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【マンガ業界Newsまとめ】インボイス制度緩和措置で支払い8割減?ジャンプBOOKストア!サービス終了 など|12/4-80

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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小規模事業者は納税2割 政府、インボイス制度「激変緩和措置」方針

2023年10月導入のインボイス制度へのカウントダウンに向けて、導入にあたっての緩和措置が浮上しています。導入開始後、小規模事業者が免除されていた消費税10%の支払いが義務化するわけですが、3年間はこれを8割削減=2%分の支払いとする緩和というものです。

この件に、国会議員の赤松健氏が見通しをツイートしています。

このツイートに、赤松氏が期待外れであったというレスや引用が多数ついています。
対して、ここまでの経緯を説明するツイートもありました。

ここでいう2016年に立法されたインボイス制度が施行されるのが2023年10月というわけですが、2022年夏に議員になった赤松氏がそれに対して自分が出来たことは、施行は止められなかったが、なんとか緩和策を引き出したと言う流れに対して、不満が強まっているということですね。

氏が夏に立候補した時点から「なぜ政府与党である自民党から出馬するのか?」という意見も沢山ありましたが、その狙いは、野党側であれば反対意見を述べ続けることを堅持しやすいですが政策立案や意思決定には遠く、与党側であれば止められずともこうした緩和策の引き出しがしやすかったり、立法がしやすいということだったと思います。

逆に、スタンスとして反対を堅持できる候補を国会に送り込むのであれば、野党側で出ていた、栗下善行氏や、藤末健三氏がいたわけですが2人は落選しています。

先日、馴染みの税理士と雑談しました。インボイス制度施行については、オタク票云々とは別なところでもたくさん制度反対の声が上がっているとのこと。今回の3年期限とされるインボイス緩和策は、その期間の3年が、5年、10年と伸びるように運ぶ、言わば時間稼ぎ&骨抜き化からのなし崩し的無力化、法改正へと進めるのが税理士会側の狙いになるんじゃないかと言う見方もあるかもと聞きました。(こういうとき税理士さん達って、本当に強かなんですよ。この「期間限定」というのが、言わば「埋伏の毒」なわけですね)

こうして、実効的な出血被害を弱めながら、赤松氏が「ハードルが高い」という立法を行う時間を稼ぐことに一役担ったのだとしたら、ここで氏に集中砲火するのは「味方を後ろから撃つ」利敵行為になる可能性が高いと私は考えます。良く漫画であるやつですね。全容を知るとわかる犠牲みたいな。

もちろん、投票した議員が期待したことに応えてくれなかったのであれば、そこに意見や批判を言うことはと当然の権利とは思いますが、議員にならないと見えない視野や情報もあるのでしょう。

ままならない現状に「殴りやすい人を殴る」というのは、次善の策をなすどころか、全てを知れば本当は頼もしい味方だった人を失うような、最悪の結果にもつながりかねないかなと、個人的には思います。

自分もままならない人生ですが、みんなの代表として国会議員になってはみたけど、そこもまたとんでもなくままならない場所だった。みたいな漫画的展開は、議員になった人にはあるような話だなと思ったりします。

この結末がどうなるかは、最後まで経過を見ないとわからない、文字通り「歴史が決める」ことであるのは確かですけども、そりゃ、政府や国会なんて魔窟でしょうよと思ったりはしました。個人的には、信じて待ちたいと思います。


「ジャンプBOOKストア!」サービス終了後のお問合せについて

11/30に「ジャンプBOOKストア!」のサービスが終了しました。ユーザーが持っている作品についてなどは、後続サービスの「ゼブラック」「ジャンプ+」に引き継がれることが、発表済みです。

これをうけて、現ジャンプ+編集長の細野修平氏が、このサービス立上げにも関わったということで、振り返りを連続ツイートされています。

現在日の出の勢いのジャンプ+ですが、その立役者である細野氏と、同じく重責を追っているJ+副編集長の籾山さんがこれを立上げ、それが今のジャンプ+などに繋がっていっているんですね。というのがわかるツイートになっております。

今週のWebtoon新規参入・新たな動き

もともと、新人賞などで共同の取り組みを多くしていた、白泉社とcomicoですが、11/30より一気に4作品のWebtoon連載を開始。白泉社のマンガParkのほか、comicoでも連載とのことです。


ComicFestaなども運営し、成人向け作品にも強いウェイブ社のWebtoonスタジオ『studio73』が、続々と「お色気系Webtoon」を出しているのとのこと。強みを活かしてますね。なんとなくタイトルが一番良かったところを選んだら、サンスポさんの記事になりました。


今年オープンしたばかりのWebtoonプラットフォーム「HykeComic」が、Googleのアプリを評価する賞を受賞しています。過去にはジャンプ+なども選ばれていた賞ですね。


LINEマンガが2022年の年間ランキングトップ20を公開していますが、総合年間ランキングの20のうち、日本の誰もが知るヒット横マンガが5作品で、それ以外の15作品は「LINE WEBTOON」提供作品のようです。

今年、デイリーランキングなどでは、LOCKER ROOM社の『路上伝説』や、ナンバーナイン社の『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』など国産新興勢が、ランキング上位に顔を出すということがありましたが、年間トータルとなるとこの結果ということのようです。

個人的には、同ランク2022年新作にもピックアップされている、『コミュ障、異世界へ行く』がおすすめです。山下くん頑張れ!課金してるよ!


国内News

毎度おなじみ、不破雷蔵さんによる日本雑誌協会の印刷証明付き部数四半期レポート、2022年7~9月版です。

小学館の学年誌って、小学1年生だけになって久しいのですね。
少女誌は変らず「ちゃお」が15.3万部でトップ。コロコロの33万部の半分くらい。

女性誌はBeLoveが変わらず一位です。女性誌については、大手出版社では小学館をのぞいてマンガアプリによる打ち出しが雑誌代替になっている形でしょうか。


U-NEXTがオリジナルマンガを制作していることに関する記事です。

「動画のおまけではなく、一つの書店としての存在感を発揮してきた」。その規模は「電子書店の中でも無視できない規模になってきている」とのことで、動画配信専門サイトもコミック配信サイト併設→オリジナルマンガ制作という流れですね。同様の形だと、フジテレビ系のFODもオリジナルマンガ制作に力を入れ始めています。


「鳥嶋和彦顧問は退任し、社友になった。」という一文が、冒頭の書き出しを結んでいます。


禁止商品に関する規定改定が話題になったPixivですが、禁止商品には「実写による公序良俗に反する商品」が該当とのことで、焦点がここに定まったようですね。


DAYS NEO、マンガワン、PixivComicIndies、アース・スターエンターテイメントと、最近新人獲得の新しい取組に対するリリースが増えています。

今週の中ですと「読切」に関する話題が多いです。
これは、ジャンプ+が『ルックバック』などをはじめとした長めの読切でヒット作品を作ったり、誌面の制約のないマンガアプリの特性を活用して、大量の読切を掲載→ヒット連載立上げと言う流れを確立したことを受けて、業界が変わってきているように感じています。


海外News

有料記事なので途中までですが、米国のマンガファンの若者が、コレクションをして本棚を投稿するために紙を買う。というのは、実際見るとなるほどなと思いますね。あとやっぱり、家が大きそうですよねw


「6年間、中国で禁止されていた韓国映画サービスが、中国OTT(オンライン動画サービス)で再開した」。韓国大統領室が、「限韓令」(中国内の韓流禁止令)解除されたことを伝えると、「K-コンテンツ」への期待が高まり、株式市場が好反応した。

https://www.afpbb.com/articles/-/3440894

とのこと。「ウ・ヨンウ」とか、中国ではどうなんでしょうね。
2017年に限韓令が始まる前、中国で放映されていた韓国番組の比率は30%近かったが、限韓令後は5%水準まで急落したとのことで、これは大きそうです。


韓国のニュースですが「ウェブ漫画OST制作ショー」と言うワードに心が引っ掛かりました。バラエティ番組として、WebtoonにK-POPを結合させてOST(オリジナルサウンドトラック)を作っていくことが、番組として成立していくようです。なるほど、先を行ってますね。


「異世界転生系」か「大人のラブロマンス」かといわれている日本Webtoon界隈ですが、やっぱりBLドラマ出てきますよねー。

この「よくおごってくれるおかしな理事」というタイトルは、邦訳の問題もあるとは思うんですが、「おっさんずラブ」に近い深淵さを感じ、ジャンルとしてはだいぶ成熟してそうだなーという感覚を持ちました。しかもSFでもあるみたいですし。


カカオのデータセンター火災から、カカオトーク急落、LINEにユーザー集中、最終的にはカカオトークに戻る。という流れがあったようです。なるほど。


台湾のマンガ施策です。制作設備を実際使っているシーンも。


漫画全巻ドットコムのTrico社が、台湾進出ですね。しかもかなり街中です。 この台北101と言うビルにディンタイフォン(鼎泰豐)の小籠包食べに行ったことあります。


AIイラスト・画像生成関連

マンガ業界的には大きなニュースかもしれません。

漫画家利用最大手のクリップスタジオについて、実装された画像生成AI機能をユーザーの声で搭載中止とのことです。ツイートを見ると、実は海外ユーザーの反発が強かったとのことなんですが、これどうなっていきますかね。

AdobeはAI機能実装をこの搭載中止発表のタイミングでしてると言いますし、今回クリスタに実装した「stable diffusion」が著作権のあやふやな画像を取り込む仕組みと言うことで、海外でヒールだったということもあるようですね。もしかすると「画像生成AI」を全面的に導入禁止するのではなく、クリエイターにとって補助的に使用できる機能を優先して入れていけば良いのかもですね。

有料なので簡単ではなさそうですが「DALL·E 2」などの背景補完作画的な機能とか、漫画家にとってはとても需要がある気がします。


今週も、画像生成AIまわりと、その未来みたいな記事が沢山ありました。
上記1本目は、バクっとしたところでシンプルに書いていて読みやすいですが、2本目のゲーム系メディアのベテランライター新さんの記事は、総括として面白いです。ちょっとハイコンテキストかもですが。


記事のみ紹介


告知関連

IMART2022 オンライン忘年会

去年は、新宿ロフトプラスワンでリアル開催したIMART忘年会ですが、今年はアニメプロデュース会社「アーチ株式会社」のオフィスで、鍋をつつきながらやります。

登壇はアーチ代表平澤さんとIMART数土直志で、12/18(日)18時~です。
もう完全にアニメ業界の人の内輪な配信とかになりそうですが、オンライン忘年会の雰囲気を楽しめそうでしたら、良ければ是非。


告知と言うか読者の皆様に相談

最近、わたしが7-8年前に書いたこの
「漫画家が日本に何人いるか考えてみた」

「わかりません」
という出オチ感満載の記事を読んだけど、結局わかんないの?という質問を各所で受けるんです。それらしい検索するとこれがトップに出ちゃうんですよね。

この「漫画家は結局何人なの?」問題ですが、なんとか試算できないものかと思ったりしています。大学の先生方とかリサーチャーの方とか「こうすれば試算できるのではないか?」みたいなアイディアお持ちの方いらっしゃらないでしょうか。出来ることなら、自分も何か出来ないかなと思っています。

これこそ、政府予算やるべきことかなと個人的には思ってまして、クールジャパンで何かするなら、この漫画家の動態調査や、IP展開による売り上げ追尾みたいな、お金や手間のかかる調査をしっかり最初にやって、基礎データ把握のうえ、実効的な課題の設定からやれば良いと個人的には思ったりしてます。

よくわらからないおっさんの「おれはこれが良と思うんだ」的な思い付き施策じゃほんとなんにもならないというのは、最近良く記事にもなってますしね。

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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。

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