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集英社が売上2000億円超え、中国快看漫画は260億円調達など|マンガ業界Newsまとめ 8/25-015

趣味でマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。堅い内容だからか反応がなかなかいただけなくて、SNSシェアや感想いただけると、趣味なのでとても嬉しいです!

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集英社が売上2010億円(前年比31.5%)で、当期純利益457億円(118.3%増)というニュースです。昨年のニュースでは200億円超の純利益で話題になった集英社ですが、それが更に倍化しております。最早異能の世界ですね。

決算とは前の年の成績であることを考えると一昨年から昨年にかけての『鬼滅の刃』の影響や、その後を継いだ『呪術廻戦』など、ヒット作品の影響が強いことと、デジタル関連の伸びは容易に想像できますが、広告をのぞく雑誌や書籍部門でも多くの伸びがあったようです。

ただ、伝え聞くところによると社内的にはそのことにおごることは無く、ヒットは一時の事であり、これを原資に新たな作品作りや新規事業に一層力を入れていく姿勢など、数字に見えない集英社の社員のみなさんの活動から見て取れます。これがSNSだけでも見て取れるのですから凄い時代ですね。

人事面では、先代の週刊少年ジャンプ編集長の瓶子吉久さんが取締役に新任されています。『バクマン』の中では副編集長役としてレギュラーで出てらした方で『鬼滅の刃』が立ち上がった際の編集長であり、そうした功績のある方が昇進されることは至極妥当といえ、将来も期待できますね。おめでとうございます。

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先日600億円調達したピッコマが話題になりましたが、今度は中国最大手のマンガプラットフォーム「Kuaikan(快看漫画)」が、2.4億米ドル(約260億円)を調達しユニコーン(上場してない巨大企業)になったというニュースです。

調達した資金は「コンテンツエコシステムの育成」にあてるとのことで、作家への還元やアニメ化資金などに当てられるようです。それにしても規模が大きい。。

少し前には、トップ漫画家の年収が8000万円を超えるという別の記事もありました。創業者の陳安妮(Chen Anni)はまだ28歳とか!規模もスピード感も凄いものですね。

月間アクティブユーザーは4000万人ということで、これは日本のマンガに限らない最大規模のアプリやWebサービスに匹敵します。総人口10億人を超える中国においては、マンガアプリであってもこの規模感ということですね。

なお、Kuaikanのトップページを見ると、日本漫画の掲載はほぼなく、中国内製か、日本のピッコマやLINEマンガなどでも読める韓国製縦カラーマンガが全面を占めています。海の向こうに、完全にマンガの別生態系が出来、それが急速に成長していることが見て取れます。

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次にくるマンガ大賞2021が発表されました。大賞には部門別に『推しの子』『怪獣8号』などが選ばれました。上位から下位まで満遍なく、好決算を発表した集英社作品が目立つ一方、GANMAやLINEマンガなど新進の作品もランクインしています。

8/24に行われた授賞式では、10月より次にくるライトノベル大賞を開始することが発表されました。

今回、拝命しているスマートニュース・マンガチャンネルのお仕事として、「協力」クレジットをさせていただいたことから、序盤より今回の授賞式のこところまでウォッチさせていただきました。

私もいくつか漫画賞の運営をしたことがあるのですが、Webでの展開や授賞式の動画配信、そこにリアル・リモートで登壇する編集者、漫画家の振る舞いなど、全体的に洗練されてきていることを感じました。

特にトップとなった『推しの子』の作者「赤坂アカ×横槍メンゴ」両先生のトークは、ロフトプラスワンを通り越して、Clubhouseのノリが色濃く、こうした場での作家や編集者の振る舞いが1段階進んだことを感じさせてくれました。

授賞式動画は以下(ダヴィンチ主催なのでニコニコ動画を紹介)

同じものが、YoutubeにもBiliBili動画にもアップされているようです。

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LINEマンガが9月より17本のWEBTOONの新連載を順次開始するというニュースです。9/20より人気投票を開始するとのことですので、短期間に一気に開始するということかと思います。

もともと、LINEマンガインディーズなど、大規模な新人作家獲得施策を行っていたLINEマンガですが、一度に17本、しかも日本人漫画家ではなかなか制作が難しいWEBTOONの連載を一気に開始するという点は、非常に注目されるところです。

LINEマンガの取組は、こちらの動画が詳しいです。

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今後、ライブコマースなどの伸びが期待される最前線のTikTokと、紙書籍への取次最大手のニッパン社を起点とした各出版社・書店の取組のようです。

TikTokによる作品紹介や作品発表については、既にヒット作も生まれ期待が高まっているところです。ですが、実は何万・何十万とフォロワーがいて主に若者から支持されているTiktokerたちには、日本においてはなかなかこれがマネタイズできないという課題がありました。

また、これは動画の作り方の問題でもありますが、Tiktokのような紹介の仕方の場合、電子書籍よりはリアル書籍のほうが紹介動画は作りやすいようです。

それらから、こうしたリアル書籍とTiktokのマーケティングが強化されることは両者にとってメリットの大きい形かと思います。

この取組から、中国などでは既に巨大な市場を作っている、ショート動画によるライブコマースが書籍分野で進めば、マンガ・文字ものに限らない新しい市場拡大に繋がることと推測されます。

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追記:

ゲームやライセンスビジネスで内外に事業展開しているアカツキ社が、来春スタートということで、WEBTOONの事業開始を宣言しました。

他の国産マンガアプリと明確に違うことが、日本企業としてはまだ珍しいWEBTOON専門と謡っていること。それから、作品提供の連携先として、SORAJIMA、LOCKER ROOM、コルクといった、スタジオ型でWEBTOONの漫画制作を業とする企業を上げている点です。

まず、マンガアプリは国内に沢山ありますが、WEBTOON専門として、海外も視野に入れてスタートする形は、日本企業の大きな座組だと初めて(既存企業の横展開などはありますが)かなと思います。韓国資本のcomico、ピッコマ、LINEマンガもWEBTOONに強いですが、アカツキ社が国内資本でこの取組をするという点もユニークです。

また、日本のマンガアプリは通例クリエイター個人からの作品提供をメインとするケースが多いですが、最初から「Studio」体制のところから作品を仕入れると謡っている点も新しいところです(運用としては、そうした例は既に多々あるんですけども)

これらを踏まえると、国内のマンガアプリと戦うというよりは、先に紹介している国内韓国資本3社の他、Kuaikan(快看漫画)やBiliBili動画、NAVERなどと同じ、国外領域を攻めようとしていることが感じられます。また、Studioの中にアニメ制作会社が入っているところも非常に面白いところです。

このあたり書き始めると長くなるので、WEBTOONだけの特集記事を近々で書きたいと思います。

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