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半分ろうそく 大人向け 毎週ショートショートnote

これが最後の一本だった。
いつだったかに使われた古い蝋燭。
まあいい。
最後までこの炎が揺らぐほど、君との時間は続かない。

「本当にいいの?」
君はか細い声で僕に言う。

「ああ、僕が望んだことなんだ。君が悪いわけじゃない。君のせいじゃないんだ」

「違う、それは…… 私も、私は…… 」
彼女は堪えきれずに蝋燭の灯を消そうとする。

「ダメだよ」
僕は蝋燭に伸ばした彼女の手をとり、抱き寄せた。

「愛してるんだ、こんなことになって申し訳ないとは思うけど、本当に君が必要なんだ」

「私もよ、あなたを愛してるの。あなたのすべてを」

僕たちはそれから長いキスをした。
蝋燭の灯りは二人が一つになる影を静かに、時折、揺るがせながら映す。

「欲しいんだ」

「私はあなたの為にあるのよ」

彼女は蝋燭に手を伸ばす。

僕は今度は邪魔しなかった。


「ギャーー!熱い! もっとー!」

「ほらあ!あんた、蝋が欲しけりゃ、ほら」 

たらっ。

大人の愛は半分くらいがちょうどいいのかもしれない。


完410

愛のしるし PUFFY
THE FIRST TAKE 


たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「半分ろうそく」に参加させて頂きました。

だってな、だってな、皆さん怖いのやら、感動やら、命の灯とかな……
そんなんな、書きにくいやんか。かぶるしさー、かといって笑えるのもすでに上手い事書いてはるしさー、書かれへんから大人向けに、しかも、ちょっとだけハードにしたんやんかいさ~~

コメント欄で責めるのだけはご勘弁ください。
こんなん好きや~~と喜んでる方もおられるかもしれませんので……


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