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【マンガ業界Newsまとめ】最大級海賊版サイトが集英社の訴訟準備を知り自らサイト閉鎖 など|11/7-025

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再度猛威を振るっていた海賊版サイトの中でも最大級といわれていた「漫画BANK」が、11/4時点でサイトをクローズしていたというニュースです。

今年に入り、海賊版サイトの利用者数が一時期の「漫画村」全盛時代を超えているというニュースが続きました。その状況を看過できなかった集英社は、実際に漫画のデータを保持しているCloudflare社への運営者情報開示請求や、そこからわかった情報を元に、Googleなどに対し、海賊版サイト運営者の個人情報を追求していく構えを見せたところ、11/4に同サイトがクローズされたとのこと。

この自主クローズにより、追及が難しくなったり、訴訟後に情状酌量などが考えらるのかどうかはわかりませんが、確実に言えるのは、しっかりした手続きを取ることにより、海賊版サイトが運営停止するということがわかったということでしょう。

CloudflareやGoogleなどへの情報開示請求は、当初は大手出版社幹部の発言などにより「難しい」とされてきたのですが、慣れや技術の問題であったということですね。国内のこうした法務周りの経験値や練度向上が、実際に犯罪グループを追い詰めるところまできたということは、喜ばしいことでしょう。関係者の皆様、お疲れ様でした。


記事前半では、新興IT企業による編集部設立が続いた結果から、既存出版社をおびやかすヒット作品が出なかったという示唆です。そうなんですよね。このことについては、多くの編集者や作家が膨大な量の努力をし、予算が投下されたのですが、その通りなのです。

これはいうなれば、新しい飲食店を作ったら、そこがいきなりミシュランで3つ星を取るみたいなことだと思うのですが、なかなかそうはいかないのですよね。

注目すべきは、誰もが「ヒット作家」と言われるような漫画家が、そうした新興の編集部に移って漫画を描く電撃移籍みたいなことがあまりないことです。実は、超実力派編集者がIT企業に移ったみたいな話はあったんですけどね。そのあたり「ヒット作品が生まれる土壌」というのには、色々あるのでしょうね。

後半では、ヤンマガWebの事例を中心に、マンガアプリ市場が広告費の高騰などで飽和していること。ここにきて、改めて「Web」が注目されてる経緯などを説明しています。これを「次の標準」と表現しているあたり、実際の電子コミック周りの環境変化の変遷を見ると、非常に適切な表現と言えると思います。


良くあるコラボにも見えるのですが、少し違うかもと考え取り上げます。

まずComicWalekerは、KADOKAWAのほとんどの作品を一カ所に掲載するいわばWeb上の雑誌代わりの存在です。だいたいの作品が、最初の1‐2話と最新話だけを掲載し、あとは単行本を買ってねと言うものです。

マンガワンはいわゆる「ライフ制」のアプリで、ライフが使える作品はある程度通読できます。ComicWalkerでは読めない所をライフで読めるわけです。

出版社が作品提供→外部の電子書店が施策を実施、という流れであれば珍しい話ではないのですが、販売側も出版社(小学館)という点がミソです。端的に言うと、他所の製品を自社サービスで売ってるわけですが、それでも両社にメリットがあるということですね。

一つ上の記事にあるように、両社ともに一通りのことはやりつくした感がある昨今、出版社と電子書店ではなく、出版社と出版社同士が垣根を越えて、両社にとってメリットがある施策を打てるようになったというのは、インフラの普及や、各社の現場の意識の変化もここまで来たと言った事例になるのではないかなと考えました。

良い結果が取れれば、こうした出版社横断の取組もより増えていくでしょう。


先日、電子書籍をVR空間で読む、2つのタイプのアプリを紹介しましたが、こちらはVR空間上で書籍を購入する体験のニュースです。

話題の、東所沢にある角川武蔵野ミュージアムにある「本棚劇場」(写真)をVR空間上で再現し、高さ8メートル、3万冊の本を所蔵した空間でそうした体験が出来るとのこと。

この空間そのものも楽しいのですが、VRで立体的に体験できるのも楽しそうですね。素朴に、VRはこうした「体験」コンテンツが面白い気がします。


電子コミック書店大手のめっちゃコミックが、誰でも漫画を投稿できるプラットフォームの「めっちゃコミック クリエイターズ」を開始しました。めちゃコミ自体はガラケー時代からの老舗ですが、この2021年11月のタイミングで、いわゆるインディーズサイトを立ち上げるというのはかなりの後発となります。

もう一つ、めちゃコミの動きとして、電子コミックアプリ大手のLINK-Uとの合弁会社「アムリンク社」や、セルシス社と連携し、コミックビューアを共同開発したというものです。

もともとめちゃコミはセルシス社のコミックビューアを使用していました。そこに来て、アプリ大手のLINK-Uと共同開発でビュアーのレスポンス向上をはかったということのようです。

LINK-U社はサーバー運用や画像処理(大きなデータ容量の画像データを、素早く、軽く動かす)の技術に定評のある企業です。老舗ビュアーのセルシスビュアーに、その技術を注入した形となるのでしょう。

もともとアダルト分野で強かっためちゃコミックは、Webによる運営を続けていましたが、アプリもLINK-U社と組んで新たに運用するなど積極的な新しい動きをとっているようで、その延長線上の施策と思われ、今後も色々と出てくるように見えます。


集英社で投稿などする漫画家に「first call」というオンライン医療相談サービスの提供が開始されるというものです。

これはサービス開始どうこうというよりは、既に講談社、小学館、KADOKAWAの3社で同じメドピア社の同じサービスが展開されており、これで大手4社そろい踏みとなりましたねということです。

一度、漫画家などが実際に使っている様子など見てみたいですねぇ。


毎度思うのですが、この京都国際マンガミュージアムの「待ち時間にマンガ読み放題」というのは、集団接種などの人が集まる取組にぴったりの良いフレーズですね。

ちなみに、私は一度あるテーマに基づいて漫画の調べ物をするために、京都国際マンガミュージアムに入り浸って、漫画を読み漁ったことがあるのですが、控えめに言って天国でした。

マンガが沢山あるというのは、それだけで楽しいです。それがあれだけ沢山あると、ほんとそれだけで笑顔になってしまいますw


ComicVketがVR秋葉原を会場として11/6より開催されているのですが、そこにやしろあずきさんが個人で出展してて、ブースが「ビル」だったというお話です。

いやぁ、漫画家が功成り遂げてビルを建てるという話は良く聞きますが、まさか秋葉原のVR空間にビルを建てる漫画家が表れるとは、新しい。さすがやしろさんです。


既報では全29室でスタートした「多摩トキワソウ団地」が、部屋を3割増しで9室増やして、38室に増床したそうです。

もともと入居待ちが沢山あったようで、増床即満室となったようで、今時のトキワ荘の人気の高さがうかがえます。今回は既に入居してる人のコメントもあるので、そこが読みどころです。しかし、みんな優秀そうですねぇ。

ーー追記:

ちょうど1年前の2020年10月の記事なのですが、たまたま知人に紹介してもらいまして、中国のWebtoon事情が良くまとまった記事です。

これによると2014年から2018年ベースでは、中国のWebtoon市場は16%成長を続けており、2020年当時の数字ベースでいずれ日本の市場を追い越すであろうと。

市場規模的には、

2019年実績値 26.8億元=約475.6億円
2022年予測値 56.1億元=約994億円

ということを示しています。日本のインプレス同様、先のデータは試算になります。3年で倍になり、ほぼ1000億円に乗るということですね。非常に興味深いです。

このあたり、一度韓国のデータとも合せて日中韓の3か国分データを並べてみたいなと思っています。


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