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【マンガ業界Newsまとめ】グリーもタテ読み進出、海賊版サイト「漫画BANK」中国で摘発、など|7/17-060

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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グリーが縦読みを軸にマンガ事業に新規参入、プラットフォームも今冬リリース

グリー社がマンガ事業への新規参入を発表しました。
100%出資子会社により「DADAN」というブランドでプラットフォーム運営やマンガ制作を手掛けるとのことで、サービスは今冬開始とのこと。

今回のリリース情報の中では、メディアミックス、メタバース、IPプロデュースと言った言葉とともに、タイトルで縦読み漫画を軸とのことで、Webtoonへの進出もうたっていますね。

GREEといえばガラケー時代の2004年の創業以来ゲームを手掛け、2022年現在もスマホ向けサービスとして手堅くゲーム事業を行っています。

しかしながらマンガとのかかわりが無いわけでもなく、グループ会社のGlossom社は、筆者の所属するコミチ社と共同で「ヤンマガWeb」の開発に関わるなどしております。長く開発やIP展開事業を続けている会社ですので、こうしたマンガとの接点も一つや二つではないと思われ、そうした要素も今回の新事業に組み込まれているのではないかと思います。


海賊版サイト「漫画BANK」運営者、中国で摘発&行政処罰が確定 集英社が声明「民事訴訟提起も含めたあらゆる可能性を検討」

まず端的に、日本マンガ業界初の成果として、中国の違法サイトの摘発を日本主導の動きで実現できたということが大きいですね。この記事の中心となる集英社の発表でも、海賊版対策に取り組まれ続けてきた、赤松健さん福井健策弁護士も同様のコメントをされています。

ただ、現時点で処分された男性の罰金はたったの60万円だったということで、過料としては軽微すぎるので、民事訴訟も検討とのことで、このあたりは日中でも変わらない追い込み方になりますね。ともかく、対象者が国境を越えて特定されたことが大きいですし、実際にサイト運営が止まったりしているのも、犯罪抑止にはつながりそうで、大きな成果かと。

海賊版対策にまつわる話題ですが、まず今回のこの漫画BANK摘発について、NHKクロ現で7/19に放送されるようです。

クロ現は過去、漫画村-CloudFlareの追い込みで、番組として独特な動きを見せ、当時の漫画村のサーバーがウクライナの寒村にあることを突き止めるなど、驚く動きを見せてくれていますので、この番組も楽しみです。今回の漫画BANKの容疑者が在住する重慶市の取材などもありそうですね。


それとこちらは、海賊版サイトの被害額などについての記事、および総務省の実際の議事です。

この海賊版対策まわりの動きについては、官民一体で地道にコツコツ続けられているなぁと感心することしきりです。これについては、現状の制約条件の中、やるべきことをしっかりやってる状態と言えるのではないかなと思います。関係者の皆様には頭が下がる思いですし、色々ご苦労はあるかと思いますが本当にお疲れ様ですと思います。


オール講談社の漫画アプリ「マガポケ」 名作集め急伸

現在、出版社が運営するマンガアプリについては、集英社の「ジャンプ+」と講談社の「マガポケ」の2強となっているという記事です。

記事中では、マガポケの中での作品の取組などに触れています。少年マガジン編集部中心の運営としながらも、基本的には講談社全体の男性向け作品を投入しているとのこと。少年誌のみならず青年誌作品等も投入しているということですね。

昨年マガポケについて個人的に注目した動きとしては、『はじめの一歩』『ファブル』『ハコヅメ』と言った、注目作品を出稿素材として、非常に大きな出稿予算を投じたことが大きかったと考えています。

特に、電子化が遅れた『はじめの一歩』を素材として出稿を続けたことはインパクトがあり、筆者も一歩の動き以来マガポケを習慣的に使うようになりました。

また、昨年7月のピッコマの大型調達以来、マンガアプリの生命線であるWeb出稿での新規ユーザー獲得コストの暴騰があった中で、出版社アプリでは唯一このマガポケだけが大型予算を投じ続けたことが見て取れていたかと思います。(これはデータというより、スマホを触っているときの印象的な面でです)

多くのオリジナル作品を擁したマガポケが、月間恐らく数億円規模の出稿を続けたことにより、強いアプリとして生き残ったわけですが、一方でそれ以外の出版社系アプリは、新規獲得ユーザー数や売上において、昨秋以降厳しい戦いとなってきていることが、調査会社のデータなどから明らかになっています。

このあたり、マンガアプリはWeb出稿で大きな予算をかけるか否かの優勝劣敗は決定的な状態となって来ており、マンガにおけるアプリ・Webの潮目の変化のひとつとなっていくように思います。


韓国ウェブトゥーンの強さの基盤を作ったのは2000年代のDAUM・NAVER戦争だった

全3回の連載2回目です。今回も、日本のWebtoon界隈に向けて示唆深い内容になっております。

DAUM、NAVERなどのWebマンガ時代から、現在に至る経緯の中から、日本の現在主流になっているWebtoonづくりの形と、韓国でとられた仕組みの形について言及されています。このあたり、細かいニュアンスが大事と思いますので、記事のほうを熟読いただければと思います。


今週のWebtoon新規参入

トップにも書きましたが、プラットフォームともども、グリー社も進出とのことですね。


D&Cメディア社が子会社の「スタジオブーム」を通じ、日本の「Link-U」社と5対5の割合で出資し、日本にウェブトゥーンスタジオをを設立する計画とのこと。

Link-U社は、小学館-マンガワン、スクエニ-マンガUPや、近年では集英社-ゼブラックなど、マンガアプリに関わる開発などを行っている企業です。そこからの展開として、韓国のWebtoonスタジオと組んで内外への展開をはかるというもののようですね


Webtoonスタジオ設立も宣言していましたNokid社ですが、このタームで着彩に特化した受託制作をリリースしています。現在、Webtoon制作まわりでは着彩についてクリエイターを各社が個別確保することに難しさを感じている企業も多く、もともとイラストやアニメの制作受託をしていたNokid社としては、これまでの業態に近い形として着彩の受託を事業化していこうということかなと読み取りました。

多くのWebtoon事業者の進出が伝えられる昨今ですが、出自によってこうして得意領域に事業を振る形も、これから沢山出てくるのではないでしょうか。


海外News

韓国で「今日のウェブ漫画」というドラマが製作中で、予告映像が出つつあるようですね。こちら、日本ドラマ「重版出来!」のリメイク作とあるのですが、実際は漫画の『重版出来!』のリメイクなのだそうです。

日本で「編集者」といえば、現在は「漫画編集者」を作品で良く見かけ、イメージされやすいわけですが、これが現在の韓国となると「Webtoon編集者」になるわけですね。ちょっと見てみたいですね。主人公の女の子、ちゃんと柔道やる設定になってるみたいですね(笑


タイのマンガ書店「パーカートゥーン」さんが、7/30をもって閉店とのこと。1995年から27年間も続いた、タイの伝説的マンガ書店とのことで、常連客に惜しまれての閉店とのことです。

こうした、世界に広がるローカルコミュニティが一度消えてしまうと、代わりになるものはなくただ消滅してしまいます。こうした書店を助けることなどに、クールジャパンの予算を使って欲しいですね。


リリースは、「FANCY FRONTIER開拓動漫祭」へ『あおぎり高校/Vtuber High School』のアイテム出展という内容なのですが、コロナ禍で2020年21年となかなか開催がままならなかった、台湾のコンテンツイベントFANCY FRONTIERが今年も開催されている(7/16-17)ということで、引き続き頑張って欲しいなと思いました。

FANCY FRONTIERのニュース、ここのところ邦訳されたものがちょっと少ないのですよね。日本サイドの出展もなかなか難しい時勢なので、仕方ないとは思うのですが。


国内News

これはなかなか高度なリリースで、WebtoonStudioのSORAJIMA社が、「SORAJIMA Studio」としていたブランド名称を「SORAJIMA」に変更するというものです。

それによって、スタジオの枠内に活動の幅をとどめず、より広く
「コンテンツカンパニー」として世界に挑戦とのこと。Webtoonを作り続けることは継続しつつ、より多角的にビジネスを展開したいということなのでしょう。

SORAJIMA社はWebtoonStudioが勃興する昨今の中で、作品提供をいち早くcomicoなどに先行して行っており、既にある程度のStudioとしての結果やデータを得ている企業です。最近作品を公開し始めた他のスタジオに比べると1‐2年以上のアドバンテージがあるわけですね。

そのため、この動きもしかり、今後のStudioの動きの指針となるものとして注目してよいことなのではないかなと推測しています。


源流のサービスである「ソフトアイランド」から辿ると、実に1996年から続くデジタルプラットフォームDLSiteを運営するviviON社が、ここに来て紙の出版を開始するというものです。

リリースを読むと、紙の本の提供にあたっての説明の中で「ユーザー」より先に「クリエイター」の文字が並ぶことが見て取れます。デジタルボーンの作品作りをしているクリエイターの中には、もともと紙の出版をしていたり、紙の出版にあこがれを持つなど、やはり「紙」の価値を大事に思う方も少なくありません。

そうしたクリエイター施策の一つなのかなとみて取れました。


アル社で運営していた「elu」ですが、

この度、「elu」は「デジタルECサービス」から「ポートフォリオECサービス」へと生まれ変わります。

アル社の告知メールより

とのことです。詳細はサイトにて。漫画家のポートフォリオ機能として「非売品」を登録できるというのが面白いですね。


先般の山田太郎議員しかり、なぜか表現系で出馬する方は53万票を獲得するんですよね。「私の戦闘力は53万です」という言霊の力を感じます。


記事のみ紹介


告知関連

現役アニメ業界関係者に訊く!アニメ業界の就職と育成

開催日時:2022/7/23(土)11:00~
視聴方法:ZOOMウェビナーによる配信イベント
チケット:一般1500円、学割500円

[トークゲスト]
舛本 和也(株式会社TRIGGER 取締役)
西位 輝美(アニメーター)
サイエンスSARU 採用担当
[モデレーター]  
中山 英樹 (IMART運営/株式会社ワクワーク代表)

なかなか聞けない、アニメ業界の就職事情について、現場の方だけ集めての濃い目のセッションになっております。詳しくはサイトをどうぞ。


ジャンプのミライ2022

イベント名:ジャンプのミライ2022(ジャンプアプリ開発コンテスト関連イベント)
開催形式:オンライン形式(Zoomウェビナー)
参加費:無料(先着順)
開催日:第2回 ジャンプの挑戦:7月27日(水)18:30~
主催:少年ジャンプ+編集部


漫画家協会ちゃんねる開設記念プレゼントキャンペーン|日本漫画家協会

日本漫画家協会がYoutubeチャンネルを開設、ちばてつや先生などが発信をされています。なぜチャンネルを作ったのか?司会が森川ジョージ先生(日本漫画家協会理事のおひとり)と、いきなり豪華な方々が出てきているのですが、そうした前振りも特になく、ともかく突然始まっております。

なんとも味わい深い滑り出しで、プレゼントも「ちばてつやフィギュア」とあるので、ちば先生がフィギュアになるのかと思いきや、ジョーのフィギュアでした。確かにそれはちょっと欲しいですね。


横漫画家さんがウェブトゥーンに挑戦したときの課題?

個人的な発進なのですが、今度上記のような企画をやりますので、TwitterのレスやDMなどでご意見いただけますと幸いです。


7/22「藤津亮太のアニメの門チャンネル」でお話しします

日時:2022/7/22(金) 21:30~ ニコ生にて(半分以上は無料視聴可&アーカイブあり)
テーマ:「マンガの門」アニメとマンガの深い関係とこれから
視聴:4テーマ話すうち3つは無料
概要:アニメライターの藤津亮太さんの配信番組なのですが、2回に1回が、同じくライターのまつもとあつしさんの回でして、アニメとマンガのこれからということで、まつもとさんとお話をさせていただきます。

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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

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