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【マンガ業界Newsまとめ】出版各社、リーチサイト、ネタバレ、クラウドフレアなどへ対応 など|2/6-038


マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。社内SNSの情報共有コーナーに当記事のリンクを一番最初にシェアすると、ちょっと情報通みたいな感じになるらしいです(伝聞

今週はいつも以上に記事が沢山ありまして、カテゴリーごとに見出しを置いてみました。

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違法サイト摘発

出版社による訴訟や提訴等が続々記事化されています。目立ったのは以下
1, リーチサイト「漫画天国」摘発、小学館
2, ネタバレサイト福岡地検送致、小学館
3, クラウドフレア提訴、小集講角4社連合

3の4社連合提訴については、米国にありガードも堅いといわれるクラウドフレア社への訴訟ですので4社でガッチリ準備してのことと思われます。

ある時期カワンゴさんが、米国企業相手には何をしても難しいと発言され物議をかもしたのですが、のちにNHKクローズアップ現代にて「エコーズ社」による米国事情に通じた弁護士を通した申し入れをクラウドフレア社が受け入れ、発信者情報開示請求の結果から、漫画村サーバーがウクライナにある事実が発覚、NHKでも放映されました。

同社への対応もやり方次第ということですが、今回は東京地方裁判所から提訴です。おそらくそうした過去の事案も踏まえてのことと思いますし、こうした訴訟関連はある意味技術ともいえますので、訴訟技術の知見を貯めていってもらいたいと思います。

1と2のリーチサイト、ネタバレサイトについては、ともに小学館単独のようです。今週はSNS上にこのネタとともに、ケンガンアシュラ画像が出まわっていたのですが、同社の取り組みだったからというところなのでしょう。なんか雰囲気が合ってるんですよね。講談社だったら『カイジ』で、集英社だったらなんだろう。


業界の現場ネタ

マガポケの強力な施策が続いています。

近年、ピッコマ、LINEマンガ、めちゃコミなどのマンガアプリ勢が毎月Web広告に出稿する広告費が高騰し、出版各社のマンガアプリはこの慢性的に過熱化した広告費戦争になかなか参入しにくくなっていました。

実に毎月数億円レベルで争われる広告費競争で、月によっては5億円を超え10億円も見えてこようという過熱具合と言われています。

そんな中で出版社系アプリの中で一人気を吐き続けたのがマガポケでした。その施策の中には、単に物量広告を打つだけではなく、キャッチーな作品の無料公開がセットになっており、普通の広告以上にクリックされたと思います。

電子化しない作家最後の砦の一角だった、森川ジョージ先生の『はじめの一歩』からはじまり、『ファブル』『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』『亜人』などなど話題作の独占全話無料施策でユーザー獲得をはかっていた流れから今回の『カイジ』です。

単に高額な広告を打つということにとどまらず、作品の力を使うところは、大手出版社さんらしいです。まだまだ強力な作品をラインナップする同社ですから、この流れは続いていきそうですね。


このコロコロの100万部復活という記事が目立ったタイミングで、ちょうどTwitterでは、コロコロが薄くなった!というネタがバズりました。

近年、レベルファイブ作品などゲームの浮き沈みに部数がリンクしてしまっていたコロコロですが、改めてのポケモンカードや、現在大ヒットが伝えられている『Pokémon LEGENDS アルセウス』などの強力な付録展開は引き続き。

また、講談社ボンボンTVに少し遅れていたYoutubeコロコロチャンネルも、単なる作品宣伝にとどまらない、掲載作品の別ネタとしてのYoutubeコンテンツ作成など行い、マンガ誌の枠組みを超えたホビー誌としての強みを生かし、多くの流入を生んでいるようです。

バズった「コロコロが薄くなった!」ネタは、YoutubeやDL特典など、こうした多チャンネルにわたる展開の結果であったということですね。

記事が面白いです。そしてやっぱり「コロコロ強し」ですね。


以前「編集長の部屋」という記事を書いていたもので、「編集長」という言葉に過剰反応してしまうのですが、26人もの編集長コメントがあり、各雑誌のおすすめ作品が知れたりして良いですね。

講談社「デザート」と「別冊フレンド」は森田さんが兼任編集長なのですが、一人で2誌分出られてて、なるほどと思ってしまいました。

上記の編集長の部屋というインタビュー記事を書き始めた10年ほど前は「編集長が自誌の1作品を推すと連載作家に対して不公平」という意見も多く、敢えて他誌の作品を推す方もいたりしましたが、最近はその辺りの雰囲気がだいぶ変わってきたようです。

色々あるとは思うのですが、売ることに一生懸命なのは、とても良いことだと思います。


記事中にある通り、JAM日本・アニメ専門学校やガタケットの取り組みなど、規模もそうですが、とにかく長い間マンガ系の取り組みがしっかり続き、根付いているのが新潟の強みだと思います。JAMの事務局の方々が、ご苦労もされてると思うんですが、しっかりやってらっしゃるんでしょうねぇ。

新潟出身の漫画家さんは確かに多く、魔夜峰央さんに高橋留美子さんなど、枚挙にいとまがありません。続けて発展していってほしいものです。


クリエイター向け

昨年行われた、―漫画家実態調査アンケート―の中でも出ていますが、マンガ家が3Dツールを使用して作画するのは、もはや常態化しています。

そうは言われてますが、触ったことない方にはわかりやすい記事になってます。画像で見ると、なるほどなーです。オンライン講習会が2/19にあるそうで、ご興味ある方は記事をご確認ください。


個人事業主の多い漫画家ですが、そんな業界にとってこのインボイス制度は、どう見ても合理性にかける悪法です。なにかこう、中途半端な妖異が間違って現世に顕現しちゃったみたいなものなんですが、これを出版社協議会が辞めて欲しいと政府に申し入れしているとのこと。GJ。

一般に漫画家の報酬支払は、出版社側が支払金額を算出し、振り込みとともに「支払通知書」という書類を出す、出版社→漫画家(各種クリエイター)への手続きという形で処理されます。一般企業における、請求書が来て初めて支払われる形とは違うわけですね。

インボイス制度は、この通知書の形式を使いづらくするものとも受け取れますので、ホントに始まったら混乱は必須であろうとは思います。

各社発信

ブックリスタ社さんは、「Reader Store(運営:株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント)」「auブックパス(運営:KDDI株式会社)」の2社をサポートされる会社さんだったのですね。


ヤンマガWebの開発・運営をしているコミチ社代表萬田さんのnoteです。

Web雑誌の運営をしている同社ですが、これだけ沢山の青年漫画を読みながら、沢山の分析をしている様子が見て取れます。翻って、紙の雑誌の工夫をデジタルな世界で再現しようとするのは面白いですね。

雑誌比較という記事もなかなかないものですので、関係者必読と思います。


Webtoon関連記事

見慣れてきた「Webtoon原作作品のNetFlix世界1位」の記事ですが、今度は『今、私たちの学校は…』とのこと。イカゲームなどからの流れで4つ目だそうです。


ここ数回の当noteで話題にしてきた、韓国Webtoonのブロックバスター戦略今年第1号、BTSの続報ですが、今度はタイムズスクエアへの大型広告とのこと。

こうしたリリースは、当の現場の人目以上に、ニュースリリースが人目に付く量のほうが多いと思いますが、やはり今回の施策は北米に対して物量を投入していることが良くわかります。ブロックバスター戦略やBTSのWebtoon展開については、当noteの過去記事をどうぞ。


個人の方のnoteのようですが、Webtoon編集者についてでしたので少し。

現在、Webtoon業界好調につき、Webtoon編集者の人材市場が活況を呈していますが、希少な漫画実務経験者だけではなく、こうした周辺の出版系編集者・ライターの方も、Webtoon編集者になってるというロールモデルと思いました。


韓国 Webtoon Insight より。

構図として、企業である出版社と、個人である漫画家の間で、契約についてのトラブルは色んな意味で絶えませんが、韓国のWebtoon周りでも多く起きているようですね。

国内ではWebtoonスタジオという法人とWebtoonプラットフォームとのビジネスが盛んですが、韓国ではプラットフォームと個人作家の関係性にもフォーカスが当てられているようです。

内容的にも、えらく具体的で興味深いなと思いました。日本では出版社と漫画家の契約の場合、まずは「出版」(含む電子出版)に関する契約が主眼ですが、メディア展開をより強力に狙うWebtoonの場合、2次利用(ここでは2次著作物)についての内容など、契約初期段階から積極的なのであろうことが見て取れます。


海外ニュース

これは、来るべきものが徐々に来てますねという動きです。

運送費から動画に音楽までと、あらゆるものをサブスクでカバーするアマゾンプライムですが、米国で値上げとのこと。もう数回目とは思いますが。これは、多くの人が利用することにより、やめにくくなっているところを少しずつ値上げしているわけですね。

漫画との関係ですが、現在もKindleUnlimitedでは、多くのマンガが実質1巻無料状態でプロモーションに作品を出しています。この一手が日本に波及するなり、いきなりアンリミの利用者が激減ということもないでしょうけども、こうした流れは少しずつきているところですね。


アプリ運営者にとって、appleやGoogleによるアプリ決済手数料30%は高過ぎて頭が痛いわけですが、それが米国では裁判ではなくて上院の法案で制限されていく流れになっています。

先日は某国でも、携帯電話通信料を下げることに、首長が力を入れておりましたが、独禁法に絡めて高止まり料金を下げるということだと同じ文脈でしょうか。

日本のマンガ業界もマンガアプリ全盛ですので、このあたりは少なからぬ影響を与えてくる決定となってくるでしょう。


海外漫画事情通の椎名ゆかりさんによる記事です。「マンガ界のアカデミー賞」といえば何か?など、その歴史や、海外で注目される日本作品など、勉強になります。


元記事は英語です。以下に日本語Google翻訳のリンクを置きます。

レポート:グラフィックノベルの売上は2021年に65%増加しました

上記の通り、米国のグラフィックノベル、つまりマンガも内包する一つの分野が、マンガを中心に大きく市場を伸ばしたということですね。またその理由を、コロナ禍においてアニメ配信を見たユーザーが、漫画に手を伸ばしたということにも、記事中引用記事とともに触れています。

ここに紐づいて、有料の電子コミックが売り伸ばせればさらに良いのでしょうけどもねぇ。


libroさんの北米漫画市場まとめです。

呪術廻戦の映画もやっと海外市場へですね。鬼滅の刃無限列車編の際は、コロナ禍の混乱で、日本から海外へ展開するスピードにかなりの遅延が発し、わたしも米国在住の知人から、良いから早く北米でもやれと、なぜか怒られていました。

鬼滅の刃に比べると早かったと思うのですが、日本での良い評判を考えると、北米でも伸びそうですね。


当noteの内容を掘り下げるPodCast「マンガ業界News語り」ですが、気が付けばもう7回も配信してしまいました。

第7回では「電子コミック市場4000億円超え」について、例によってマニアックに深堀りしています。「深淵を除くものは深淵からものぞかれる」と言いますし、覚悟がおありの方はどうぞw

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編集後記:

バスタードのアニメ化、びっくりしましたねー。俺たちのNetFlixって声も確かにです。これで原作本編の完結に繋がればですねぇ。
アニメと言えば『舞妓さんちのまかないさん』アニメ、良いですね。マンガもいいですけど、アニメのあの感じで京都の情景や舞妓さんやまかないご飯を見れるのは、嬉しいですなぁ。丁寧な作りで、ショートなのも逆に味わい深いです。

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