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【マンガ業界Newsまとめ】Amazonウェブトゥーン始めるってよ、「ヤングアニマルWeb」爆誕!Web上で漫画誌機能の再構築へ など|3/12-93

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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Amazon、縦読み漫画サービス開始 国内独占タイトルも

今週、業界がざわついたのは、AmazonJapanのWebtoon配信「Fliptoon」の開始でした。韓国作品約170作品前後を擁して提供開始したようです。(本日3/12現在、16作品ごと1ページ遷移する作品リストで10ページ+9作品が検索にヒットしました。)

機能としては、ブラウザ配信のみで、いわゆる「待てば無料」機能付き。一部作品は国内で独占配信ですが、『リターン~ある外科医の逆襲~』『外科医エリーゼ』といった、既に国内で支持を受けている作品も見れました。

作品については、amazon社自身によるリリースが、機能については、以下のITMEDIAの記事が判り易いです。

現在の日本におけるWebtoonの注目度や、多くの国内WebtoonStudio参入がある中では、比較的おとなし目なスタートと感じられます。

本邦のマンガ関連でamazonが行った新サービスリリースと言うことで思い起こすと、kindleUnlimited開始時に、読まれた分だけ使用料を版元に返す予算が目論見以上のスピードで消化されてしまい、多くの作品が通告なしに読み放題から除外され、出版社側から沢山の抗議が入ったことが思い起こされます。

そうした経験も踏まえてか、いわゆるスロースタートを取って開始時の混乱を避け、国内出版社・スタジオとの作品提供交渉などはこれから開始されたのかもしれません。定かではありませんが。

逆に言うと、まずは韓国のスタジオ各社と交渉をすることからスタートして、日本に横展開したとみて取れます。これなら短期間に立ち上がりますしね。

個人的には、やっぱりウェブトゥーンカオスマップ、また更新しないとかなと涙目です。まだまだ控えてる大型リリースもあるんですよね。。。


『ベルセルク』『3月のライオン』『ふたりエッチ』から新連載までWebで発信!「ヤングアニマルWeb」スタート!システムに「コミチ+」導入

<著者が所属するコミチ社の取組となります。>
白泉社ヤングアニマル誌が、創刊30周年の取組のひとつとして、ヤングアニマルWebをスタートしました。システムとしてコミチ社によるWebマンガ雑誌をSaaSで開始できる仕組み「コミチ+」が導入されています。

スタートと同時に『ベルセルク』『ふたりエッチ』『3月のライオン』といった主要作品の他、グラビアはもちろん、完全にここでしか読めない作品、三浦建太郎『王狼伝』など、多くの作品が無料で読める状態でスタートしています。待つと無料で読める機能、話売り課金機能、積極的な外部電子書店への単行本購入誘導など、総合的に雑誌編集部の運営をサポートする機能が実装されています。

電子コミック市場の巨大化、それに伴うアプリの台頭、Web広告高騰による新規ユーザー獲得コストの増大。結果的に、出版社が読者との直接接点を失い、自社販促が難しくなったこと。これら全ての事象に2023年3月現在で回答を出しているのが、ヤンマガWebなどが先行している「SNSや検索に直結する、Web雑誌による媒体の自力販促」です。

新連載自力PRや、映像化、突然のSNSバズや、TVなどのマスでの紹介などに即応するなどして、自社媒体のプロモーションを素早く、自由に、主体的に行うことを可能としています。

WebやSNSがあることを前提に、紙の雑誌の全盛時代における機能を再構築しなおしたともいえ。出版社が直接読者と繋がる形が、再び戻ってくる流れかと思います。勿論、普通にWebに作品を載せるだけでは終わらない、多くのノウハウや技術が確立済みです。

また、ヤングアニマルといえば、今週はイブニング休刊に伴い講談社から白泉社に移籍する、森恒二さんの『創世のタイガ』の話題もありました。ヤンアニWebにも掲載している『ホーリーランド』も森恒二さんの作品です。

本リリースは以下のメディアでも紹介されています。
白泉社自社PRコミックナタリーMANTANWEBGAMEWATCHKAI-YOUねとらぼファミ通アニメアニメ

ヤングアニマルWebのページはこちら


国内News

国内電子コミック販売の雄Booklive社は、テレビ朝日と3/10に資本業務提携に合意しました。

テレビ朝日グループは、コンテンツをあらゆるメディアに展開し、コンテンツ価値を最大化する「360°戦略」を推進。両社は、テレビ朝日で放送中の番組「まんが未知」で生まれたオリジナルマンガを「ブックライブ」ストア上で独占無料配信するなど連携してきた。

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1485068.html

という流れのようです。


井上雄彦さんが原作・脚本・監督を務めた「THE FIRST SLAM DUNK」が、第46回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞を受賞とのこと。めでたいですね。


児童向け、少年向け、少女向けなど、これまで日本の漫画はこうした言葉を用いて作品を切り分け、部門やレーベルなどとしてきましたが、これが現在の社会情勢に合わないという見方も、業界の中から自主的に上がってきている状況のようです。

長く続けられてきたことですし、これをどうしていくかということはなかなか難しい問題かと思います。大きく男性向け・女性向けと別けた場合でも、両方扱っている大手出版社の中でも、この販売や制作量の割合にかなり大きな違いがあります。

また、集英社と言えば「手塚賞&赤塚賞」、講談社では「ちばてつや賞」と、看板になっている漫画賞は男性向けが中心。一方、小学館の「新人コミック大賞」は、児童部門、少年部門、少女・女性部門、青年部門と全ジャンルに渡っており、このあたり各社の見方が色々とありそうです。


海外News & Webtoon関連ニュース

中国における日本のアニメ配信・漫画配信の大手のビリビリですが、2022年12月決算は売上約4300億円で引き続き赤字も、事業収益も伸び、赤字幅が下がっているのとのこと。さらっと書いてありますけども、4300億円の事業規模はさすがに大きいですね。


日台友好関係を目指し、日本台湾交流協会、紀伊國屋書店、岩手県大槌町などで『漫画の絆 台日色紙展』という巡回展が開催中とのこと。


先週、日本の漫画関連出版社の方々が、大量にタイへ視察に行くタイミングがありました。恐らくその際の視察旅行の過程だと思うのですが、タイとベトナムに竹村響さんが行った際の書店の様子がまとまっています。

ふんだんに写真があって面白いので、これは是非記事を見てくださいませ。


海外で広く消費される韓国コンテンツですが、その中でも最も割合が多いのはWebtoonとビューティーだそうです。なんとなく音楽や映像が強そうな気もしますが、スマホをベースに草の根にも普及して来ているというところでしょうか。


NAVERが現在海外進出でもっとも力を入れているのは欧州とのこと。スペイン、フランス、ドイツに展開中で、北米ともまた違う動きのようですね。

日本から見ると、カカオピッコマによる動きが大きく見えますが、これは日本漫画をフランスに出す取り組みに留まり、NAVERは北米同様、現地作家発掘も視野に入れているようです。

このWEBTOON CANVASという取組の中では、韓国のオーディション的なものとも違い、既存の作品(バンドデシネ的なものでしょうか)をNAVERのプラットフォームで売るもののようです。

実際のサイトを見ると、モノクロの作品も扱っているようですね。なるほど。また、米国の大手C2CサイトのPatreonとも連携しているとのこと。このあたり、北米、欧州と積極的に動いている延長にありそうですね。


NAVERはメディア、KAKAOはECという性質の違いは良く言われていることですが、これを具体的に数字で比較したもののようです。

https://www.webtooninsight.jp/Forum/Content/371 より

単純なサービス利用者では、NAVER、カカオトークなどメッセンジャーではKAKAOと、くっきりとした違いが出ていますね。


国内でもDMMなどとの連携で名前を良く見かけるKIDARIですが、KPOP系のデジタルコンテンツ制作会社MAROに投資をしたとのこと。

MAROは先週話題になった、HYBE社が買収したSMエンターテイメント社のバーチャルアバターなど制作しているとのことで、上空で大きな買収劇のある中、制作系のKIDARIは、同様に周辺のエンターテイメント制作周りを固めているというところでしょうか。この辺りも、日本では見られない動きですね。


NAVERが写真をWebtoon画風に変えるツールを発表とのこと。AI作画系の技術だと思いますが、現場に導入する気満々ですね。


韓国釜山と、対岸の北九州市の連携する事業のニュースです。この両者は近いですものね。ユニークな取組です。


最近は、note上でWebtoonStudio関連の記事が沢山あって、どれを紹介するか迷うのですが、今週はこの2つをです。

最近、LINEマンガやピッコマなどで新連載1位のランキングを連続してとって好調なフーモア社の内情noteです。

実際、マンガづくりとどう違うのか?良い点悪い点は?といった議論は続いておりますが、こうした発信は抑えておきたいところですね。


こちらは、マンガ原作者でもあり、電子書籍関連のサービスで経営企画をやっているというナカタニエイトさんの記事です。より抽象度の高いところから、Webtoonについて書かれている力作です。

確かに、製作・制作・販売などと、状況によって見え方の違うものですよね。


AIイラスト・画像生成関連

何個か前の記事で、NAVERがWebtoonの制作にAIを導入するツールを発表しておりましたが、NetFlixなどアニメの現場でもAI画像生成は注目されています。特に、アニメの現場は慢性的な人手不足のため、こうした取組は求められているところでもあるのでしょう。


Discordや文法チェックツール、マンガやアニメの現場でも良く使われるBlenderなどでも、AI機能の使用ケースが引き続き増加中です。

最初からMidjourney使用の前提とされていたDiscordや、3D作画ソフトBlenderへのStableDiffusionのアドオンなど、良く使われるツールに、AI機能が追加されるシーンが多く見受けられますね。


こちらは少し切り口が変わりまして、紙の書籍流通の本丸「日販」が運営するサイト「ほんのひきだし」に掲載されたAIの話題です。『ロボットは泣くのか?』という書籍のレビューの形での掲載ですが、味わい深いものとなっております。


今週、すごいなこれはと個人的に思ったのは、この実在する動物をファンタジーの世界の動物に書き換えて動かしてしまうというStableDiffusionの事例でした。ただただ凄いですね。創作にも活かせると思いますが、ともかく圧倒されますね。


記事のみ紹介


告知関連

イベント名:クリエイター座談会@WEBTOON
開催日程 :2023年3月31日(金) 18:00~
会場:千代田区神田練塀町300住友不動産秋葉原駅前ビル12階-viviON  
登壇者:ぬこー様ちゃん、睦月ムンク、宮崎晋輔(viviON) 
参加資格:プロ、アマ問わずイラストやマンガ制作に関わるクリエイターの方。クリエイターを目指している方。学生の方も歓迎。
参加費:無料


展示イベント:「マンガと地域振興 展 ──『たかがマンガ』から『地域おこし』の切り札に──」
日程:2023年3月3日(金)~ 6月12日(月)
時間:月・金 14:00~20:00、土・日・祝 12:00~18:00 ※休館日:火・水・木、5月3日(水・祝)、4日(木・祝) 
場所:東京都 明治大学 米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館1階


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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。

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