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【マンガ業界Newsまとめ】日本文芸社代表取締役に竹村響氏、小学館・ソニー決算、クレカ決済問題 など|5/26-154
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関係のニュースを、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
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日本文芸社 竹村響氏が社長に就任 吉田社長は退任
株式会社日本文芸社(日文)の代表取締役に竹村響氏が就任しました。
竹村氏は元竹書房取締役で、現在はフリーのコンサル(顧問)などで複数の企業に関わる傍らでの就任ということのようです。
日文は2016年までADKの子会社でしたが、同年にRIZAPが株式を取得、2021年にはメディアドゥが子会社化しました。JIVEと並び同グループ内の版元という位置付でした。
それにしても、現在の竹村氏の境遇なのですが、
ビズコンシェル、DMM.com、フューチャーコミックス、サイバーZ、ロースター、タスキーなどの顧問を経て24年秋田書店、アメージア、ダダン、メロンブックス、MTI、シュークリーム、フーモアの顧問に加え日本文芸社の代表取締役に就任。
とのことで、デジタル系の企業やデジタルに注力しようとしている出版社なども含め、多くの企業から頼られている方が、日文の今後にコミットするということのようですね。同社は1953年創業の老舗で、「週刊漫画ゴラク」作品を中心に多くの作品を制作してきており、それらの作品が今後どうなっていくか、楽しみなところです。
各社決算情報
小学館
小学館の決算が出ました。増収減益です。
売上1087億7800万円(前年比0.3%増)
経常利益48億6700万円(同33.4%減)
当期利益21億4200万円(同65.2%減)
とのこと。雑誌、コミックス売上減の中、デジタル、版権収入周りはアップしたようで、数値的に見ると、版権収入のアップが16.4%と大きいですね。
マンガに関する人事的には、昨年と大きな違いは無さそうです。
ソニー
決算は、先週発表されていますが、23日の経営方針説明会で今後の方針について触れています。
「優良なIPなどに投資」ということで3年間で1.8兆円の戦略投資枠内で考えるとのこと。先々週に、めちゃコミ(インフォコム)買収について応札予定とありましたが、そうした投資へ資金は潤沢ということですね。
国内News
カドコミ(旧コミックウォーカー)のアプリサービス開始です。
このサービスは、ベースとしてWebのカドコミが先行していますが、位置づけ的には、スクウェア・エニックスのマンガUPに近いアプリでしょうか。「20作品以上のオリジナル連載が初回全話無料!」ということで、ジャンプ+的な機能もあるようですね。
サウジアラビアのマンガアラビア社が、日本法人「マンガインターナショナル合同会社」の設立を発表しました。日本の大手出版社と、マンガの中東展開を志向して作られた会社ですが、現地法人をつくって加速化する形ですね。
中東方面への展開はもちろんですが、同社は英語・中国語・マレー語などの翻訳も手掛けているようで、中東に限らず展開があるやもですね。
Link-Uは、持分法子会社であった雑誌の読み放題サービス、ビューン社を完全子会社化するとのこと。マンガワンなどの開発企業として成長した同社ですが、現在は集英社のMANGA Plusや北米のComikeyなど、プラットフォーム運営も行っています。その辺りへの強化の布石というところでしょうか。
渋ツタ新展開、スタート1か月目は好調とのこと。伝え聞くに、数字も好調と聞いています。
楽天グループの書籍取次、旧大阪屋栗田、現楽天ブックスネットワークですが、今期純利益で4億3400万円とのこと。経営再建からの楽天グループ入りでしたが、負債の減少も進んでいるようですね。
講談社がワニブックス買収です。4月に、代表取締役の横内正昭氏の逝去が報じられており、事業継承的な意味もあるのでしょうか。わたし、しばらくワニマガジンさんと読み違えてしまい、多くの人もそう勘違いした後に事実関係を知るというような流れがありました。
fantiaでは、Visa、Masterなどの使用が停止に。
ニコニコではVisa、Masterについで、ダイナースなどの使用が停止に。
現在実質的にはJCBがクレジットカードの主力となりそうです。
fantia本体からもアナウンスが出ています。とらコイン(代替決済手段のポイント)による決済など、丁寧にアナウンスが出ています。
この件に関しては、継続的に様々な記事が出ていますが、6/8に以下のようなウェビナーが開催されるようです。
演題:電子書籍ストア等で相次ぐクレカ決済停止問題
~情報法制と消費者保護法制の観点から解決策を探る~
講師:境真良さん(iU准教授/GLOCOM客員研究員)
日時:2024年6月8日(土)14時から15時
配信:ZOOMウェビナー(無料)
ジャンプと僕〜連載経験作家・長谷川智広、ジャンプのお金事情を知る〜(1/3) pic.twitter.com/aA3OnP9op8
— 長谷川智広 (@hasetomo12) May 21, 2024
ジャンプの原稿料、専属契約について先週のジャンプに掲載されたマンガ部分がSNSで作家さんから公開されてました。
専属契約は、半年契約で年間60万円の補助の研究生が、今は100人いるとのこと。一方で、恐らく他誌掲載については制約があるんでしょうね。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
AmazonのWebtoonであるFliptoonですが、こんなページが出来ていました。
わたしとしては、今回のこの記事を見たタイミングで気づいたのですが、amazonアプリで、縦読みが出来るようになっているようですね。
記事を読み解くと、無料のみがアプリへダウンロード可能で「待てば無料」や「有料作品」は、Webのみの利用ということのようです。
*: この記事、特にプレスリリースは見当たらないのですが、わたしが気づいたのが今週のタイミングだったもので、もっと前からやっていましたらすいません。
booklistaSTUDIOの2作品が、海外展開開始。comicoのグローバルアプリ「POCKET COMICS」で英語展開とのこと。モブのほうは、制作がMinto社ですね。
アミューズ、フジTVが、NTTドコモと共同でWebtoon作品制作、dブックで掲載とのことです。
めちゃコミで、先日売上3億円を1か月ほどで達成した「オークの樹の下」を製作したMIDI社が、めちゃコミック内で「特設ブランド館」をオープンとのこと。
『神血の救世主』の編集者、遠藤寛之さんが『売れるWEBTOON企画の作り方』というテーマで勉強会を開催したとのこと。なるほど。
韓国Webtoon原作の『私をもらって』が日本テレビで7月から放送とのこと。日韓それぞれでニュースになっています。
海外News
*: 外国語のニュース記事を紹介します。自動翻訳など活用ください。
タイトル訳:ヨーロッパで危機に陥ったカカオ、ウェブトゥーンプラットフォームを閉鎖(イタリア)
タイトル訳:「マンガ天国」の地獄:ピッコマフランスの未来は?(フランス)
2つ目のフランスの記事に、色々と書かれています。カカオとしては事業集約して韓国側でオペレーションしながら、提携先のフランス企業とやり取りして仕事を進める。つまり現地法人は畳むけども、事業をあきらめたわけではない(リサイズ?)という風に、この現地メディアは読み取っているようですね。ただ、カカオ自体は声明や質問への回答は出してないようですので、今のところなんともですが。
タイトル訳:カカオエンターテインメントは再編とピッコマとのより緊密な関係を模索
そうした意味では、4月に出たカカオの事業再編の文脈に乗ってのことのようですね。
タイトル訳:WEBTOONとタレスが提携し、機内エンターテイメントにウェブコミックを導入
これまで、日本でもいくつか機内サービスに電子書籍導入というのはありましたが、WEBTOONでもその方向のようですね。B2Bサービスを開始したようですね。
タイトル訳:クリエイターの要望にWEBTOONが耳を傾け、Canvasに要望通りの変更が加えられる
WEBTOONの個々のクリエイター画面に、米国C2Cサイトで最大級のPatreonのボタンがあったものが、一度削除され、クリエイターの要望でまた戻ったとのこと。試行錯誤中ですねぇ。
タイトル訳:ウェブトゥーンのマーケティングの天才が、なぜ人気マンガアプリを追い抜いているのかを証明
米国の記事なのですが、Webtoonのマーケティングは優れているが、MANGA Plusなどの日本勢のアプリは、韓国勢に比べるとマーケ的にはもったいないところがあるとのこと。面白い観点の記事だなと。
タイトル訳:FITers は 2D 描画コンテストと Webtoon ワークショップを通じてデジタル コミック エコシステムについて学びます(ベトナム)
ワコム主催で、ベトナムでのWebtoon講座が開かれているようですね。
LIENヤフー問題の韓国側の記事ですね。韓国から見た時に、LINEマンガ上で『神血の救世主』のヒットが触れられるというあたりが、色々変わったなぁと思うところです。
東京港区のBraveGroupのイギリス法人、ロンドンのBrave group Europeが、ドイツ最大規模のアニメ・漫画コンベンション「DoKomi(読み:ドコミ)」と事業提携とのこと。日本企業の海外コンベンションへの働きかけが増えてきましたね。
アメリカ・デトロイト/コロンビア/オンタリオ、カナダ・バンクーバーのコミコンのニュースたち。ホント、そこらじゅうでやってますね。
AI・画像生成関連
ピュアモデルAIのエンドルフィン社インタビュー記事です。前半中盤までは、今まで通りのピュアモデルAIの合法性についてなどです。
後半には、今後の展開と申しますか、B2Bモデルでの提供や、SaaSのリリースも予定しているとか。ゲーム業過での利用は先行しているとのこと。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
記事のみ紹介
告知関連
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