【マンガ業界Newsまとめ】SHIBUYA TSUTAYAオープン、海賊版サイト次の課題、各社Web雑誌リニューアル など|4/29-151
マンガ業界ニュースの週1まとめです。マンガ・アニメ業界向けイベントIMART(https://imart.tokyo/) を運営するMANGA総研代表の筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。
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「SHIBUYA TSUTAYA」誕生 渋谷の新ランドマークはレンタルからIPへ
SHIBUYA TSUTAYAが4/25にオープンしました。日本の一大目玉スポット、渋谷スクランブル交差点前にある、東京の代表的ランド―マークのリニューアルです。下手なテーマパークを超える年間1000万人超が来場する場所とか。
4/24には、関係者・メディア向けのプレオープンもあり、多くのメディアに記事や映像が出ました。もともとは、イベントも出来る書店ということで膨大な作品数をラインナップすることが特徴で、多くの作品がこの渋ツタをきっかけに大ヒットしました。
新生渋ツタは、IPに寄り添い、新たな知的財産を日本から世界へ発信できる拠点となりました。
多くをラインナップするというよりは、特定のIPに特化して強く発信できる場と設計されたようです。
6F IP書店では、集英社ヤンジャンの墨絵、秋田書店、芳文社、ナンバーナインなどなど、レーベルや作品、特定のコンセプトに特化した大胆なディスプレイがされていました。B1 IPスクウェアでは、講談社マガポケ原作の『WIND BREAKER』を大きくフィーチャーしています。
他にも、コラボカフェやポケモンカードラウンジなど、IPにフィーチャーした場が多数準備されています。
また、総合書店としての機能は、急東急東横線跡地に昨年オープンした「渋谷サクラステージ」内に「TSUTAYA BOOKSTORE」が今夏オープン予定で、こちらに移管するかたちというところでしょうか。
私も内覧に招待いただきました。お店のご近所TOブックス『本好きの下克上』の、図書館司書魔道具のシュバルツとヴァイスの人形が飾ってありました。個人的に嬉しかったです。
SHIBUYA TSUTAYAは「好きなもので、世界をつくれ。」をテーマとし、新しい“カルチュア・インフラ”を作っていくことを目指しているとのこと。エンタメ業界にとっても日本の産業にとっても、このお店のインバウンド拠点としての重要度は、特S級と言えましょう。今後に大いに期待したいところです。ちなみに、お仕事としても実は少し前から若干関わらせていただいておりまして、何かありましたらお声がけください。
海賊版サイト、次の課題
海賊版サイトに過去最大級の賠償額 それでもユーザーは「負荷」の低いものを選び続ける 出版社の解決策は?
漫画村に「17億円賠償命令」でも変わらぬ深刻実態海外サイト、SNSで増殖し続ける「タダ読み」
先週、元漫画村事案に17億円程の賠償判決が出ました。これは大きなマイルストンではありましたが、全ての問題が解決したわけではなく、ベトナム拠点の日本向け海賊版サイトや、海外向けなど、マンガだけでも多くのタイプの海賊版サイトが残っています。
次の課題、海外のサイト運営者対策をどうしていくかというところもありますが、単純な規制のみならず、正規サービス提供側にも、多くの工夫や施策が必要で、その連携が肝心なのだとは思います。
マンガ早バレ「一つ潰せばすべてなくなる可能性は低い」 集英社・伊東敦参与が「漫画村」判決会見で指摘
ABJの活動の中心選手である、集英社の伊藤さんも「まだまだ」とおっしゃってますし、それぞれの記事より、世論も実行部隊も現状を甘く見てないと言えるでしょう。
各社媒体のリニューアル続く、ベンダーも多様化
各社の媒体が、続々リニューアルをしています。
秋田書店「チャンピオンクロス」- コミチ
秋田書店のマンガクロスがリニューアルです。
『バキシリーズ』などの少年誌系作品のほか『僕ヤバ』や女性向け作品など、様々な作品を連載していたマンガクロスですが、このタイミングでチャンピオンクロスという、その前に行ってたサービス名に戻しつつサイトをリニューアルしています。
掲載作品に『魔入りました!入間くん』や『弱虫ペダル』なども入り、少年チャンピオン全体のサービスになっていそうですね。
ベンダーはコミチ社で、秋田書店はこれにより青年誌系のヤンチャンWebにつづき、少年誌系のチャンピオンクロスということで、コミチ系で統一したサービスとなっております。そのため、ユーザーIDも統一されています。
日本の出版社では、複数の局(少年、青年誌など)がある場合、システムベンダーを複数に分ける傾向があります。一社に統一するケースは稀で、出版社側としてはリスク回避という思惑もあります。
ただ、個人的には、DXという観点では、システムを統一しないことにはDX本来のメリットが得られにくいため、この形の方がDXに力を入れてる姿勢とは思います。(複数ベンダーでもやり様はありますが、社内に高度なIT人材を入れたうえで、その人材が高度に機能する必要があります)
ちなみに、秋田書店はコミチ社に出資しています。
新潮社「コミックバンチKai」- はてな
近年、新潮社のバンチは、紙雑誌の月刊コミックバンチ、Webのくらげバンチという並走でしたが、今回のタイミングで紙雑誌が「コミックバンチKai」にリニューアル。webで2媒体並走する形となりました。
このタイミングで、コミックバンチKaiの編集長も交代し、媒体としても新しい動きを目指していくようです。2つ目の記事に詳しいです。
ベンダーは、はてな社です。先行するくらげバンチも同社ですので、同じベンダーで統一されてますね。個人的に、KaiのほうのログインIDは、くらげと統一されるのか注目していましたが、現状はまだ無料公開のみでログイン機能も見当たらず、わかりませんでした。まぁそうなるとは思いますが。
ジャイブ社「ネクストf Lian」- 兼松グランクス?
メディアドゥ系ジャイブ社の「ネクストf」は、レーベル名を「ネクストf Lian(リアン)」とリニューアル&創刊です。12月までの9カ月連続で、14作品の新連載を配信予定とのこと。
ベンダーはもともとのシステム(アプリ)は兼松グランクス社でした。
こちらは新サイトのベンダーが今のところ未発表なので、変わる可能性もあります。変わらないかもしれませんが。
国内News
DLSiteのクレカ使用問題、エイシス社による交渉の結果Visa,Maseter,Amexなど「現時点での再開は難しい状況」とのこと。現状、クレカはJCB、他メジャーなサービスではPaypayが使えるようです。派生してか、他のサービスでも使用停止が相次いでいるようです。
同じ方向性のサービスの中では、とらのあなfantiaは伏せ字対応など続けているとのこと。
Pixivが「アメリカ」「イギリス」のユーザーのみ、閲覧について
特定の国・地域における、健全な表現のための制限
とのこと。このあたり、グローバル(グローカルとも)の難しい課題が国内サービスにも影響を大きく及ぼしてきましたね。
芸能プロダクション・スターダストプロモーション傘下の企業が、実写化マンガレーベル「BeSTAR comics(ビースターコミックス)」を立上げとのこと。珍しいのは、同グループによる映像化に向けて、企画段階から映像化を視野に作品作りをするとのこと。
taskey社はコミックシーモアと協業レーベル開始ですね。既にWebtoonSTUDIOとして作品制作をおこなっていますが、こちらは横読み漫画のレーベルですね。
仕込みがすごいですね。
日本橋三越と『ポーの一族』コラボです。高級感が相乗効果を持つ良い形ですね。
Booklive社のクリエイター向けサービス「Xfolio」ですが、作品数で20万点、累計会員数で5万人とのこと。このサービスは、クリエイターから見てポートフォリオとして使いやすいという観点で良いサービスなのでしょうね。
今年のコミケは12/29-30とのこと。
応募して通ったら、今年は、このニュースまとめの同人誌でも作ってみようかなと。
これは面白いですー。マンガワンの編集部動画もそうですが、こういう形のクリエイター向けPR増えてきましたね。当初は、こうしたことは新興編集部・レーベルなどが行うものでしたが、マガジン、ジャンプ、マンガワンといった、大手出版社のメジャーレーベルがこうしたことを行うと、内容も面白いので強いですね。
『セクシー田中さん』の件、日テレの調査公表、少々遅れるとのことです。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
コアミックス社からWebtoon作品開始ですね。出し先はLINEマンガとebjとのこと。同社は、『終末のワルキューレ』をフーモア社によるWebtoon化で先行させていますが、この作品は同社製作のようですね。
「LINEマンガ」オリジナルwebtoon『まぁるい彼女と残念な彼氏』が映像化、ユニークなのはDNPのライトアニメ化とか。
LINEマンガでヒット中の『神血の救世主』担当編集者の遠藤氏のインタビューです。国産Webtoonの代表作としてこの作品がヒットしたことは頼もしいことですが、この作品は日本の土壌でWebtoonを作るひとつの形と言うか、日本らしい作品作りの在り方を示しているようにも思えます。
ベトナムの着色現場、拡大中とか。
喧嘩独学のアニメ化監督、菱田正和さんの記事です。確かに『喧嘩独学』はアニメ化のコンテとしては最高と言うか、そのままのようにも思えますね。
海外News
長年、日本マンガの翻訳に携わられていた兼光ダニエル真さんの記事です。北米事情に通じたコメントが多数あります。「日本の漫画市場と比べて、例えば北米市場はまだ小さい。世界的にはスタートラインに立ったばかりのところではないか。」あたりから、独特の知見が興味深いです。
中山淳雄さんによるMALレポートです。こちらは、俺レベと同時期の日本アニメとの比較が興味深いです。『俺レベ』と『マッシュル』が同期のアニメになるんですね。CreepyNutsのヒット具合を見ていると場外戦はマッシュル有利にも思えましたが、英語圏のアニメユーザー代表であるMALの中では、『俺レベ』の強いデータが出てますね。
コミックシーモアの北米向けサービス「MangaPlaza」の中で、ボルテージ社と同社のコラボで作られている女性向けレーベル「ボル恋comic」の作品を英訳して出していくとのこと。何故このレーベルか?なぜこのターゲットか?というあたり、狙いが興味深いですね。
*: これ以降、海外の記事を紹介します。自動翻訳などご利用ください。
タイトル訳:カカオエンターテインメントはウェブトゥーンプラットフォーム「ピッコマ」にさらに注力する
今後は単純な買収のみならず、音楽などの多様なエンタメと「有機的」な連携を行っていくとのこと。NAVERはHYBEなどとの様々なビジネスを展開して長い印象ですが、カカオもその報告に行くということでしょうか。
日本のピッコマからも、以下のようなニュースが出ています。
タイトル訳:ブラジル当局、アニメやウェブトゥーンの違法配信を取り締まる
作戦名までちゃんとある海賊版対策がブラジルで!
タイトル訳:火に油を注ぐ:Wattpad Webtoon Studios が映画化パイプラインを改革する方法
これはタイトルの自動翻訳が過激なのですが、Wattpadの映像化も複数作品に渡り、色々あったんだろうなぁという記事です。
タイトル訳:2024年ミッドバレーコミックアートエキスポ
米国オレゴン州のアートフェスの様子です。これはなんとも、歴戦の猛者が多そうな写真たちでした。
コミコン、インドはムンバイで開催とのこと。ジェトロはじめ、何人か日本からも視察に行ったと聞き及んでいます。
AI・画像生成関連
これも楽し気な使い道ですね。なにか小癪なリコメンドをして欲しいですw
日本がAIで勝負するなら、こういうアプリケーション側だと思うんですよね。
これから議論になるであろう、ピュアAIの記事ですね。前回紹介した、文化庁の見解によると、現行法では合法となる考え方ではあります。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
noteの新人賞的もの、マンガや小説だけでではなく、レシピやらビジネスなど色々あります。
記事のみ紹介
手塚治虫文化賞をCOMITAが受賞
告知関連
会期:2024年4月25日(木)~5月12日(日)
会場:池袋・サンシャインシティ 展示ホール
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先週京都精華大学さんで講義をさせていただきました。5月上旬は東京工芸大学さんです。毎年1コマやらせていただいています。なにかそうしたご用命があればご連絡ください。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。原則日曜、月曜以降が休日の場合は、週初めの平日の全日公開にて。たまに番外編も書きます。
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今年2023年11月24日~26日に、第4回IMARTというマンガ・アニメの国際カンファレンスを開催しました。
基調講演に鳥嶋和彦さんを迎え、マンガ・アニメの現場から22のセッションやピッチが行われました。
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インプレス社『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。
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