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【マンガ業界Newsまとめ】集英社決算デジタルと版権収入の伸び大、Kindleインディーズマンガ予算大幅増 など|9/10-118

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、多くの方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

【お知らせ】
来週末は京まふに行く予定で、Newsまとめの公開は月曜の予定です

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集英社 第82期決算は増収減益 デジタル収入が前期比15.9%増

増収減益と先週伝えられた集英社決算ですが、その内訳を文化通信社が報じています。

記事より https://www.bunkanews.jp/article/345695/

マンガ周りの情報に絞り込むと、
紙のコミックスは約312億円で8.4%減、
デジタルは698億円で、15.9%増、
全体を見渡すと、デジタル収入と版権収入で全体売上を押し上げているようです。

「デジタル」を分析すると、大爆発した『鬼滅の刃』のころのような一強による強さではないが、ワンピ、呪術、SPY、キングダム、チェンソーマンにアニメではねた推しの子と、YJ系の伸びもあって全体に好調とのこと。自社アプリもDL数好調ともあります。

版権収入ですが、トピックとしては「THE FIRST SLAM DUNK」「ONE PIECE FILM RED」の好調さや、それに伴う海外収入にも伸びがあったとのこと。
特にスラダン映画については、日本でのヒットの後、韓国や中国での驚異的なヒットという報も多く聞かれましたし、その辺りの影響がありそうですね。

このように10年前にはそれほどの規模では無かったところが、大きく伸びている状況を、集英社は「多角的」と表しており、その多角的な事業展開を続けるとのことです。

最近の集英社の目立った動きとして、Webtoon部署新設、ゲーム子会社設立、アニメ人材の獲得など、この多角化という言葉通りの展開となっており、既定路線通り進みつつ当面は業績も安定しそうです。

有料記事ですが、こちらの記事でもバンナムが『ONE PIECE FILM RED』のヒットで関連の売上を伸ばし、『DRAGON BALL』は今なおそれ以上の版権収入を産んでいるとしています。無料範囲ではわかりませんが、ゲームも大きいのだと推測されます。


国内News

具体的な数字もあり、今週気になった記事です。

「Kindleインディーズマンガ」は、無料公開マンガを個人作家らが配信することにより読まれた数だけ収入が得られる仕組みです。数年前の開始当初はこの分配金の原資が月間1300万円だったものが、2023年7月分は2700万円。

近しいスキームで、KindleDirectPublishingなどから配信できるKindleUnlimitedは、グローバル原資が45億円から71億円にアップしているとのこと。

スタート当初の逸話として、このKindleインディーズマンガで3桁万円稼いでいるという話を聞いたことがありますが、原資も増えてそうしたチャンスも増えているのかもしれません。

個人作家がプラットフォーム上で収益を上げる、いわゆるD2Cの分野では、現在の日本だとアダルト系デジタル同人が圧倒的で、紙の同人時代を超える経済規模=個人の収入になっている半面、日本では非成人の一般向け個人作品はなかなかアダルトの規模には及びません。その分、出版社版権作品が圧倒的に強いわけですが。

そうした意味では、このamazonの仕組みは一般向け個人作家にとって定着していきそうですね。


日韓米のマンガ(Webtoon含むですね)の調査です。
興味深かったのは以下。

20代~30代がマンガを月に1回程度以上読む割合、日本51.2%、アメリカ54.0%、韓国61.4%

記事より https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2250.html

というデータがありまして、アメリカの若者の50%以上が月1以上にマンガを読んでいると。その割合で言うと日本以上とのこと。アメリカの人はそんなにマンガ読むのですね。いや、読むようになったという言うべきなのか。


今週面白かった記事の一つです。

booklive社が2018年からビッグデータを使ったマンガ制作を開始。出稿を前提にマンガを制作しているとのこと。

少し前から、マンガを制作する際に「このコマや展開は、Web広告にはまって読者を獲得できる」というような、いわゆる感覚知的なマンガ制作は行われていると聞いています。そこにデータを入れてマーケティング部から注文を作家が聞く形で作品制作をするとのことで、これは興味深いですね。

5巻、10巻の単行本を出してヒットするかどうか見極めていく長編作品とは、対局を行く作り方だと思いますが、これも現代における漫画の作り方のひとつなのだと思います。


近年各所で行われている「異世界ものの起源論」みたいな論点から、近年の異世界ものの伸びたポイント、近現在の傾向などに触れています。話してる方々がガチで詳しいので、なるほどなと読みました。


「書店員」とさらっと紹介されているのですが、出てる方皆さん電子書店所属の方なんですよね。こうした方々が人前に出て話すようになったのも変化ですね。

数年前まで、私は「マンガ新聞」というマンガレビューサイトの運営をしていたのですが、その頃とはちょっと違った世界観になっているなと思います。


今週も読み物として興味深いところが多かったんですが、Webマンガ誌においてガンガンオンラインに続く存在である「裏サンデー」勃興の裏話は、今デジタル分野でコミックに携わってる方はグッとくるのではないでしょうか。私はだいぶ来ました。大手出版社内のデジタル創成期の動きは、どこもホントに熱いんですよね。大変というか。


9/17(日)夜22時~より、毎年夏に出る「デジタルコンテンツ白書」「電子書籍ビジネス調査報告書」という白書/調査書の著者2人で、本当にマニアックなトークをしようと思います。

ツイートからたどって予約が出来ますので、是非。アーカイブも1か月ほど出る予定です。

調査書系は内容説明のセミナーなどが良くありますが、別の調査書同士で著者がマクロの話をするみたいなことはあまり無いので、そうした珍しい話が出来ればなと思っております。ご期待ください。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

WebtoonSTUDIOのノックトゥーン社が、BL情報サイト「ちるちる」、SGH社と共同で、BL専門サイト「ラ・ロズレ」をスタート。

ちるちるはBLのレビューや情報においては定評のあるサイトで、同じ二見書房グループになるSGH社、ノックトゥーンと共同でこの形を作ったという所が興味深いです。最近、ノックトゥーン社さんは代表が交代されているようですね。


Webtoon制作の現場の方々からしても、本格的なWebtoon普及はまだまだこれからという認識の方が多いですね。


ヒット作品『サレタガワのブルー』セモトちかさんによる新連載が、マンガMeeで開始とのこと。


9/11にWebtoonスタジオで注目の4社による、Webtoonプロデューサー・編集者の採用合同説明会を、x(twitter)スペースで実施します。わたくし、進行役をいたします。アーカイブも残ると思いますので、向こう1か月ほどの期間であれば、いつでも聞けます。

こうした形で採用説明会と言うのはあまりなかったですね。
なかなか珍しい機会なので、盛り上げたいです。


海外News

*: ここから外国語記事もあります。自動翻訳ツールなどご利用ください。

増える世界のコミコン

ルーマニア・ブカレスト

南アフリカ・ヨハネスブルグ

カザフスタン・アスタナ

コミコンと言えば、アメリカ西海岸に端を発するコンテンツイベントですが、本当に色んな地域で行われますね。これはどういうスキームなんでしょうか。確か以前に、日本でもやったことがありますよね。

しかしお国柄と申しますか、ルーマニアと南アは、日米のコンテンツが人気というところで、見慣れた形なのですが、このカザフスタンだけはなにやら写真からして様子が殺気立っていて異色です。地域性、、なんですかねぇ。


韓国Webtoonグッズのポップアップストアが人気とのこと、グッズで客単価が5万円とか出るそうなんですが、何を売ってるんですかねぇ。


来年の韓国の国策Webtoon周辺支援の予算は、ゲーム・ウェブトゥーン・K-POPなどを対象に、1000億円を超えるそうです。ファンドを作ったり海外にビジネスセンターを作ったりとのことですね。

なんとなく、韓国はそうした取組が機能してそうですよね。基本的に、民間企業が国策に乗る、ノリみたいなものがある気がします。


タイトル訳:テレビドラマのヒットでカカオウェブトゥーンの人気が高まる

Disney+の「ムービング」の好調などで、カカオは売上で約10倍ほど上がっているとのこと。事実とすれば相乗効果が出てますね。映像を見てWebtoonを買うという流れができつつあるということでしょうか。


タイトル訳:ラ ロシェルの企業やコミュニティにサービスを提供するウェブトゥーン

フランスのCityToonというWebtoon制作スタジオを紹介する記事(元はテレビの報道)です。Webtoonは広く様々な人が読むことが出来る「メディア」なので、宣伝などでも優れている。というお話のようです。

日本における宣伝マンガと同じ位置ですね。さもありなん。


米国でユニバーサルからドラキュラ物の新作コミックが出るとの記事です。こう言っては何ですが、やっぱり西洋ではドラキュラものを、こするんですねぇ。ダークファンタジーの王道なんでしょうね。


AI・画像生成関連

Webtoon制作も行っているMUGENUP社が、GenerativeX社とAIを利用したWebtoon制作について共同研究を開始とのこと。流れですねぇ。


画像をキャプチャして、それをテキストで説明してくれるAIとのこと。マンガの絵を視覚的に見ることが出来ない方へのアクセシビリティ的に期待できるかもしれませんね。マンガは情報が多そうではありますが。


開き直ってAIイラスト投稿専門と言う形のサイトですが、投稿数が10万件突破とのこと。課金系の機能も充実させるとのことですが、経済圏が確立すのかどうかですね。


キンチョーのCMでAIを使った画像でデザインを考えたとのこと。なるほどありそうな成り行きと思いました。


弁護士ドットコムによる「イラストの未来」という記事なのですが、生成AIの話題も少し落ち着いてきて、内容的にも穏当かつ現実的なことが書いてある気がします。


こちらは逆に、東洋経済で生成AIの法的なことを書いています。だいぶこなれた記事で、読みやすいなと思いました。


クリーク&リバー社による、AIを用いたUIデザインの実演だそうです。こうしたプロによる実演系の講座は興味深いですね。


今週のセール・キャンペーン・新人賞

これはキャンペーンに面白そうな取組がセットになってますね。

上限なし!

エモいを超えて、エゴい!とは。ユニークです。

この「夜更かしマンガ大賞」って賞の名前が良いですよね


記事のみ紹介


告知関連

■:腐女子マーケティング研究所:you tubeライブ配信「実写BLのゆくえ」
開催日:9/7(木) 16:00〜(アーカイブあり)
◆出演:株式会社サンディアス 代表取締役 井出洋
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インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

本書発刊にあたり、私からの紹介で本書を著者割引10%で販売できます。本noteご覧の皆様にはコードをお送りいたしますので、私の連絡先をご存じの方はご連絡ください。または、こちらの私の個人会社問合せフォームか、Twitter(X)のDMも解放しましたので、ご都合の良い方法でご連絡ください。

購入時に送付先など入力していただくことになりますので、私へのお問合せの際は匿名でも構いません。クローズでメッセージさえいただければOKです。主に法人向けの高価な本とはなりますが、よろしくお願いいたします。


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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。

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菊池健
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