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猫なんて大嫌いだったという彼女が行き場のない猫たちを抱えて追い詰められてしまったのは・・・②

前回の続きです。
突如、30頭以上もいる野良猫のTNRをやることになってしまったカナさん。
旦那さんと協力してなんとか全頭の不妊手術を終わらせました。

術後の猫たちの様子が気になったのでTNRが終わった後も朝4時に起きて猫たちの様子を見に通いました。
現場に通ううちに情が湧き、人懐こい子や病弱な子だけでも保護できないかと思うようになりました。保護した子はケアをして譲渡会に出して里親さんを探せばいい。
里親探しについても色々勉強して、最初のうちは順調だったといいます。

あそこにも猫がいる、こっちにも猫がいると聞いてもないのに情報を伝えてくる人たちの言葉を無視できず、他の現場まで足を伸ばし、その度にTNRに明け暮れるようになってもその時はまだ大丈夫でした。



 子猫のシーズン到来


冬が終わり、春が過ぎて夏になると雲行きが怪しくなってきました。
そう、子猫のシーズンです。
TNRに訪れたあちこちで子猫の姿を見かけるようになります。

子猫を外で見るとその危なっかしい姿にいてもたってもいられなくなります。カラスに襲われて亡くなる子猫、車にひかれて亡くなる子猫、母猫からはぐれ、一人で鳴いている子猫、猫風邪で顔がぐちゃぐちゃの子猫。
そう、人間と同じですが、子供は無防備でとても弱い。
放って置けずに保護してもそれで終わりではなく、乳飲児だったら3時間おきにミルクや排泄のお世話が必要だし、子猫は体調も崩しやすいし、手がかかります。
子猫のお世話に明け暮れていると、先に保護していた大人の猫たちの譲渡が次第に滞ってしまうようになりました。
頑張って譲渡会に出たとしても子猫のシーズンは大人の猫になかなかチャンスが回ってこない。子猫を欲しがる人の方が圧倒的に多いからです。
子猫を譲渡会に出そうにも、具合が悪い子は出せないし、忙しすぎて気力も体力も消耗してきていました。

普通だったらここで一旦休止しても良さそうなのですが、そんな疲労困憊な中でも人から相談されたり、一方的に野良猫の現場の話をしてくる人たちの声をカナさんは無視することができませんでした。「毎年たくさん生まれて毎年たくさん死んでる」なんて顔を合わせる度に言われ、じっとしていられなかったんだと思います。



地域猫活動という取り組み

 そういうわけで、人から押し付けられたりした猫のことも放っておけず、気がつけばたくさんの猫を自宅に抱えるようになりました。
ある時には「実はうちの近所にも野良猫がいて、本当はその子を飼いたいんだけど、捕まえられないからあきらめて里親希望した」という里親希望者の話を聞いて、家から遠く離れたその現場に行き、代わりに捕獲したこともあったそうです。捕獲さえできれば飼ってもらえるんだから命が一つ助かる、と思う気持ちもわからないでもありませんが、そこで現場に行ってしまうカナさんがすごい。

猫は捕獲できたそうですが、結局性格がキツいからやっぱり飼えないと言われてしまったといいます。その猫がきっかけで自宅から離れた場所のTNRまでやるハメになり、「なんで私が遠くの現場までやらないといけないんだろう」と悶々としたそうです。が、人が良すぎるというか、責任感が強すぎるというか。。。人のことを信用しすぎるというか。まじめすぎるよ、カナさん!笑


それからしばらくして、他の区で取り組まれていた地域猫活動のことを知り、一筋の光を見出します。
練馬区の地域猫活動の取り組み(ねりまねこさんのこと)を知ったカナさんはこれだ!と思いました。

不幸な命を増やしたくないという思いでTNRやお世話をするカナさんに「税金泥棒」と罵声を浴びせる人、中には石を投げてくる輩までいたそうです。税金泥棒というのは野良猫の不妊手術に助成金が使われていることに腹を立てていたと推測されますが、アホかよ。聞いてるだけでワナワナしちゃう。
そんな低能な人達にも毎回まじめに説明しようとがんばっていたらしいです。どこまで忍耐強いんですか、カナさん。


 練馬区は野良猫を問題を地域で解決しようと取り組んでいる。カナさんの住んでいる地域でも同じようなことができたら野良猫のお世話を堂々とできるし、罵声を浴びることもないはずだ、と思いました。
真面目なカナさんは地域猫の活動の趣旨が書かれているパンフレットなどを軽い気持ちで餌やりしている人に配り、不妊手術の重要性や、不定期な餌やりがかえって猫たちを危険に晒してしまうことなどを説明して回ったりもしていたそうです。
その姿が目に浮かぶ・・・カナさんは正しいことをしているんだけど、突然話しかけられて、猫の話をはじめられて困惑する人の姿も同時に目に浮かんでしまいました。

本当にカナさんは真面目で一生懸命で、性善説を誰よりも信じている人なんじゃないかと思ってしまう。

とにかく練馬区の活動に感銘を受けたカナさんは、早速地元の区にも地域猫活動を提案します。
周囲の人の協力もあり、議員さんも巻き込んで一時は期待に胸が膨らんだそうです。
が、結局は期待はずれ。口先ばかりで地域で思うような対策がされることはありませんでした。


孤独な保護活動再び

役所は当てにならないし、保護活動をしている人同士で協力ができればよかったものの、みんなそれぞれ自分の活動で手一杯。ちょっとした考え方の違いから人間関係も煩わしくなる。カナさんなりに色々試したけれどどれもうまくいかず、結局自分で頑張るしかない、という結論に至ります。

 カナさんがガッツリ保護活動を始めるようになったのは元はと言えば役所に相談したことが発端だなんて、なんか皮肉だなあと思ってしまう。
私の場合は役所に相談するなんて考えもしませんでした。
最初から期待していなかったというか、ニンゲンのための役所が他の動物の身を案じて行動するなんてまずないだろうなと思っていたのです。
だからカナさんが役所に一生懸命訴えたと聞いて、とてもピュアな人なんだなと思いました。
 私の住んでいる地域にも動物愛護推進員という方がいるらしいのですが、その方の自宅には 60頭の猫がいると近所の方に聞きました。動物愛護推進員をやってるから役所を通じて色んな人に相談されて、放っておけない子を保護したんだろうなと思います。

 結局、猫のことをどうにかしたいと思ってしまった人負けになってしまうのです。自分が実際に見てもいない猫のことまで、話を聞いただけで気になって他のことが手につかなくなったりする気持ちはよくわかる。
きっとラブコの周囲の人はみんなそうだと思う。
そんなに猫が好きなのか、とか病気だねと冗談半分に言われたりもするけど、不遇な猫が目の前にいるのに悩みもせず平気でいられる方がおかしいんじゃないかと思う。

結局カナさんは誰にも頼れずに保護活動を継続します。抱える猫の頭数は増え、自分自身も疲れてしまって譲渡もなかなか進まない。でも困っている猫は放って置けず、「保護はしない、TNRだけなら」と人から相談された現場に出かけ、やっぱり放っておけない猫に出会ってしまう。
前回も書いたけど、やっぱり自分の目で見てしまった時の破壊力は半端ないのですよ。私の場合は話を聞いただけならまだNOと言える。でも見てしまったら終わり。保護しなかったとしても、ずっと猫の姿が目に焼き付いて心がどんよりする。

カナさんは話を聞いただけでもNOと言えなかったんですね、、。


そんなとき、知人を通じてカナさんが保護した親子猫3頭を初めてラブコで引き受けることになりました。そこから数ヶ月〜半年に一度くらいの割合でカナさんから猫の相談を受けるようになります。

長くなったのでまた次回に続きます。

よろしければラブコCATSにギャラをお支払いいただけると、猫たちが喜びます!