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安倍元総理への追憶<在日韓国人の視点>

「ピコーン、ピコーン。右に曲がります、ご注意下さい」

「ピコーン、ピコーン。右に曲がります、ご注意下さい」

安倍元総理が不気味に笑いながら
右へと曲がって行く夢を見て
私は恐怖で目を覚ました。

夢から覚めた現実でも
「ピコーンピコーン」と安倍総理がつぶやく声が聞こえて来て
私は震えながら耳を塞いだ。

気分転換に散歩に出ると
運動場から
「右へならえ!」の声が聞こえた。

今、この国がおかしい。

そう思っているうちに
散歩中だったはずの私が
ふとんの中で目を覚ました。

夢から覚めたのは夢だった。
私は夢から覚める夢を見ていたのだった。

私は なぜか泣いていた。
そしてみずからの喪失感に初めて気が付いた。
憎んでいたはずの彼はもういない。

彼さえいなければ
全ての難題が解決するかのように思っていた。
だけどそうじゃなかった。
彼もまた難題に挑んでいたひとりだった。

彼の心はずっと青年だったのかもしれない。
彼は最期まであまりにもこの国を愛する青年だった。

だから誰かがやらざるを得ない憎まれ役を
彼は引き受けていたのだった。
青年のような使命感で。

私は彼の思想を憎んだ。
だけど今、私は初めて彼に尊敬の念を感じてしまった。

今なら分かる。
彼は本物の政治家だった。

最後までお読みくださって本当にありがとうございました。