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【マンガ業界Newsまとめ】成人向け作品データの宝庫FANZAレポ、 俺レベ好調、「ちゃお」「りぼん」紙少女誌トップ交代 など|3/17-145

マンガ業界ニュースの週1まとめです。マンガ・アニメ業界向けイベントIMART(https://imart.tokyo/) を運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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FANZA5周年キャンペーン「同人」「ブックス」REPORT2024

*:通常の記事に比べて、成人向け成分の多い内容・コメントになっています。真面目に書いておりますので、ご了承ください。

FANZA5周年ということで、「動画」「同人」「ブックス」という3ジャンルで調査レポートが出ています。なかなか見られない貴重なデータですが、5周年の大盤振る舞いですね。というか、まだ5年でしたっけ。

内容的には「動画」がもっとも悪乗りというか、アダルト要素が強い書きぶりなのですが、こちらはマンガ業界Newsまとめですので、「同人」と「ブックス」に触れます。


【FANZA 同人REPORT 2024】2018年と何が変わった?「同人に関する統計調査」レポートを大公開!

2018年に同人レポートが出て以来、5年ぶりということですが、まずは作品数が5年前に比べて2倍の3.7万作品/年となったとのこと。このあたりは作品ありきですし、強いところですね。前回レポートでは、利用者数から始まっていますが、今回は作品数からで、色々状況が変わっているのであろうこともうかがえます。

続いて、年齢別キーワードです。NTR強いですね。5年前と変わらずの1位ですが、この5年でNTRという言い方も定着化したということなのでしょう。

2018年版には確かに流行ってたなという「催〇」が見えますが、今はそうしたワードがなくなり「ロールプレイング」「母親」といったものが上位に入っています。

例えば、18ー24歳の13位のワードなどは、全面モザイク文字でして、最早なんのことやらわかりませんが、このあたり、ここ数年で成人向け作品を取り巻く、クレジットカード決済の問題などが影響を与えているのかなと思ったりします。

前回も今回も変わらないことが確認できたのは「熟女」の位置付です。
年齢別に熟女の順位を追うと、年齢を重ねるごとに徐々に上位に移行していることがわかります。恐らく55歳以上となると最早、年下なんじゃないかと思ったりもしますが、一つの傾向を示しているかなと思います。そのあたりになると、「人妻」とか「母親」とか、同じ日本語でも示している意味が全然違うんじゃないかとも思えなくもありません。

それにしても「熟女」とは何歳からなんでしょう。わからなくなります。


【FANZAブックス REPORT 2024】 アダルトコミック解体新書 〜欲望はエロから愛へ〜

「同人」に対しての「ブックス」ですので成人向け商業作品ですね。

こちらは前回同様、都道府県別のスケベ度ランキングやマトリクスチャートなどが充実しています。書店さんなど流通系の関係者には有益なデータなのではないでしょうか。ただ、一般のユーザーさんが知ってしまうと、何が起こるか判らない危険をはらんだデータという趣はあります。県境とかで抗争の引き金とならなければ良いのですが。

トレンドは「巨乳」から「美乳」へとのことです。なるほどですね。

そして今回最も新しいなと思ったデータがこちら。

【FANZAブックス REPORT 2024】より引用

2022年3月と言えば、先行3プラットフォームをのぞけば、まだWebtoonの黎明タイミングでした。また、FANZA内にEROTOONとブランディングされた作品が増え始めたのもこの頃だったかなと思います。

これが、この2年で10倍。10000冊とあります。FANZAについては、Webtoonでいう単話を「1冊」とカウントしているように読み取れるので、これは1万話のアダルトWebtoonがあるということなのでしょう。アダルトの底力を感じますね。なんとなく、普段は動画を見てる妙齢の男性たちに、新しい扉を開いているような気がします。色々考えてしまいますね。


「俺だけレベルアップな件」好調 米クランチロール代表

先日日本でアワード表彰式を行って話題になったクランチロールですが、代表のラウール・プリニ氏の口から「俺だけレベルアップな件」アニメが好調という言及があったんですね。

記事より https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD05BZG0V00C24A3000000/

他にも、クランチロールの各エリアで人気とされてる作品群が出されていますが、それにしてもジャンプ強いですね。そんな中で「逆転裁判」はIPとしてはカプコンですので、ユニークですね。オセアニアでは法廷のノリが似てるんでしょうか?


部数トップの「りぼん」は12.5万部…少女向けコミック誌の部数動向(2023年10~12月)

少女誌の公証印刷部数で長年トップを走っていた「ちゃお」を「りぼん」が、その差1万部とわずかではありますが抜きました。

私はこの公称印刷部数をときたまチェックするようになって10年は経ちますが、記憶の中ではこのトップ「ちゃお」が変わったの記憶にありません(見落としてたらすいません)昨年12月にはweb「ちゃおプラス」がオープンするなど、各社マンガ誌のDXが進む中で、影響は軽微なのやもですが、近年なかなか無かった紙雑誌の順位変動でした。


国内News

個人的に最近、原画展や原画補修・保管などの仕事をお手伝いしてるのですが、北海道のミュージアム構想は広い敷地に期待したいところだなぁとおもってしまいます。

展示会場としてもインバウンドに期待できるなど良いのですが、同時に広大な作品保管場所として期待したいところだなとは思います。原画保存の一番の敵は温度と湿気なのですよね。


クリスタが3.0にメジャーアップデートとのこと。3D機能の操作性向上などあり、サブスクのほか、買い切り版も残るようですね。

こちらは、同じくクリスタの「欧文フォント対応」とのことなのですが、つまり「アメコミ調」のフォントに対応したということですね。なるほど。


とらのあな、ファンティアでも海賊版作品アップロードの対策施策ですね。クリエイター向けプラットフォーム各社は、このあたりは足並みそろってまいりました。


海外各国での、日本コンテンツイベントは、アメリカ・ロスのAnimeExpoや、フランス・パリのJAPAN EXPOなど、活況ですが、こうした場が日本のマンガ・アニメの海外進出に与える影響が、年々大きくなっているなと思います。

記事では、TOPPANがイギリスのイベント「HYPER JAPAN」を買収したという記事です。知りませんでした。これは大きな動きですし、筋の良いチャレンジなのではないでしょうか。


鳥山先生の評価が低いとはなんのことかと思いましたが、文化勲章や国民栄誉賞のお話でした。なるほど、それはそうかもしれませんね。

こちらは産業振興面でのお話ですが、漫画家の評価が高まる方向でもお願いしたいですね。ただ、ご当人が勲章を戴きたいのかは別やもですが。


ゲーム会社さんが自社で漫画出すまではわかるのですが、編集者どうするんでしょうね。興味深いところです。


セクシー田中さん関連

日テレの調査は、公表が5月上旬とのことです。ほか、東京新聞は近年エンタメ記事が充実してまして、


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

CLLENN社からのBL・Webtoonの新作は、DMMブックスとLINEマンガ&ebj提供の形とのこと。なるほど。


BTSなどの韓流アイドル関連でHYBEのWebtoon化ですが、年内に3作まで展開してくのですね。


記事を見ると、韓国Webtoon原作作品のアニメが、中国bilibiliで配信された後、日本にも展開するとも読み取れます。つまり中国制作のアニメなのでしょうか。原作韓国、制作中国、日本にも展開。みたいなお話だとすると、縦横無尽感があって面白いなと思いました。


海外News

*: ここから、海外記事を紹介します。自動翻訳を活用ください。

タイトル訳:文体部、「2024コンテンツスタートアップ支援事業」参加機関募集…合計257億ウォン投入

タイトル訳:文体部、漫画・ウェブトゥーン標準契約書第‧改正… ウィンウィン・プロセスギトルを用意

韓国文化体育観光部・コンテンツ振興院関連です。一つ目は、コンテンツ系のスタートアップ企業へ25億円の支援。とのことで、この支援は日本にもあれば良いのになーと思います。

2つ目は、クリエイターの契約書様式についてのサポートですね。韓国では、個人事業主的な方々を巻き込む労組的動きが大きいので、このあたりの契約書まわりも整備が進んでいるように思えますね。


タイトル訳:韓国の大手ウェブトゥーン企業のコンソーシアムは、わずか最初の 1 か月で 60 万のユニーク ユーザーが zkSync 上で 450 万を超える NFT を鋳造しました

タイトルの自動翻訳が良くわからないのですが、Webtoon関連の会社がNFTをその作品に絡めて行い、それなりの規模感を持ったと読み取れなくもありません。ちょっと記事の抽象度が高くて読み取りにくいのですが。


 中国初の漫画学術誌『漫画研究』が今年2月に刊行とのことです。


台湾の表現規制にアラートが上がってるようです。


しばらくは、鳥山明さんの話題一色になりますね。


AI・画像生成関連

このあたり、生成AIも機能が増えてきましたね。

この狙った「作風指定」のところに、グレースケール、スクリーントーン、漫画家の〇〇風みたいなのが対応される日がいずれ来るのかなぁと思いながら読みました。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

助演男優賞にフリーレンのヒンメルだそうです。個人的にも推したい。

文脈があるんですが、平野耕太先生のツリーを見ていただくとw

ユニークな作品の独占配信ですね。

6社横断の歴史マンガセール。ユニークですね。6社の皆さんで集まって相談したんでしょうか。取次発案かな。

peep400万DLとのこと。


記事のみ紹介


告知関連

主催:サンディアス
講演タイトル:BLコンテンツの特異性を理解する
実施日時:2024年3月28日(木)14:00~15:00

私も旧知の作家さんの「送る会」を主催したことがあるのですが、皆の心に残る方が亡くなった時、生きている側はその方のことを語り合い、皆でお見送りすることで気持ちを整理することが、葬祭の効能であるなと実感したことがあります。


大分遅いご紹介なのですが、ニコニコ動画で「週刊マンガ雑誌の歴史」という、多くの過去のマンガ研究本や記事をギュッと集約した動画を作ってる方がいらして、このシリーズを作ってる方が2020年代で新しいのを作られているのを、つい今週知りまして、最新版を見たのでした。
ニコニコ動画のPたちが作る動画は、2000年代の気風が残る文脈がありますので、画像など諸々はご了承ください。


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主に週末に週1更新ペースで書いています。原則日曜、月曜以降が休日の場合は、週初めの平日の全日公開にて。たまに番外編も書きます。
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今年2023年11月24日~26日に、第4回IMARTというマンガ・アニメの国際カンファレンスを開催しました。
基調講演に鳥嶋和彦さんを迎え、マンガ・アニメの現場から22のセッションやピッチが行われました。

アーカイブ配信のチケット購入がこちらになります。

インプレス社『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

筆者個人へのお問い合わせなど、以下まで。


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