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LOVE&Co.が誕生するまでのできごと(前編)

特定のにおいが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象をプルースト効果と呼ぶそうです。そう、プルーストの有名な『失われた時を求めて』という小説の中にもそういった場面が出てくるらしいです。世界最長の小説で、結局一度も読んでいないのですが、今年こそ、読み始めてみようかな...。

今日、3月3日はラブコの設立日で、今年で5周年を迎えます。
この時期の、ちょっと肌寒いけどすっかり春、みたいな風の匂い。
この風の匂いを嗅ぐと5年前にタイムスリップするのですよね。
電車とバスを乗り継いで三茶の役所に何度も行ったっけな。バスを待っている時の風の匂いとか緑の木々の景色とか。これからやっと猫を入れられるオフィスが持てる!とワクワクしていました。
2016年の3月3日に一般社団法人LOVE&Co.は設立されましたが、いきなりポーンとできたわけではなく、その前にもBuddyという名前で、ある会社の一部門としてコーヒーを販売していたりしました。

今日は設立記念日なので、ラブコが誕生するまでの経緯も少し書いてみようと思います。長くなるから前編、後編に分けますね。


猫と出会う前のハリネズミとの生活

私の猫人生は2006年の8月にけろくん(我が家の今年15歳の茶とら猫)と出会ったことから始まりますが、当時、私はぽっちゃん(正式名Hodges)というハリネズミを飼っていて、それはそれは溺愛していました。アメリカのハリネズミ協会の会員にもなっていて、日本人の私が珍しかったのか、協会が発行しているマンスリーのニュースペーパーに寄稿してくれと頼まれて、ぽっちゃんとともに掲載されたこともあります(笑)
子供の頃から動物は好きだったけど、高校卒業して一人暮らしを始めてからは自分が生きるのに精一杯で動物が好きだったことも忘れていたくらいでしたが、ぽっちゃんと暮らし始めてから動物への愛に再び火がついたというか。

ちょうとぽっちゃんと暮らし始めてすぐ、当時働いていた六本木の会社を辞めようと思っていた頃で、転職活動するときもなんか動物の仕事ないかな〜とリクナビで「動物」と検索してヒットした会社に面接に行くことに。
そこでぽっちゃんの話をして、アメリカのハリネズミ新聞に掲載されたというエピソードが社長と専務になんかウケたらしく、その日に採用の連絡をもらいました(笑)

その会社が動物用の医薬品や医療器具を輸入販売している専門商社で、仕事でも犬猫に携わるようになります。と言っても会社に動物がいるわけではないし、直接触れ合うということはなかったけど、取り扱っている商品が犬や猫の整形外科手術に使われる器具だとか、皮膚病に良いというシャンプーとかで、勉強する内容も犬や猫に関連することだったから、面白かった。

海外から獣医さんを招聘してセミナーやったり、獣医さんが読むような論文や資料も会社の中にあって、取引先の商品カタログも全部犬猫用なので見ていて全然飽きなかったし。猫の飼い主はあんまり動物病院に行かない、っていう風潮?があって、ほとんどが犬用で、会社で作るパンフレットやチラシも犬の写真ばかりが使われていました。そんな中、私と同期で仲良くなった子が猫好きで、私は断然犬派だったけど、彼女の実家で暮らす猫たちのエピソードを聞いているうちに、猫もいいかもなあなんて少し思ったりしていました。ただ、私の子供時代、猫におばあちゃんの家の鶏が襲われたり、飼っていた文鳥を狙われたりしていて、なんとなく猫は嫌いじゃないけど、残酷なところがあるからなあ、と思っていたりしました。

2006年の夏、中華料理屋で捨て猫と出会う

そんな中、8月の終わり頃、近所の中華料理屋さんに晩御飯を食べに行こうと出かけたら、駐車場に一頭の薄汚い子猫がポツンといてミャアミャア鳴いていました。後ろ髪をひかれながらも店内に入り、お店の人に聞いたらその日の夕方突然現れたとのこと。
とりえずお腹が空いていたので、色々注文したのだけど、猫のことが気になって結局全然口にする気にならない。あの子はきっとお腹が空いて鳴いているのに、自分だけ食べる気がしない、と言うと一緒にいただんな(当時はまだ結婚していなかったけど一緒に住んでた)は何かを察して一気に暗くて重たい空気が流れました。とりあえず、中華料理屋を出て、猫のところへ。
顔がぐちゃぐちゃでしきりに鳴いている。ご飯だけでもあげようと、スーパーへ行って猫缶を差し出しても地面を見つめて鳴いているばかりで全然口にしようとしない。夜とはいえ、夏の暑い日だったからそのうち虫が来て、猫缶の中に入っていく。
このまま放っておけない。でもうちはペット不可(ぽっちゃんはこっそり飼っていた)だし、猫とハリネズミは同居できないよな、、、なんて悶々としていたらだんなが「うちにはぽっちゃんがいるじゃない」と泣きそうな顔で言ってくる。。。
結局、その夜は子猫をその場に残し、家に帰ってしまいました。今だったらありえないけど、あの時はそうしてしまいました。

結局、その夜は眠れるわけもなく、「明日もう一度行ってみて、もしまだいたらもう連れて帰ってこよう。確かあそこに動物病院があったから、保護したその足で病院に連れて行こう」と密かに布団の中で決意。

翌日、無知だった私は大きなエコバッグを持って、「ちょっと出かけてくる」と言って再び中華料理屋へ向かいました。そうしたら、中華料理屋に着く前の、廃墟となっている商業施設から昨日のあの猫の鳴き声が聞こえてきました。「猫ちゃん!」と呼ぶと、茶色の小汚い子猫が走ってきた。
ああ、昨日の猫ちゃんだ!と思って、本当だったら抱きしめたかったけど、あまりにも目やにと鼻水でぐちゃぐちゃの顔で、宇宙人みたいでお世辞にも可愛いとは思えず、「ああ、これが犬だったらよかったのにな」なんてひどいことを思いながらも、猫を抱き上げてエコバッグに入れて病院に向かいました。

病院に着くと、先生に「標準的な猫の半分しか体重がない。もう少し遅かったら死んじゃっていたかもね」と言われました。そこは夫婦で経営している動物病院で、奥の方で男の先生が子猫を抱き上げて「可愛いでちゅね」とか言ってるのを私は見逃しませんでした。
ぐちゃぐちゃの顔は風邪によるもので、点鼻と点眼して薬も飲ませて、一週間後にまた来るようにと言われました。
「え?一週間もうちで預かれるかな、、、。すぐに誰かにもらってもらいたいんだけど」と困惑しました。そして、だんなになんて言おうと考えながら家路につきました。

玄関の前に立つと、それまでエコバッグで静かにしていた子猫が突然ニャーニャーと鳴き出して、家にいただんながドアを開ける。なんか文句言われるかなと思ったけど、子猫の無邪気な可愛さを前に思わず顔がほころんでいるだんな。その後、テレビで甲子園をみているだんなのお腹の上で、子猫がすやすや眠り始めました。やっと安心して寝れる、そう思ってるみたいでした。
あんな小さくてひどい風邪を引いて、突然捨てられてどこに行っていいかわからなくてフラフラ彷徨っていたんだと思うと、胸が張り裂けそうで泣けてきました。とりあえず、うちでは飼えないからなるべく早く飼ってくれる人を探すことを条件に、しばらくはうちに滞在していいと言うことになりました。

その後、病院でもらった薬をあげると子猫はどんどん元気になり、塞がっていた目もどんどん大きくなって、どんどん可愛くなっていく。もしかして、すっごいイケメンだった?ご飯が食べれなかったのは風邪のせいで鼻が詰まって匂いがわからなかったからなんだね。
あんなにガリガリでボロボロだった子猫が、どんどん元気になっていくのが嬉しかったし、一度病院に連れて行っただけでこんなに変わるんだとびっくりしました。


会社で猫好きの同僚に拾った子猫のことを話すと色々親身になってくれました。貰い手を探さないといけないので、仕事そっちのけで、猫の里親募集サイトを見て情報収集しているとやたら出てくる「里親詐欺に注意」という言葉。里親詐欺ってなに?と調べると、善良な里親を装って、虐待目的で猫を欲しがったり、動物実験業者や三味線のために猫を集めるという極悪非道な輩たちの存在を知る。ある保護団体のサイトでは里親詐欺の巧妙な手口を事細かに掲載していて、突然恐ろしくなりました。私ってば、全然無防備に貰い手を探そうとしていた。これはだめだ。貰い手探すのは長期戦で万全の体制で臨まなくては!
とりあえず、だんなを説得するために資料がいると思い、里親詐欺の巧妙な手口や、里親募集の際に必要なことがまとめてある保護団体のWEBサイトをプリントしていたら、電話帳の半分くらいの厚さになってしまった。

その日、ラーメン屋でだんなと落ち合い、猫の貰い手探しには時間がかかることと、その理由を分厚い資料をカバンから出して少し説明しました。
するとろくに資料を読みもせず、「もういいよ、うちの子にしよう」とポツリ。
え!まじで?だんなは確信犯だったろうと言うけど、本当にそうくるとは全く思っておらず、今まで生きていて一番嬉しかったのがあの瞬間です。
別れが辛くなると思って、名前もちゃんと考えていなかった。
もう里親詐欺のことを心配しなくていいんだとどっと安堵感が出ました。

そこからは早かった。うちの子にすると決めた以上、今いるマンションには住み続けられないので、猫可の物件探しが始まりました。難儀したけど、不動産屋さんで猫の話をしたら、猫好きの大家さんのマンションがあると紹介してくれました。そこには「ペット不可」って書いてあるんだけど、その大家さんも保護活動をしていて、猫を保護したならいいって言ってくれるはず、と交渉してくれてあっさりOK.
この大家さんがきっかけでまた野良猫に少し関わるようになります。

長くなるので続きはまた後編で!

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よろしければラブコCATSにギャラをお支払いいただけると、猫たちが喜びます!