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【マンガ業界Newsまとめ】日韓マンガ業界の第一人者が語るウェブトゥーンへの誤解と最新事情 など |3/13-043

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なぜいま「韓国のマンガ」が日本で人気なのか…日韓マンガ業界の第一人者が語るウェブトゥーンへの誤解と最新事情

このタイトルからしてかなり重要です。現在の日本のWebtoonスタジオ乱立に警鐘を鳴らす記事になっています。

まず、インタビューされているのはイ・ヒョンソク氏です。最近関わった作品、作った作品というと、『俺だけレベルアップ』『盗掘王』『4000年ぶりに帰還した大魔導士』と、Webtoon関連をチェックしてる人なら、知らない人はいない作品ばかりです。

韓国コンテンツ振興院(KOCCA)の調査によると、韓国で流通するWebtoonのうち、個人が制作するものが60%、Webtoonスタジオが制作するものが40%とのこと。

その関係性としては、個人の低コスト制作で実績を積んだ作家が、スタジオ制作に切り替えてリッチ化した作品を作ったり、Web小説で多くのファンがついた作品のWebtoon化にスタジオを使うアプローチが間違いないとのこと。

逆にいうと、オリジナルであったり、実績の無い原作を最初からコストの高いスタジオで作ることは、リスクが高いということです。これを「Webtoonはスタジオ制作であろうという誤解」と指摘しています。

現状、映像化や話題性が高まったという意味で、国産Webtoonでヒットしたものというと、筆者は『ReLIFE』『サレタガワのブルー』の2作品を思い浮かべるのですが、ともに、1作家・1編集者のいわゆる日本漫画の制作スタイルで作ったものです。

私の目から見て、ヒョンソクさんは「日韓の漫画事情」「Webtoon制作や販売」この2点において、日本というか業界全体でもっとも精通されている方だと思いますし、自らネームを直したりするクリエイターでもあります。

世の中を変えるヒット作品は、過去のくびきから外れたところから生まれることが常ですが、失敗というのものの多くは、過去を顧みないところから生まれることもまた繰り返されてきました。少なくとも、ヒョンソクさんが認識している失敗の公式は、今後チャレンジする方々にとって、重要な道標となるのではないでしょうか。

ちょうどこの記事の公開された日の前夜に、このnote記事を掘り下げるPodCast「マンガ業界News語り」収録をTwitterスペースで生配信したのですが、その最後にヒョンソクさんが上がってくれてお話をしてくださいました。

以下のアーカイブの2:13:30あたりからイ・ヒョンソクさんに話をしてもらっています。良ければ聞いてください。その前に3本分生収録してます。

ひとつひとつ面白いことを語っていただいています。途中『俺だけレベルアップ』のREDICE氏のデビュー作の話など、記事にも載ってないことなども聞けていたりします。良ければこちらもどうぞ。


赤松健スペース:「ここが変だよマンガ業界」ゲストは竹村響さん

参院選出馬表明以降、#赤松健スペース ということでスペース内で様々な生配信を行っている赤松健さんですが「ここが変だよマンガ業界」の第2回を、3/10に配信しました。このツイートから音声アーカイブをいつでも聞けます。

第1回は、漫画家の双龍さんや、若林稔弥さんなどが参加し、漫画家側から見た出版業界の慣習についてなど語られました。

その際、色々と反響があったようで、今回は出版社に精通する方として、元竹書房の自由人、竹村響さんが解説スピーカーとなり、赤松さんが問い、竹村さんが答えるという形で進みました。

私のように、出版にビジネスサイドで関わってる人間からすると、良く知ることが語られていはしたのですが、漫画家が聞き手になり、多くの漫画家が聞いている状態でのマンガ業界の仕組みの解説だったので、漫画家さんたちからは好評だったようで、ツイートなどでも反響が見られます。


野球のデータ分析手法「セイバーメトリクス」をマンガ業界に導入したい!

コミチ代表の萬田氏の記事です。
氏は、日本で初めてセイバーメトリクスを導入した日本ハムの導入時、その開発や分析をしていたとのこと。

その後、ヤンマガWebが開始1年で100万WAU、200万MAUまで育てたノウハウは、このセイバーメトリクス立上げの際のノウハウなどが実を結んだと聞いています。

作品の販売データを把握し、その売れ方を分析して、のちの作品に活かすという枠組みをこれから作っていくとがもうできているのですね。注目したいところです。


海外ニュース

「ネイバー?詐欺師じゃない?」叫んでアメリカでウェブトゥーンを解決しました。(Google翻訳)

(韓国語記事ですので、サイトはGoogle翻訳などでご覧ください)
北米で成長していたWebtoonアプリ「Tapas(タパス)」をNAVERが買収し、その後のことを語っています。

漫画の国際展開のセオリーに地産地消という考え方があります。例えば北米以外の企業が北米でヒット作品を作るには、北米のクリエイターをみつけ、育てていく必要があるという考え方です。

3年ほどは苦労が続いたようですが、そこから『ロア・オリンポス』のような、韓国風でも日本風でもない作品が生まれ、北米でヒットするという流れになっていたようです。

これからWewbtoonを作って海外に出ていこうとしている日本の企業からすると、参考になる記事かと思います。


マンガ出版社と日本のTiktokの中で、漫画の販促をTikTokにてお行う施策が、2021年はかなり試行錯誤され、一定の販促効果は認められたと頃だったかと思いますが、具体的に大きな数字が出たということはありませんでした。

本家中国のTiktokパワーはすごく、いわゆるライブコマースを中心に、1100億円のEC事業まで育ったとのこと。これには様々なビジネスモデルの展開が生まれそうですが、TikTokとしては5年以内にこの展開を世界の主要市場に行うとのこと。

当然その中に日本も入っていると思いますので、2022年はTikTokのビジネス化も図られていくのではないかと思います。Tiktokerによるマンガ販売はより発展、大きくなっていくことでしょう。


いくつか記事が紹介されてる中で、今回は「ジャンプ」と「ジブリ」と『フルーツバスケット』に『ドラえもん』という、本当に力のある作品が海外では強いなぁという内容でした。

しかし、北米の人もジブリ作品は映画館で観たいと思うのですね。あれは確かに、映画館で見るとなんとも良いのですよね。


国内ニュース

紙の漫画誌「別冊少年マガジン」で連載終了した作品を「マガポケ」に移籍したところ、人気に火が付いたという事例です。

これまで、紙の媒体、すなわち掲載誌面が限られる媒体からアプリやWebなどに移籍することは、掲載面を弱められることとされてきましたが、アプリやWebの読者が激増している現在、紙よりアプリのほうがヒットにつながったという例もあるということですね。

わけても、マガポケは近年他社が驚くほどの広告出稿攻勢をかけ、多くのユーザーを獲得してきました。ある意味、紙の雑誌を超える数の読者の目、あるいは紙とは違う作品を好む読者の目に触れる機会を開拓したともいえるでしょう。

どんな作品が、どんな読者に支持されているか、正確なデータを把握し、それを作品を打ち出す場を作っていく判断の材料としていくことが求められていくところかと思います。


Webtoonスタジオが沢山立ち上がる昨今ですが、新しい作品を制作する現場のほかに、既存作品をWebtoon化や別のメディアに転用していく流れも同時に発生しています。

ここではDNPが「縦スクロールマンガへの変換」「着彩(カラー化)」を新しい事業とする説明がありますが、膨大な量の白黒の日本漫画がある現状に、これをWebtoon化しようと考える流れで、その作業をDNP社が担うということなのでしょう。

印刷会社の仕事としては、当然本を印刷することがあるわけですが、その前段として版面を作る(印刷する元データを作るイメージ)という点も大事な作業でした。そしてその版面を物理やデータで保存することも担います。

電子書籍が勃興していくにあたり、印刷会社がこの電子書籍の版面やファイル(流通させるためのEPUBファイル等)を作るようになりました。そこから、既存作品のWebtoon化などにもつながったと考えると、自然な流れかと思います。

華やかりしWebtoonスタジオやプラットフォーム立ち上がりの裏に、こうした下支えをする現場も生まれていくということなのでしょう。産業構造が少しずつ新しくなっていく、今この瞬間だなぁと思います。


基本は転売ですからいいことではないですし、ガンプラの問題から良く無い意味での流行ではあるのですが、縮小している「紙の漫画」が、定価以上の値段で売られるという現状もあるのだなぁと思いました。

個人的には基本は電子書籍で購入するようになって久しくはあるのですが。


東京日野市に30人の新人漫画家が共同生活する場として生まれた多摩トキワソウ団地ですが、更に3度目の増室を行うとのこと。着々と運用の幅を広げているようです。


記事のみ紹介

豊悦の麃公めっちゃカッコ良いですね。これが最初の登場の戦ですけど、後の登場シーンのことも考えちゃいますね。


告知関連

公開研究会:異文化を繋ぐマンガの力――女性と自由・規制・国際

【日時】2022年3月20日(日)14:00-16:00
【開催方法】zoom(参加料無料)


マンガの内容に基づく探索のための主題語の機械的付与の試み

日時:2022年4月16日(土) 14:30~16:00 
会場(開催方法):Zoomミーティング


【特番】出版DX これでいいのか、電子書籍市場 ―― HON.jp News Casting / ゲスト:落合早苗

2022年3月27日(日)19時配信開始~
ZOOMウェビナー2000円  前半の部は YouTube Live でどなたでも無料で視聴

マンガ業界News語(14)WATCHA2.0が示すサブスク型ウェブトゥーンプラットホームの未来

無料のPodCastです。過去の当まとめのNewsを深堀しています。


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【編集後記】
先週は個人的に、このツイートが面白かったです。


主に週末に週1更新ペースで書いています。とにかくTwitterをフォローしていただければ、続きがお目に届きやすいかと思います。


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