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【マンガ業界Newsまとめ】セルシス×LINEマンガ・ebookjapanと連携強化、日本の漫画は10年遅れた? など|10/1-121

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、多くの方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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セルシス、LINE Digital Frontierとイーブックイニシアティブが株式大量取得 資本業務提携に基づき

LINEマンガを運営するLINE Digital Frontier(以降LDF)と、イーブックイニシアティブジャパン(以降敢えてebj)の両社が、セルシス社の株式を、第3者割当による新株発行により、報告義務のある5%以上取得したとのこと。

整理を試みますと、まずNAVER側の現在の関係性は以下です。

<資本関係>
NAVER
↓(66.6%株式所有子会社 残33.4%はLINEが所有)
Webtoon Entertainment Inc.(NAVERのWebtoon関連統括会社、以降WEI)
↓(100%子会社)
LINE Digital Frontier →LINEマンガ運営
↓(100%子会社)
イーブックイニシアティブジャパン →ebookjapan運営
  *:NAVER WEBTOONも、WEIの子会社

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2020/3241
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2022/4184

セルシス社は、Webtoon Entertainment Inc.と資本業務提携締結済
→実質的にLDFとも資本業務提携は締結済み

アートスパークホールディングスは、当時のセルシス社の持ち株会社ですが、後に両社は合併し、セルシスとして一本化しています。

上記2つの状況から、セルシス社はNAVER系企業が内外展開するにあたっての連携、WEIが運営するWebtoonを創作するクリエイター向けのオープンプラットフォーム「WEBTOON CANVAS」上で連携するなど、主に海外向けの動きを見せていました。(ここまで前提整理)

今回は、この状態から更に、国内におけるセルシス社とLDF、ebj両社がセルシス社の株式を取得と言うことで、グループ内で複数の日本企業がセルシス社と連携を強める形を見せたというところです。特に国内向けで、今後の連携が図られることが予想されます。

再度整理を試みると、以下のようなところでしょうか。

WEI → セルシス社の株式約5%保有
↓(親子関係)
LDF & ebj → セルシス社の株式約5%取得

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000017174.html
https://gamebiz.jp/news/375135

*: ↑の整理は、私に見落としがあるか、発表されてない含みなどあるかもしれず、間違っている可能性があります。とりあえず、引用している記事だけを基にするとこうなりはします。

セルシス社側の目線で見ると、まず同社のCLIP STUDIOは日本の横漫画市場において長年トップシェアを走っていますが、これから伸長するWebtoonの分野においても、制作ツールとしてデファクトを狙っていく布石と言うことになるかと思います。

この打ち手そのものは盤石ですね。一方でWEI側としては、韓国にもWebtoon制作ツールベンダーはいたりしますので、何を狙っているのかは興味深いところではあります。(あまり日本のニュースではそのあたり、つまびらかにはなっていませんね、今のところ)


堀江貴文氏、日本の“モノクロ”漫画文化に持論「『鬼滅の刃』で日本の漫画が10年遅れたと思ってる」

実は1‐2年くらい前まで、私もこれに近いことを考え、少し不安でした。

ただ、現状のWebtoonのビジネスモデルの道行きや環境を考えると、作品が画一化しやすいことなども見えて来て、逆に日本のように目の肥えたファンが沢山いるところで「ある程度の規模感を持った蟲毒」の様なヒット作品を作る場が維持される方が良いんじゃないかなと、最近は考えが戻って来てそう思いなおすようになりました。

ゲームの世界だと、巨大ヒットするゲームは、大資本の欧米中国製ですが、任天堂やスクエニテイストなゲームは、国内市場を第一歩の地盤として海外にも出て、結局支持され続けるんですよね。

マンガ・アニメにおいても、このガラパゴスと言われ続けて来たけど、ずっと海外に対して競争優位を作り出し続ける日本独自の構造は、大事にし続けるべきなんだろうなと、最近は思っています。

多分、Updateが適切と言うか、一人一人の作り手が全方位に我武者羅なのが効いてると思うので、これまで通り油断せずに、世界中からあらゆるものを取り入れて日本らしく頑張れば、良いものを作り続けられるようにも思います。

プラットフォームの独占や巨大化みたいな文脈は、油断できるものではないですが、そもそもプラットフォームって技術や社会の変化で栄枯盛衰しますしね。作品作りの、独自性と向上し続ける仕組みが優位かなと。

マンガを原作として捉えると、そこからアニメになっても、場合によってはWebtoonになっても良いかもしれませんしね。

余談ですが、数年前に堀江さんと東村先生と3人で飲むという謎な機会がありました。その際に東村先生と話し込んだのが、東村先生は恐らく、旧日本型のアシスタントと漫画家の関係性や制作体制を維持している最後の世代になってるんじゃないかと言う話になりました。

そうは言っても、あれから制作体制を工夫されて最近はWebtoonも作ってらっしゃいますからね。色んな事が見えてきているのだろうなとは思います。


国内News

ポンポンとデイリー新潮から、先週もお伝えした一般社団法人マンガアーカイブ機構の記事が出ています。マンガの国営拠点設立への動きを、アーカイブを旗印に行っていくことが、旗幟鮮明になってきている感がありますね。


*: 筆者が業務で関わる記事です。

コミチ社のWebマンガ雑誌システム「コミチ+」に関する記事です。
今年に入り「秋田書店:ヤンチャンWeb」「白泉社:ヤングアニマルWeb」「小学館:ビッコミ」と、大手出版の主要な雑誌をWeb化する実績を作ってきた「コミチ+」ですが、開始数か月を経て実績も出てきました。

秋田書店のヤングチャンピオン編集長の梅澤丈文さんによると、販促ツールでありながら、新人のチャンス作りにもなり、最近では青年誌媒体でありながら女性読者も開拓と、良い形になっているようです。


有料ですが非常に気になったので、東洋経済さんに課金して読んでみました。

ふんわりと書くと、前期の好調さは国内事業が要因で、今期減益の見込みは海外シフトが要因とのこと。なるほどー、という記事の内容でした。


なんとなくですが、新たな鬼滅級の作品が生まれて、それがMANGA PLUSを通じて海外にサイマル連載しているような勢いを感じますね。


コロコロオンラインを中心に「大きいお兄さん」たちにも好評そうなヒット作品『ぷにるはかわいいスライム』ですが、メタバース進出とのこと。相性がよさそうな取り合わせで、コロコロらしさがありますね


今週xにて、マンガにとってKindleは大きな存在ではあるけど、寡占と言えるほど巨大ではない。日本では海外に比べて他のプラットフォームが頑張っている。

という論調のムーブがSNS上であり、まとまったりしていました。

このあたり、20代ではシーモア人気。など、補強する調査資料が出てきていますね。


移り変わりゆく同人誌界隈ですが、新たな血が入り変化に適応していっている興味深い記事だなと思いました。


これめっちゃ楽しそうですね。
個人的にツボだったのが、水道橋重工のクラタスが、実写版パトレイバーに出た時に、現実とのシンクロ具合に泣きそうになったのですが、こう、ゆっくり人型ロボットの実装が近づいていく感じが楽しいですね。

ゆうきまさみ先生がこの記事にxで反応して、高田明美さんが突っ込むという、消えちゃったポストも楽しかったです。ヘッドギア味ですな。


婦人画報などの世界文化社ですが、この取組はまた思い切っているなと思いました。


こちら、スマホゲームでアジア向けのものですね。期待したいところ。


今週、界隈で話題になった記事だと思います。

アメリカにおいてもOTAKU向け・子供向けだったアニメが、メジャースポーツMBAやMLBなみに支持されているというのは、かの国でもOTAKUが市民権を得つつあるのかなと思ったりしますね。


虎の穴の一般向けD2C「クリエイティア」が、セルシス社のDC3を導入と言う記事です。

このDC3は単純にビュアーとしての機能もあり、クリエイティアが作品を販売しやすくなるというのもあると思いますが、記事にもある通りNFTライクなアイテムの二次流通も可能となっており、ファンコミュニティの機能としてどう機能するか、興味深いところです。

これを、成人向けのfantiaではなく、一般向けのクリエイティアで進めるというところが、また興味深いですね。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

日本テレビのWebtoon制作について、先日コピンコミュニケーションズジャパンを吸収合併した、Contents Lab. Blue TOKYOが制作とのこと。


ブシロードクリエイティブの新作は、アニメイト系『ROCKETOON』制作でピッコマに配信と。K-POPアイドルを担当する日本人マネージャーという設定が面白いですね。


昨年No9社が開始していた「クリエイターに1年間家賃・水道光熱費を無料でサポート」という取組、今年で2期目とのこと。続ける意義や手ごたえが見えてきての継続でと言うところでしょうか。


これは狙いがWebtoon事業へ注力とのことですね。珍しい動きです。


論点が面白いですね。


海外News

*:ここから、外国語が混ざります。自動翻訳などご利用ください。

タイトル:マーティン・スコセッシ監督、コミック映画を非難、映画は私たちの文化に「危険」をもたらすと語る

最近、コミック原作の映画が増えているので、まずいよと映画監督のスコセッシさんが言っているとのこと。こうした言説自体は日本でも良く聞いたものですが、アメリカでもそういう言説が映画関係者から出てくるところまで
、漫画原作映画が増えて来たんですね。


タイトル:SA: 大陸最大のポップカルチャーフェスティバル、第4回コミコンアフリカが開幕

南アフリカで、アフリカ大陸最大のポップカルチャーフェスと謡われながら、コミコンが開催とのこと。聞いた中で、一番日本から遠い感じがしますね。


「NAVERのWebtoon投資により、新たなインディペンデント作家などが参入」、「『ロア・オリンポス』紙でも好調」など興味深いですが、残念ながら


タイトル:ウェブトゥーン論争:人気漫画がウェブトゥーンから削除される

続いている差し止め作品への論考ですが、一つの問題に対するローカライズの問題も出てきているみたいですね。


AI・画像生成関連

DNPが着彩の半自動化や、翻訳時の細かい処理など、作業工数を下げる仕組みをAIを活用してツール化とのこと。クリスタの様な制作ツールと言うより、版下づくりの様な従来のマンガ制作工程の後工程に近いところのツールなのかなと思ったり。開発は3つ目の記事の「10ANTZ」社とのこと。


フォトショのAI、実装とのこと。


音声認識と画像生成の連携とのこと。面白いですね。

Windows11のAI実装、日本はちょっと先になるとのこと。


OpenAIと、DALL/E3の連携。OpenAIを中心に世界が動いてる感がありますね。


リアル書店「有隣堂」とKADOKAWAの取組。VR書店の取組をリアル書店に移植とのこと。最近、リアルイベントにその場限定でvtuberが登壇するイベントなんかもありますが、そんな感じですかね。


AIについてのクリエイターの生の声、少しずつ増えてますね。


フランスはこう来ましたかー、フランスらしいですね。


今週のセール・キャンペーン・漫画賞・新人賞


記事のみ紹介

↑ちばてつや先生×鳥嶋さんの対談記事です


告知関連

インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

本書発刊にあたり、私からの紹介で本書を著者割引10%で販売できます。本noteご覧の皆様にはコードをお送りいたしますので、私の連絡先をご存じの方はご連絡ください。または、こちらの私の個人会社問合せフォームか、Twitter(X)のDMも解放しましたので、ご都合の良い方法でご連絡ください。

購入時に送付先など入力していただくことになりますので、私へのお問合せの際は匿名でも構いません。クローズでメッセージさえいただければOKです。主に法人向けの高価な本とはなりますが、よろしくお願いいたします。

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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、ヤングアニマルWeb、ヤンチャンWeb、ビッコミの他、来年に向けても大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。詳細以下より。

コミチに関するお問い合わせは、こちらまで。

筆者個人へのお問い合わせなど、以下まで。


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