス進出が発表されました。オリジナル作品の他、新潮社作品などもフランス語訳して続くようです。

1/1より同社代表取締役が、元小学館の武者正昭氏から、丁佑鎭氏に交代しており、発表名義も変更されておりますね。


記事が出るなり、業界内でブワっと話題になりましたが、マンガ編集者のTwitterアカウントリストをソラジマ社の代表、荻原氏が出しています。

当事者による「出してくれてありがとう!」という声や「自分が入ってない」という、大物編集者のツイートなど、大手も中小も新進も老舗もなく、界隈が盛り上がってよかったんじゃないでしょうか。

マンガ家のTwitterアカウントまとめはありましたが、編集者はレアと思いますので、ぜひメンテナンスを続けていただき、更新したらまた発表してほしいな思います。

ちなみに、マンガ編集者の方々は、ここに書いてある方々の数倍くらいの人が鍵アカウントを持ち、情報収集や作家さんとのやり取り、場合によっては監視wをされています。知ってても教えませんけどもw


先日の記事で、韓国WebtoonのOST(オリジナルサウンドトラック)が話題と紹介しましたが、こちらは全英ナンバーワンのエド・シーランの曲に日本版アニメーションを付けるというプロジェクトのようです。

先日Minto社になったwwwaap社をはじめ、マンガに関わる日本のベンチャーは音楽にも積極的ですね。


アドマンガドットコムというサービス名義で、広告マンガの制作を長く行ってきたトレンドプロ社ですが、このほどその受注作品数が累計で1万件を超えたとのこと。

ページ数など単純な比較はできませんが、マンガ単行本1冊に載る連載漫画の話数が10話とすると、1000巻分作ったというところでしょうか。創業は1988年で、実に33年間積み上げてきた皆さんは感慨深いことでしょう。

当時のサービス名である「アドマンガドットコム」のサイトを前面に出していたころは、作品や作家が前に出てくる作りで、どちらかというとC向けなイメージのサイトだったのですが、最近は社名の「トレンドプロ」ということを前面に出して、落ち着いた感じのサイトになっていますね。

おそらくB向けの法人営業が本格化してきたというところかと思うのですが、宣伝マンガの市場も大きく変わってきたのでしょうね。


京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)の漫画学科リリースです。

リリースの中身としては、同大マンガ学科在校生のうち1/3がプロデビューしてます。ということで、これはなかなか高い割合と言えると思います。

プロ漫画家志望者だけを集めたトキワ荘プロジェクトでは、私が運営した7年間で、1-2%だったところを、10%強くらいまでに上げたと記憶してます。大変でした。1/3とは、ホントにすごいです。

京都には京都精華大学、京都嵯峨芸術大学に同大と、3つの漫画学部・学科を擁する大学がまずあり(他に後続してる大学もあります)、同大は中でも「日本でもっとも就職率の高い美大」と言われてきました。

また、マンガ学科の学科長には漫画家を据えるところが多い中で、同大では先代の鴨志田由貴氏から、プロデューサー系の人材を学科長に任ずるようになっています。

結果、このように今までの大学では打ってこなかったような形で、リリースの仕方や中身の打ち出し方も変わってきており、新しい流れができつつあるのかなと思いました。


ちょっと珍しい記事で、話題作の多いスピリッツでもスペリオールでもなく、いわゆるビッグ本誌こと「ビッグコミック」の記事です。

ビッグ4誌の中でも、ビッグコミックと同オリジナルは、読み手・書き手の平均年齢がともに高く、雑誌販売部数も比較的大きいまま維持され、単行本の販売部数にそれほど頼らずとも黒字を出す数少ない雑誌でした。それも近年は電子書籍・単行本販売売上の向上の波にあらがえず、収支的には苦労された時代もあったと思います。

大御所の多い雑誌ということで、そこを脱却するためにも様々な工夫をされているとのこと。「編集者ごと移籍」という考え方は、マンガ編集事情に詳しくないとなかなかホンマかいなという事案ですが、いろんな意味でなくはない話で、妙手と言えましょう。

編集長の中熊さんも、なかなかこういった場に出てくるのはレアです。いつぞやの小学館の忘年会の冒頭挨拶の中で、同誌編集長になられた直後に「大ベテラン作家の死に水をとる覚悟」と、並み居る編集者はもちろん、その大物作家たちが居並ぶ席の中で宣言されてた時には、私は雷に打たれたような衝撃を受けました。すごいなこの人と。

そしてこの特集記事の次は、ビッグコミックオリジナルだそうです。どうなるんでしょう。続きが楽しみです。


今週のTwitterは、この話題が多かったですね。

よくあるしょうもない発言かと思いきやその根は深かったようです。発言してる方ご当人はバリバリの宇宙開発の専門家で、他の関係者の話では、なんとこの『プラネテス』内の重大要素であるスペースデブリ問題の印象が、作品の描写によってあまりに強く読んだ方に残り、実際の宇宙開発の現場でもこの問題に対する誤った認識を持つ人がおり、専門家として苦慮したという背景もあるのだとか。

そうなると、作品どうこうというより、マンガの内容を真に受けてしまう人のほうが問題という気もしますが、ともかくもいきなり憤懣をやぶからぼうかつ生々しく発信しすぎたところが大きいというか始まりの話で、こうした決着を見ました。

誰も幸せにしてないお話で、ツイートは慎重にという以外に無い事案であったと思います。あと、マンガからは夢や希望などの感情は沢山もらってよいと思いますが、知識については、専門家の皆様にはおかれましては良く調べてねというのは、私もいち専門家として思うところであります。

マンガを実務で使うときは、慎重にであります。


libroさんの、北米漫画市場まとめ最新版です。

本稿でも話題にしたVizMedia社が、米国でジャンプグッズの販売サイトを立ち上げたとのこと。このコロナ禍で、ジャンプ最大のイベント「ジャンフェス」も一昨年からオンライン開催となりましたが、参加する人数が増えたとことで、副次的にグッズの販売が好調という新しい流れができているそうです。オンラインイベント×ECという流れですね。

物販も、安定するととても儲かるんですよね。その流れを受けてのクランチロールのグッズ展開がうまくいくかどうか。ジャンフェス配信の英語化とかしたらよいかもしれないですかね。


筋肉氏ことフーモア芝辻氏とのPodCastも、気づけば5回分まで公開しています。すぐ6回目も公開します。

4回目では、昨年のニュース振り返りで、ピッコマや快看漫画の数百億円規模の資金調達について、5回目は韓国Webtoonの音楽展開などに触れています。よりディープなお話を聞きたい方は、2人の業界オタク語りもどうぞです。

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