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【マンガ業界Newsまとめ】冬コミ1日5.5万人(平時の1/4)規模開催へ など|11/13-026

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まず第一に、コミケが当初の告知通り開催されそうですねと。この復活は本当にうれしいことです。

今年は12/30-31の2日間開催です。スペースは、いつものビックサイト東西ぶち抜き+南ですね。西の3-4(上階)に加え南もまるまる企業ブースになるようです。

開催時の入場規模が5.5万人程。多い時で1日20万人というコミケからすると1/4くらいですね。より詳しいコミケ準備会による説明は以下。

ここにある通り、一般の会場キャパの50%基準か5000人制限の数値をとった計算なのでしょう。コミケの参加者は、一般のイベントで言うところの「お客様」と違い、全てが運営者と同等の立場となる「参加者」となるため、通常のイベントと同じ基準で制限をかけると、大きく人数が落ちることは致し方ないところでしょう。

更に、今回はワクチン接種済みの証明書類提示を参加条件とするとのこと。証明書提示がいつもの腕輪との交換となるオペレーションなのでしょう。

ともかく、運営の皆さんもここまで大変にご苦労・ご心痛がありましたでしょうし、作家や様々な参加者も心待ちにしたであろうコミケ復活。しっかりルールを守られ、なにごともなく終わって欲しいものと切に願います。おそらく、高度に訓練されたコミケ勢なら、きっと大丈夫でしょう。


3本連続、東洋経済プラスの記事です。これらはユーザー登録さえすれば無料で読むことができます。最近、マンガ業界のnewsも増えている東洋経済プラスなので、この機会に是非登録を。

内容的には、業界内や本まとめでは既報のものがほとんどで、出版社とアプリの関係、ウェブトゥーンの勢力図、ピッコマ金社長のコメントなどが3本の記事に別れています。

前回のまとめ記事でも触れましたが、マンガアプリを取り巻く国内市場は、特に打ち手の面において、Web広告やオリジナルIP制作が飽和状態になり、「次の標準」が求められていく局面に至っています。

ここに無いところで一歩踏み込むと、最後の記事でピッコマ金社長がコメントしている「「漫画が好きな人」を狙わない」戦略は、言い換えると、マンガ市場の中へWebtoonのために読者を奪いに行くのではなく、ソーシャルゲームなどを好む層など、マンガ市場外のユーザーを読者に転じるということを強調していることと思います。

これは、既存のマンガ市場の規模に比べると、文字通り桁の違う市場規模であり、当然国内のみならず海外も視野に入ってきます。そうした市場規模の成長への期待が、既報のピッコマに対する600億円の出資(マーケットの期待)に繋がっています。

そして、こうした一般のビジネス媒体にこれまであまり無かった論調で、マンガ業界の記事が「成長市場」として描かれていくことは、更なる新規参入企業や、これまでと規模感の違う資金投入に繋がっていくと予想できます。

こうしたひとつひとつの変化の積み重ねは、恐らく5年10年単位の先の未来では、かなり大きなものとなり、単に紙が電子に変わったというような話を超えて、マンガ業界の大きな変化へと繋がっていくと想像が広がるところです。

そんな中で、顧客層が既存の漫画市場とずれるWebtoonは、新しい動きの起点として確かに期待されるところです。『キングダム』の直感型武将麃公将軍の言うところの「火の起き所」が今はWebtoonであることは間違いないでしょう。


というわけで新規参入の続くWebtoon界隈ですが、今度はチャット小説のpeepが参入です。

少し前に、ラノベ界の超エース編集者三木一馬さん率いるストレートエッジが、Webtoonの原作に注力するという事業転換を宣言しました。

今度は、チャット小説の分野でプラットフォームを急成長させ、ついには中国Tencentグループとも提携した、peepによるWebtoon進出です。既にアカツキ、and factoryなどとの座組が出来ているようです。

今回は「チャット小説」がWebtoon原作になるという点がユニークですが、スナックコンテンツともいわれるWebtoonには相性がよさそうで、今後が期待されます。

Webtoonへの新規参入は、こうした「文字もの」ジャンルや、ゲーム、アニメ製作など、周辺産業からの参入が目立ち、果ては全く関係ない企業なども参入が増えてくると思います。いずにせよ、市場が活況になることは間違いないので、当面は歓迎して良い現象と思います。


先に、外部資本算入の話をしましたが、この2つの記事は2つのマンガアプリがTV局と資本関係を持ったという記事です。

一方は、電子コミックの老舗「まんが王国」を擁するビーグリー社に対し、日本テレビがTOBを行い持分法子会社にする資本業務提携を。

もう一方では、昨年DeNA社内事業を外に出して独立させたマンガボックス社を、TBSが連結子会社化しました。DeNAとTBSは昨年7月、マンガボックス社の株式をほぼ対等(D:T=51:49)で持ち合いする形を取っていたのですが、この機にTBS側が持ち分を増やしたようです。なんとなくですが、既定路線ですかね。

マンガボックスについては、『ホリデイラブ』『にぶんのいち夫婦』など、実写化してヒットに繋がっていくIPを創出しています。ともにTBSでのドラマ化ではなかったのですが、TBSの狙いとしてはIP確保という見方が出来ましょう。

同様に、日本テレビ-まんが王国/ビーグリーについても、ぶんか社を傘下に入れてIP創出力を向上したビーグリーを、日本テレビが傘下に入れたという見方が出来るでしょう。この件は、hon.jpに以前寄稿させていただいた記事が詳しいです。

これまで、既存の大手出版社とTV局の関係は、それぞれ良好であっても、直接的な資本関係にまで踏み込むケースは少なかったと思います。

こうした資本関係を持ち経営基盤を盤石にした、ビーグリー、マンガボックス両社は、より長期的な視点でIP創出に集中できることになるでしょう。投資した側のTV局も、安定的にIPを確保できるようになるというところでしょうか。

今回の動きには、IPを作れるマンガ編集部を持った新興企業という存在が、資本提携の価値を持つレベルまで成長したことがあると思います。

紙の時代、特にヒットマンガを取り巻く環境は資本という面ではあまり流動化されていなかったわけですが、マンガIP創出企業が増えたことや、IPを起点としたビジネスの規模が大きくなってきたことにより、こうした流れが出てきたということ言えるのではないでしょうか。

一言で言えば先述の通り、マーケットの資金が漫画に流れてきている証左ともいえましょうか。


2013-4年参入マンガアプリ組の一角GANMAが、Gaudiy社と連携しファン同士でデジタルアイテムをオークション形式で販売するなどの取組を開始します。

もともと、サブスクによるファンコミュニティ形成を企図していたGANMAですが、今回「GANMAコミュニティ!」を正式版としてリリースし、中高生のファンなども参加できるコミュニティを作っていくとのこと。

私も早速会員登録してみたのですが、既に600人を超える会員が登録されていました。トップページから様々なSNS機能的なコミュニティ機能とともに、NFTデジタルアイテムの管理が出来るページなどが整備されており、しっかりと作りこまれているようです。

2013-4年参入マンガアプリ組の中でも、実は一番最初に単月黒字化にこぎつけたのがGANAMAでした。セプテーニグループの後押しを受けて手堅くビジネス展開する同社が、トレンドのNFTをどうビジネス化していくのか、興味深いところです。


出版社に関わるXR新事業のリリースが立て続けに来ました。

一つは集英社が、ポケモンGOなどのNiantec社との連携で「ARやVRに限らず、5Gやそれ以降の未来のインターネット技術を使い、社会におけるXR(超越現実)体験の提供を目指す。」とあります。

もう一つは、講談社、スクウェア・エニックス(技術面中心)などが参画する形で、KDDI、DNPなども参画し「自身のアバターの自動生成・編集システム「AVATARIUM」と、ブロックチェーン技術を活用したNFT 3DCGマーケットプレイス「Pocket Collection」の開発」という事業を行うようです。

両ニュースとも、連携の座組と、大きな意味での方針を述べているまでですが、ともに強いIPを持つ両社の事、実際にファン向けのサービスが構築される待たれるところです。


大阪、松戸の議連、共産党と続いた表現規制関連への言及の流れですが、今度は東京都でも同様に曖昧な指定範囲の表現規制の話題が出ており、日本漫画家協会理事の赤松健先生が「表現の自由を著しく軽視」と断じています。

毎回繰り返しとなってしまいますが、気を使って曖昧な表現をした結果、結局良く分からない状態にズルズルいってしまう危機感を感じます。

本件についてはパブコメによる意見を届ける期限が11/16までとなっております。


電子書籍配信サービスのナンバーナイン社が、昨年に続き「漫画家ミライ会議の2021」の登壇者発表をいたしました。

【村田雄介×森川ジョージ】など、登壇者が今年もより一層豪華ですね。個人的には、こうした場にコミティア代表の中村公彦さんが良く出られるようになったことが非常に良いなと思っています。

昨年は一通り視聴しましたが、どのセッションも非常に面白かったです。私はマンガ業界向けにIMARTという枠組みを主催していますが、漫画家が登壇者の中心になる漫画家向けイベントについては「漫画家ミライ会議」があればもう良いかなと前回開催を見て考えを改め、自分の方では出版社やアプリ運営企業など、周辺事業者が中心となるイベントに振り切りました。

というわけで、無料登録で生配信見れますでどうぞ。アーカイブもあるとは思うのですが、同時にTwitterがにぎやかになる生視聴が面白いのでおすすめです。

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