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【マンガ業界Newsまとめ】巨大戦艦、集英社「ジャンプTOON」、小学館青年誌5誌合同Web「ビッコミ」発進! など|6/4-104

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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今週は2隻の巨大戦艦進水式が、千代田区神保町で執り行われました。

「作品だけでなく生態系をつくりたい」集英社が今、縦読みマンガ事業に参入する理由。「第1回 ジャンプTOON AWARD」開催

ジャンプがWebtoon開始を宣言しました。

責任者は『ONE PIECE』等の編集者として著名な浅田貴典氏。スタートと同時に開始する「第1回 ジャンプTOON AWARD」の特別審査員には『俺だけレベルアップな件』他、Webtoonの真なるヒットメーカー李・ヒョンソク氏という豪華布陣です。

ビジョンは「作品を作るだけではなく、生態系をくつる」こと。

1968年に少年ジャンプが生まれた当時、先行するマガジン・サンデーなどに、トキワ荘グループをはじめとした売れっ子作家をがっちり抑えられていた後発のジャンプ編集部は、やむを得ず新人を登用して、作家と作品の成長を同時に目指す現在の「型」をつくりました。

以来、手垢のついてない新人による数多くの時代を作り変えるヒット作品を輩出し続け、創刊55年を迎える現在もマンガ業界に君臨し、その勢いは止まりません。

生態系をつくるとは、そうした気宇壮大なスケールを感じさせる言葉です。
個人的には「Jump」ではなく、敢えて「ジャンプ」というカタカナと「TOON」を混ぜるネーミングにも、最強ブランドへの強固な自信や思いが込められている気がします。

集英社を「日本漫画の帝王」と評し、「1年に300本以上の読切を出す」ことにその強みがあるという李・ヒョンソク氏

自身もヤンマガで漫画原作者としてデビューし、comicoの創成期にも立ち会った後にヒット作を多数輩出し、Webtoonを知り尽くした氏が、ジャンプと組んでどういったことをしていくのか、横マンガとWebtoonの最強コンビに注目したいところです。


小学館の青年漫画誌が集結したWeb漫画サイト「ビッコミ」スタート!専用インフラ版コミチ+を導入

*:本件は筆者も業務として関わっております。ご了承ください。

小学館の青年漫画誌5誌「ビッグコミック」「ビッグコミックオリジナル」「ビッグコミックスペリオール」「週刊ビッグコミックスピリッツ」「月刊!スピリッツ」の連載作品の最新話が、最速で1話ずつ読めるWeb漫画サイト「ビッコミ」(開発・運営 コミチ)が2023年5月30日オープンしました。5誌作品の他に、オリジナル連載も予定中です。

既に、マンガワン、サンデーうぇぶり、やわらかスピリッツなどのネット施策を打っている小学館男性向け作品の布陣ではありますが、上記の青年誌5誌を前面に押し出す形のサービスは今回が初めてとなります。

1968年の創刊以来の歴史あるマンガ誌が揃う面子で、常に最新のヒット作品を提供しつつも、同時に膨大な過去作品アーカイブを持っているこの座組からは、これまで以上に多くの新たなヒット作や、過去作品の掘り起こしが期待できます。

責任者は『重版出来!』やゆうきまさみ氏作品、小学館ラクガキ大会などに携わってきた山内菜緒子氏で、ビッコミの編集長となります。ビッコミ公式Twitterはこちら。

Webによる作品発信は、掲載作品内容の表現や数における自由度が高く、世間の話題に素早く反応できることが利点の一つです。早速、週末にTVで紹介された内容にも即時反応し、話題になるなり、作品をすぐ読める導線を公式から案内しています。

↑リンクに入ると、すぐに無料で3話試し読み可能。記事公開時点ではまだ全5話の新連載のため、4話目から有料の話売りになっていますが、通常は4話目以降「待つと無料」で、これを読むにはユーザー登録が必要なため、再訪を促します。

先行していた「ヤンジャンアプリ&となりのヤングジャンプ」「ヤンマガWeb」今年に入ってサービススタートした「ヤングアニマルWeb」「ヤンチャンWeb」に続き、今回は「ビッコミ」ということで、主だった青年誌系のWeb/アプリサービスが出揃った形でもあります。

なお、上記のうちヤンジャン関連をのぞく全ての青年誌Webに対し、開発・運用などの形で、コミチ社がサービスを提供しております。最近スタートしたビッコミを含めて、全誌驚くほど絶好調に新たな読者を開拓しており、新連載の第1巻発刊にあたり、出足好調と言う数字なども出始めました。


マンガ・アニメ業界をつなぐイベント「IMART2023」、3日間にわたり開催決定

*:本件は筆者が関与するイベントです。ご了承ください。

2019年以来、'21、'22と、3回開催されてきた、マンガ・アニメ業界を繋ぐボーダレス業界イベント、IMARTですが、今年は11/24,25,26の3日間開催と発表しました。

現時点では開催発表と、セッションを選定する新メンバーの発表に留まっています。もともとIMART創設時から関わる、山内、数土、中山Director、菊池(筆者)の他に、新しいメンバーがセッション選定に参加。

IMART2023 セッション選定委員

それぞれ、いしじまえいわ氏岩本貴子氏、川俣綾香氏、ちゃんめい氏、前田雄太氏、渡辺由美子氏と、幅広い方々がセッション選定に関わる形です。何度か打合せをしましたが、皆さん頼もしい方々で、今年の開催が楽しみです。


国内News

各社人事の季節ですね。

講談社の動きが大きく、コミックの統括部門がかなり動いています。
第三事業本部が少年誌、ラノベ、幼年誌等となり、第四事業本部に青年誌女性コミック、別途DaysNeoなど運営するクリエイターズラボは担当役員直轄という形に。近年強化が続くアニメの部門はライツ・メディアクリエイティブ事業部でゲームと並ぶ形に。恐らく、池袋のMixaliveなどもここでしょう。

3月にヤングアニマルWebを開始した白泉社はDX推進準備室を、マンガに注力を開始した光文社はWebメディア統括室・流通管理室を新設とのこと。言葉通りDX寄りの動きが強まっていますね。


りぼんが、社外の小学館ちゃお、社内のジャンプとの取組を始めています。
ジャンプ+副編集長の籾山氏によると、ジャンプ55周年記念イベントでもあるようです。


ブックリスタ社が3月に開始した創作支援サービス「YOMcoma」は、開始2か月で作品PVが300万とのこと。こちらも好調のようですね。


セルシス社のクリスタ、累計出荷本数が3000万本超えとのこと。20%が海外とのこと。Webtoon周りで施策や他社連携を強化中の同社の動きを考えると、これから更に海外シェアも増やしていくことが狙いかなと思います。


コミケの入場制限原則撤廃とのこと。これはこれでまた運営にご苦労が増えると思うのですが、ともかくもお疲れ様です。


今週話題になった、東洋経済のアニメ特集については非常に面白い記事も多く、私も記事にTwitterスペースにと勉強させてもらったと思っています。

ただ、この記事のタイトルはイケてないですね。実際記事を読んでも、業務理解をもって読み解くと「作家を守る。作家に良い作品を描いてもらうようにサポートする」という、マンガ出版社が許される環境下の範囲での基本ムーブをしてるにすぎません。それを怠る出版社は、早晩作家から見放され、良い作品を輩出できなくなります。外せない基本中の基本です。

恐らく、記事を書いている方と記事タイトルをつけてる方は違う人なんじゃないかとは思うのですが、いずれにせよこのタイトルをつけた方
には「ちゃんと勉強してね」とお伝えしたいです。


マンガ関係者のみならず、声優、アニメ関係者にもちろんファンなど、多くの方が参列されたようです。野沢雅子さんと池田昌子さんのやり取りには、泣いてしまいました。


入場無料のイベントとのことですが、これちょっと、イベントの建付けとか許諾的な処理はどういう形が適切なのか気になりますね。自治体イベントなので、ちゃんとやってるのだと思うのですが。


まさかの99%賛成とはw 親世代で、マンガに触れてない人がいなくなっちゃったんでしょうね。マンガは読解するのが大変なくらい情報が詰め込まれているものでもあると、上の世代が認知しているというのは、コメントを見ても感じられますね。


メディアドゥとして念願であった、電子書籍の中古流通についてNFTを用いて行うという取組が、早川書房協力でスタートとのこと。

電子書籍の閲覧権が転売された際に、NFTによる取引ログを追うことにより、出版社や著者にも改めて販売手数料などが還元できる仕組みと目しますが、これはどのプラットフォームで始まっていくのか、どう広がっていくのか?というあたりが注目ですね。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

先日スタートが発表されたAmazonのWebtoonサービスFliptoonですが、ここに日本のPublisherとしては初めて、comicoが作品提供を開始するとのこと。

このAmazonFliptoonは、韓国のスタジオ作品を、日本のAmazonが販売するというところからスタートしており、日本のPublisherがスタート時に作品提供してない状態に、国内業界全体「!?」となっていましたが、やはり順次入っていく形ですね。

comico社はこれに限らず、多くの電子書店・アプリに作品を提供しておりますので、そのあたりの実績が買われた形でしょうか。これから他社提供の作品も増えることでしょう。


LINEマンガが運営開始10周年ということで、それにまつわる記事が出て来ていますね。1本目が、LINEマンガとebookjapanのそれぞれの代表の金氏と高橋氏。2本目が、LINEマンガの中でより現場に近い統括ポジションで長くやられている、森啓さんです。

森さんの記事にある「教室でのまわし読み」体験を、アプリやWeb上で仮想的に実現するという考え方は、本当に10年前からその話しをしていたと記憶してます。引いてみると、ほとんどの電子コミックに関わる人が、制作・流通に関わらずみんな考えていたことでした。

実際、この部分をデータを見ながら真摯に進めてきたのが、LINEマンガの現在の成功の素になっていると思いますし、他社もやはり伸びたところはそうなのだと思います。

2本に共通して出てくるのは、LINEマンガはこれからはスポーツ漫画だと考えていることですね。見開きの無いWebtoonは、当初スポーツ漫画が難しいと言われていましたが、新たな表現方法が色々と広がってきているということなのでしょう。格闘技だと、すでにいくつか良いものが出てますしね。


クリークアンドリバー社の韓国にあるグループ会社CRE社が、新作Webtoonを作りつつ、これを韓国、日本に展開とのこと。

この型だと、自然に今の売れ線の作品ができやすそうです。


日本でも韓国でもどこでも、子供向けのマンガなどのサービスは、デジタルデバイスだと決済が問題になるので、どうしたものか?という、なかなか解き難い命題があるのですが、これを日韓・Webtoonに渡って書いてある、本当に飯田さんらしい記事です。これはもう面白いので全部読んでください。


国産Webtoonでも最近のヒット作『氷の城壁』の作家、阿賀沢紅茶さんのインタビュー記事です。『氷の城壁』がコミックス化したゆえの記事ですが、阿賀沢さんは次の作品を横マンガで描いているのですよね。そのあたり縦→横というパターンで描かれている数少ない作家さんの意見は興味深いです。


SORAJIMAと言えば先日10億円の出資を受けたニュースがありましたが、こちらはそれとは別のようですね。

あとは、最近前代未聞の渋谷大看板漫画編集者募集が話題でしたが。

資金調達をして人材獲得が重要な時で、様々な施策を打つタイミングだと思うのですが、1週間リアル看板を出すことはもとより、その後この写真を使い続けられますし、「あの渋谷に大看板で編集者募集をした会社」と言い続けられる方が効果が後から効く気もして、このあたりはさすが面白いことされるな思った次第です。


海外News

*: ここから、主に英語の記事を紹介します。自動翻訳を活用ください。

NAVER、Kakaoともに、AIを使用したWebtoon作品を、漫画賞応募には使用禁止としたとのこと。まぁそうですよねと。


こちらはAIを活用した韓国製Webtoon制作ツールの記事です。これは仕方ないと思うのですが、なかなか難しいですよね。記事を読むと、こうした情勢になかなか気を使って表現してるのではないかと思う所もありました。


LGBT+に焦点をあてたWebtoonのストーリーを作るにあたり、NAVERのWebtoonや音楽制作のAtranticRecord社が連携するとのこと。北米市場のことのようなのですが、こういう進め方はなかなか日本では見られませんね。


和訳すると「韓国ストリーミング侵略のアーキテクト」というタイトルになるのですが、NetFlixの次フェーズへのステップに、韓国のWebtoonから供給されるIPがぴったりマッチしているという記事です。
映像原作としては、実写の韓国WebtoonIP、アニメの日本マンガIPみたいな感じになっていく雰囲気も少し感じますね。


電子図書館システムのOverDriveで、コミックの特設コーナーが出来てますね。図書館は、作品認知に効きますよとのこと。


こちらは、韓国で初のWebtoon背景公募展とのこと。背景は珍しいですね。出品要綱が細かくて、AIも意識しているようで興味深い記述がいくつかあります。


K MANGAに関する英語圏のローカルな意見が面白いです。マンガサイトは、サブスクじゃないとユーザーフレンドリーではないと言われてしまう土壌が、英語圏にはあるということですね。やはり海外進出は質の違う戦いになるのだなと。


AI・画像生成関連

ChatGPTを漫画家の創作に活かす、編集者のように創作を助けるAIロボ、コミコパがサービススタート10日間で2万5千人に使用されたとのこと。

一般向けのサービスならいざ知らず、クリエイター向けサービスで10日で2.5万人はすごいですね。やはり、ジャンプがやったこと、かつ上手く時代を捉えたのだと思います。


もともと自社技術でのマンガ翻訳システムを提供していたMantra社ですが、ChatGPTを導入し、翻訳精度を上げたとのこと。なるほど。


IT企業出自のPixivにとっては苦渋とは思うのですが、ここは慎重にならざるを得ないタイミングですよね。


良いまとめです。このC2C周辺は、昨今AI直撃で色んな事があります。


これもうほんと、凄い時代ですよねと。


大事なことですが、妨害を付ける。いずれ誰かがそれを外す、、、と、めちゃくちゃイタチゴッコのゴングが鳴り響いてますね。大事ですけども。


実際にAIでマンガを作る形、うめさんの作品です。面白かったです。上手いですよねぇ。


記事のみ紹介

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