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【マンガ業界Newsまとめ】 KADOKAWA、シーモア他各社、マンガ制作・販売へのデータ活用 など|10/30-075

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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日本のコンテンツ業界はDXでどう変わるのか?

ニコニコ動画から書籍まで ~KADOKAWAグループのデータ活用法~

「データの活用で売れるコンテンツが予測できるようになる」と途中銘打たれるなど、グループ内のドワンゴを抱える経緯からも、デジタルデータを活用した経営に舵を取りつつあるKADOKAWAの戦略が述べられています。

例えば、多くのスピンオフが出た『とある魔術の禁書目録(インデックス)』を、シリーズ全体でデータとして括り、IP全体での収支や各メディアとの相性の良し悪しを把握したり、アニメ化のタイミングの検討など様々な判断をデータで行っている体制ができつつあるようです。


エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ、データドリブンな作品制作を試みる出版事業「シーモアコミックス」開始

NTTソルマーレ社のシーモアは、オリジナルコミック事業「シーモアコミック」を創刊し、 

下記のようなデータを活用した作品制作を行う。
・コミックシーモアの顧客基盤に基づいたビッグデータ 
・広告出稿等のマーケティング活動を背景としたトレンドデータ
・市場調査等に基づいたマーケットデータ、など

https://markezine.jp/article/detail/40445

とのことで、シーモアでも作品制作や販売に、データを活用してのレーベルを立ち上げたようです。

先週末開催したIMARTでも、こうしたデータ活用をして作品制作や販売につなげる取組として、DMMブックス、コアミックス、コミチの3社の事例などをまとめた以下の「データサイエンス」セッションを行いました。

特に、コアミックスがデータを見るようになって、どう仕事が変わり組織が変わっていったかというお話は秀逸です。

データを活かしてマンガ事業を行うという意味では、マンガ業界でもかつてない、実践的でなかなか見られない内容になっていると思います。是非ご覧ください。(11月1日からアーカイブ配信を開始しました)


オタクの聖地、秋葉原と池袋に明暗 Z世代の誘致カギ

何が一番大きかったと言えば、池袋のある豊島区にとってこの発展は必要なことであったが、秋葉原のある千代田区にとって、秋葉原がオタクの聖地である必然性はあまりなかったというのがあるのかなとは思います。

豊島区は2014年に「消滅可能性都市」に指定され大変な危機感を持ってから目の色が変わりました。トキワ荘があった椎名町を起点としたマンガ・アニメ推しの取組は区長肝いりの非常に積極的なもので、著者が運営を担うIMARTも、第1回は豊島区主催だったものが、その後民転したものです。

対して、千代田区では、一時期、区長選にもアキバ振興が話題には上りましたが、日本の中心地千代田区の中では一エリアでしかない秋葉原に対して、豊島区のような全面的なバックアップは期待できず、地域のまとまりもなかなか生まれにくかった背景があると思います。

もちろん、行政の力だけではなく民間の力も大きかったです。乙女ロードの並み居る各店舗の集積や努力に加え、池袋に本店を構え東武東上線で4駅の中板橋駅に本拠を持つアニメイトグループと、AGFなど大型イベントを開催するキャパの会場を持つサンシャインシティなど、聖地として発展をするために必要な要素やインフラはもともと豊島区にあり、そこを活用して盛り上がりに繋がったところはあるかと思います。

近年は、ニコニコ動画が配信拠点を作ったり、講談社が多目的劇場の「Mixalive TOKYO」を作るなど、ますます池袋に集積しつつあります。当面この流れは続きそうです。


国内News

出版各社には、少年誌、青年誌と読者の年齢層に合せて、媒体があるわけですが、別けても小学館のビッグコミック、ビッグコミックオリジナルがターゲットとする年齢層は、その雑誌の生まれた経緯から現在に至っては60代以上の熟年層をメインのターゲットに組み込んでおり、両誌は雑誌不況の中でも紙の雑誌の売上部数を堅調に維持しています。

とはいえ、もともとは駅のキオスクで大量に売れていたものが、ターゲット層の定年退職などに伴い、同じ部数を書店やコンビニの販売だけで維持するのも難しく、作品媒体離れが、流通を理由に進んでしまっている難しさがあります。

ここに来て、熟年層向けのレーベルを強化することは、すなわち同時にこの層に向けた流通の問題に取り組むということも同時に言えるところで、そうした動きも合わせて注目したいところです。


連載開始が1980年と、実に42年前の作品『かりあげクン』が、2023年に映像化されます。

これは双葉社の運営する「ふたまん+」によるWeb施策などで、多くのニュースメディアに作品が改めて拡散し認知を向上した結果、40年前に開始した作品が現在に至って改めて映像化されたものと思われます。


こうした枠組みを書店と出版社でやるのが面白いですね。


先週末行われたIMARTにおいて、『チェンソーマン』を1社単独出資でアニメ化したMAPPAの取締役木村誠さんによる基調講演の記事です。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

今週なかなかユニークだなと思ったのは、このWebtoon業界専門の転職サービスが出来たことでしょうか。実際の求人を見てみると、出版営業や編集者など、法人採用側のスタッフを中心とした転職支援サイトのようです。


注目されるWebtoon市場ですが、日本でも屈指のWebtoon通である飯田一史さんは、その市場が成長するために必要なものがまだまだ足りていないと危機感を持たれています。

韓国のWebtoonプラットフォームが基本的の抑えている投稿機能の見せ方や、漫画賞、メディア展開時の所作など、取組の中でまだやり切れてないことが国内では多いのではないかとのこと。

ちょうど先週末に開催したIMARTでは、韓国・中国、及び日本から海外を見ての販売最新事情について、飯田一史さんの司会でセッションを行っています。(11/1よりアーカイブ配信開始予定、ご視聴にはチケットが必要です)



Webtoon参入を発表していたドリコム社は、韓国のWebtoonプロダクションContens Lab. Blue社と、Webtoonの共同制作を決定しました。


仕手ニュースでは、いわゆる「ウェブトゥーン銘柄」が生まれつつありますね。

この記事ではその銘柄として「アカツキ」(HykeComic)、「ブシロード」(ROCKETOON)、「グリー」(DADAN)、ドリコムなどが挙げられています。


海外News

libroさんの北米エンタメニュースまとめです。

Manga NYCC、所謂コミコンでは好調を伝えられる日本マンガの存在感が高かったとのこと。

また、あの『ぽプて』がTikTokで配信開始することを「異例のこと」と紹介している記事があります。クランチロールでもNetFlixでもなく、TikTok向けに出すことは、これまでのアニメ配信に対して大きな変化で、この成否がどうなるか注目されるところとのこと。

個人的には、英語圏の若者に竹書房ビル爆破がどういう風に伝わるのか注目してしまいます。大丈夫だよ、もうみんな引っ越してるからと。


フランクフルトブックフェアの様子のレポートです。どんな感じでマンガを海外でPRしているのか、なんとなく雰囲気が判って良いです。


ついにイーロンマスク氏によるTwitter買収が終わりました。
氏のTwitter買収の目的は「文明の未来のため」とのことなのですが、日本エンタメ界においてはプロモーションツールとして優れているこのTwitterが、どう変容していくかは、これから注目していく必要があるでしょう。


AIイラスト・画像生成関連

とても良くここまでの経緯がまとまっていると思いました。

もともと、オープンソースではない「DALL・E」(ダ・リ)というサービスが合った中で、数億円のコストをかけたSttable Diffusionがオープンソースで展開したことによって、この「世界変革」が加速したことが良くわかります。


先週AI対応を発表したAdobeですが、「AIは副操縦士」という表現は上手いですね。

ちょうど、AI絵師のマネタイズの匿名ダイアリーがちょっと話題になりましたが、この方ももともと画力があるうえで、初めてマネタイズが出来ていると説明していますね。


取組として面白かったのはこちら。AIイラストでのVtuber事務所です。プロモーション用画像のほうのクリエイティブはちゃんとしてるように見えます。


この辺りも新たな課題ですね。素材にした画像が海賊版ということは、恐らく今後最終結果として出てくるイラストから判定することは難しくなるでしょうね。かといって、野放しにすると版権の2次創作と同じ立ち位置になるAI絵が公にあふれてしまいますしね。


記事のみ紹介


告知関連

漫画家・冨樫義博の画業35年を記念した展覧会が森アーツセンターギャラリーにて開催!

日時:2022/10/28~2023/1/9
場所:森アーツセンターギャラリー


新聞が育んだ漫画文化…北九州市漫画ミュージアムで11月6日まで開催

タイトル:北九州市漫画ミュージアムの開館10周年記念特別展「〈新聞〉がつないだ漫画家たち」
日時:~11月6日
場所:北九州漫画ミュージアム


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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

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