【マンガ業界Newsまとめ】NFT北斗の拳限定BOX「漢の死に様シリーズ」2時間で完売!など|10/17-022
マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。堅い内容だからか反応がなかなかいただけなくて、SNSシェアや感想いただけると、とても嬉しくむせび泣きます!
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「FanTopは、各コンテンツのファンが、デジタル上の‟ファンアイテム”(ファン向けの収集品)の収集・鑑賞、ファン同士の共有・譲渡・売買を最大限に楽しめるNFTマーケットプレイスです。」
という説明の通り、電子書籍取次最大手、メディアドゥ社によるNFTマケプのリリースです。従来より電子書籍の中古流通を検討し続け、これをブロックチェーン技術による実現を目指すなどしていた同社が、NFT市場の盛り上がりの勢いに乗り、内外のファン向けに2Cサービスとして開始したものがFanTopとなるようです。
いくつか挙げられる特徴としては、まずマーケットのモデルとしては、米国の成功事例とされるNBA Top Shotを目指し、ブロックチェーンの方式についてはFlowのスキームを採用し、決済そのものは安定しない暗号通貨を使用せず、日本円による決済を行うとのことです。
サービス発表の当日、記者発表と兼ねる形で、FanTopにコンテンツを提供する出版社などのIPホルダーをサービス発表会に多数招待していました。当日はリアル会場と同時配信のZOOMウェビナーがおこなわれており、ウェビナーは優に400人を超える視聴者数でした。
筆者も視聴しましたが、同じタイミングで参加していた知人(大手専門店幹部)によると、兼ねてよりメディアドゥとの連携を発表していたトーハン社に誘われて出席したとのこと。
出席者の名前を見渡すと、各社のデジタル担当者以外の名前も見られ、この取組がデジタルのみならずリアル取次・出版界隈を巻き込む形の座組であることが見受けられました。NFTの座組としては異例の堅実さだと思います。
肝心なNFT商品ですが、マンガ、アニメ、音楽、書籍関連等から複数のNFT商品が当日リリースされました。(商品一覧こちら)
例としてひとつ。コアミックス社からは、北斗の拳のアイテム「南斗六聖拳」が418個限定4,910円が販売され、2時間を待たずして完売ということで幸先の良いスタートとなりました。
筆者は出遅れて南斗六聖拳は購入できなかったのですが、知人からシンの死にざまを伝える映像をもらいうけることができました。お返しに同氏の愛犬になるべく近いと思えた犬のイラストをお送りしました。(銀河伝説WEEDより)
トレードにはIDのコピペが必要など、少々手間はありましたが、ユーザー間のコンテンツ取引が可能であることは確認できました。
現状では、サービスの骨子となる部分のリリースと、そのコンセプトが発表されたわけですが、同時に多くのIPホルダーを発表の場に招待し、コンテンツの拡充を狙っていくと考えられます。
即日完売コンテンツが出るなど良いスタートを切っていますが、こと2Cのコンテンツビジネスのこと、今後どういったキラーコンテンツが生まれるかということが、その行方を左右しそうに感じました。
LINE公式アカウント「高校生新聞編集部」をフォローする中高生470人のアンケート結果です。
「漫画を読む頻度」では、ほぼ毎日が31%、週1以上が23%ということで、思う以上に多くの若者が漫画に触れていることがわかります。
利用媒体のアンケートでは「紙の単行本>マンガアプリ」と出て、利用手段では「紙の単行本<マンガアプリ」と調査結果が出ており、そのあたり、ちょっと調査の内容が良く分からないのですが、依然として紙も人気で、当然マンガアプリも多く利用されているということがわかりました。
こちらはニュースということではないのですが、面白いマンガでしたのでご紹介です。
漫画家「花葉田しい」さんによる、古風なタッチのどうやら広告マンガのようなのですが、内容を見るとWeb広告(作中ではLINE広告)における極めて実務的な内容が描かれ、とても現代的です。羊の皮を被った狼的なアレですね。
広告クリエイティブというものは、実は現在のマンガ業界の好況を支える非常に重要な要素です。俗に「スマホでマンガを読まれるには、ゲームやその他アプリと可処分時間の取り合いとなる」と言われていたことを突破し、マンガアプリが日本人の可処分時間を多く奪ってきたことが、日本のマンガ業界の活況に繋がっている節があります。
そうした意味では、マンガ業界人がWeb広告の目利きや、制作ノウハウを知ることのは重要と考え、取りあげさせていただきました。とりあえず読んでください。今日現在全6話で、一覧はこちらです。
講談社には、常時持込を受け付ける仕組みとしてDAYS NEOがありますが、これはマンガアプリPalcyに集約されている講談社少女漫画編集部の各誌が、合同でオンライン出張編集部的な取り組みを行うというものです。
私も以前、京都でのトキワ荘プロジェクト展開を開始する際、その事業計画の中に「Skypeを活用して、強い回線をつないだブースを京都国際マンガミュージアムなどに用意し、いつでも出版社に持ち込みが出来る仕組み」を企画として考えたことがあったのですが、当時はまだビデオ会議が主流とはとても言えなかったため、実現性の面から断念しました。その代わり、京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)の中でのマンガ出張編集部を開催しました。
今や、編集者も漫画家も当たり前のようにビデオ会議を使ってますので、こうなるとこうした座組的な強さが重要になってきている局面なのであろうと考えております。
Publidiaさんよりです。先日、ebookjapanを、LINEマンガを運営するLINE Digital Folontier社がTOB(買収)するというニュースがありました。
両社は、NAVERやYahooグループ(ZHD)などと関係を持っているわけですが、そのあたり判りにくいところが整理されています。
結論的には、LINE Digital Flontier社の株を100%持つWEBTOON Entertaiment社の株を、韓国NAVER社が66.6%持ち、ZHDが33.4%持つということのようです。
とはいっても、図にしないと判りにくいと思いますので、ぜひPublidiaさんを講読して図を見てみてください。一度メアドを入れるだけでOKです。毎度勉強になります。
台湾が、台湾オリジナルの漫画を作れるか?という問いから、台湾のマンガ事情に触れる記事で興味深いです。
筆者は2015年に「京まふ漫画賞」(現:京都国際マンガ・アニメ大賞)という国外向けの漫画賞を創設しまして、第1号受賞者は、この記事にもふられている台湾人漫画家のANNTENA牛魚さんです。
当時以来、多くの台湾人作家の作品を見てきましたが、日本漫画と台湾の関係性を自分なりに述べると、恐らく九州か四国一つ分くらいのマンガ経済圏が台湾一国に相当するくらいの規模感があり、日本漫画の多くの作品的文脈は「同じ国かな?」と感じるくらいにはしっかり伝わっていました。
一方で細かい文化にはそれなりの違いも感じました。恐らく、プロとして活動されているプロを見るのとは別の意味で、台湾の新人作家の作品をたくさん読むと、よりプリミティブな両国の違いを感じられたと思っています。
例えば、新人漫画家は国を問わず「鬼」(西洋だとデーモン)を作品に出しがちですが、その鬼の顔つきには、彼らが幼少期に絵本などで見たであろう地域の「鬼」のイメージが表れます。
また、古式な「家」の描写などでも、建築様式や窓の形など、随所に日本との違いが見て取れました。結果、現代ものでも、作風としては日本をベースにしながら、文化的背景としてはどこか日本とは違う作品が多く見られました。
記事中では「文芸漫画」という自嘲気味な表現も見られますが、自国内市場を育てつつ、日中韓とくにこだわらず、活況の市場へ作品を出し続け、沢山作り、送り出していった地平のその先に、発展というゴールがあるようには思います。
先に日本の出版各社との連携をリリースされていた、中東地区への漫画輸入を企図されて設立された「マンガ・アラビア」ですが、このリリースでは講談社とのパートナーシップを発表しました。
文中では、海外でも評価の高い講談社の『進撃の巨人』に触れていますが、作風・世界観的に、中東などでは慎重なローカライズが求められることもありましょうし、同地域展開においては非常に有効なパートナーシップとなると思います。
タイトル通り今度のスーパーマンはバイセクシャルですという話題なのですが、このあたり版権を出版社が持ち、作品を時代とともにリニューアルしていく米国らしい動きです。
日本であれば、孫悟空がバイでしたという改変は、それはもう主にビックサイトの方面で行われるもので、IPホルダー側で行うことではないですからね。興味深いところではあります。
一点興味があるのは、ちゃんと話が面白くなるのかという点ですが、その辺りはDCのことです。きっとなんとかするのでしょう。あとこれ、映像にもなるんでしょうか。
これもちょっと異文化だなというものです。現マーベルコミック編集長のC.B.セブルスキー氏が、過去日本人ペンネームで作品を創り、作家として活動をしていた。ということを理由に、編集長辞任を求められているというものです。
いわば、日本のマンガ誌編集長が、以前に「ジョン・スミス」というペンネームでアメコミっぽいマンガ投稿をして、連載までしていた。というような話だと思うのですが、恐らく日本だとこれはせいぜい副業違反程度ではないかと問われるくらいで、特に大きな問題とされず、むしろ武勇伝くらいだったのではないかと思います。まぁ「すげぇ~、さすが」くらいな感じですかね。
問題になっているのは、希少な存在である日本人クリエイターの名前を白人男性がカタリ、実在しない人物を演じていたこととか。少し、最近話題の文化盗用的な文脈も入るのでしょうか。本物のアジア人のチャンスを奪ったとも書いてありますね。
ちなみに、セブルスキーさんは日本語ペラペラとのこと。ちょっと友達になりたいなと思いました。個人的にはなんとなく憎めないニュースで、取り上げさせていただきました。難しいものですね。
内容的には、中国快看漫画や、韓国NAVERの最近の動きを丁寧にまとめている良い記事です。タイトルの「日本人だけが知らない」というのが、恐らく編集者が付けたのではと思うのですが、まぁその日本人ユーザーには当然知らない方も多いでしょうけども、業界人はしっかり追いかけてるところではあります。
内容については、記事のほうが良く書けてますので、是非読んでいただければと思うのですが、なかなか難しいのが実際にこの動きが数字的にどうなのかということですね。
まず、事実関係として、日本以外のアプリ市場において、NAVERのWEBTOONなどアプリがアプリランキングで上位を取り続けているのは確かです。(ちなみに、快看は中国以外の国外ではそんなに存在感が今のところ無いようです。あとちょっと特殊なのがブラジルだとか)
2020年の日本のマンガ市場は紙と電子で6000億円程。では海外のほうの市場はいかがでしょうか。一説によると、韓国各社のアプリ関連の売上が、グローバルでそろそろ1000億円位になりそうという話も、噂程度で聞いたことがありますが、定かではありません。はっきりとした数字は韓国でも出てはいないようです。
あくまで想像ですが、状況を鑑みるに、少なくともその海外の漫画市場が急成長しているということは間違いなさそうです。また、映像化やグッズ展開などのアプローチも、日本の製作委員会を中心としたものとは違う、スピーディーで規模感のあるものになるだろうなということは、ある程度予想されます。
一方で、日本はこの10年ほど、紙中心の漫画市場からデジタル中心の漫画市場へのシフトを経験し、その結果成長してきました。この時間経過の中で、多くの業界人が、デジタルが進む先に必要になる本質的な課題にも気づきつつあります。
仮に現在の日本以外の漫画市場が日本の1/6とか1/5くらいの規模だったとして、これが半分とかそれを超える規模になったあたりまでには、現在各社随所で仕込まれている海外向け漫画制作・販売の展開が有効打になっていくように期待したいところですし、わたしもそうした事業を進めて行こうと考えています。
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