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札幌は「円熟期」か?「衰退期」か?

今回は地元の札幌について語りたい。

現在の状況が正念場で踏ん張っているのか?衰退フェーズに入ってしまったのか?を色々な面で解析して結論を決めたい。


【統計面】

①推計人口

まずは札幌市の人口だ。

2024年5月現在の推計人口は196.9万人。
一番多かった時期が2020年の197.6万人なので、既にピークを過ぎたことになる。
コロナ禍で死亡超過になったため、社会増が死亡数に追いつかなくなったのだ。

2021年以降は毎年2,000-3,000人ペースで減少している。

②社会動態

次に社会動態を見てみよう。

下の図のように、概ね毎年8,000-10,000人ずつ流入が続いている。

札幌市の人口動態(毎日新聞より引用)

次に、年齢別の転出入も見てみる。

概ね15-29歳の若年層と50歳以上の転入が大きいことが分かる。

年齢別転入超過数(イエ&ライフのブログより引用)

ところがこれには少し罠がある。

実情を見ると、若年層の場合は道内の他の学生が進学・就職で札幌に著しく引っ越す一方、札幌市内の優秀な学生が首都圏に流出しているのだ。

これは地域別で見た転出入だが、札幌に転入した分の25%が首都圏へ流出。
先ほど書いた優秀者の首都圏流出がまさに当てはまっているじゃないか!

地域別の転出入データ(北海道新聞より引用)

3つの資料をまとめると、道内の他の地域の進学・就職と高齢者の引越し・入院によって増えているだけという、非常に悲しい現実だ。

③都市計画

そして都市計画を見てみよう。

北海道新幹線の延伸に向けて都心部の再開発に必死になっていることが伺える。

◎北6東2・東3再開発
◎北5西1・西2再開発
◎北4西3再開発
◎ヒューリックビル建て替え計画
◎北1西5 (仮称)NTT UD計画
◎北海道新聞跡地再開発
◎札幌市役所移転
◎大通東1再開発
◎大通西4南西地区再開発
◎(仮称)札幌ダイビル計画

再開発一覧

ある程度確定している案件でこれだけあるのだから、構想中の案件も含めたら物凄い件数になると言われている。
一部の噂では100m以上のビルが30棟近く増加する可能性があるほど。

一方で、交通面で見たらどうなるか。
再開発に比べたら凄い貧相だよ?

◎都心アクセス道路
◎東4丁目通再整備
◎新交通システムの整備(快速水素バス?)
◎地下鉄の延伸は非現実的

交通整備計画一覧

新幹線の開通に合わせて都心アクセス道路を整備するのは理解できる。
(都心部〜最寄りの札幌北ICまで4.5km離れているため)
だけど他の道路整備が貧相すぎないかい?

地域高規格道路(候補路線)の札幌南環状道路を予定から降ろしたのはお話にならない。
雪道だからこそ高速道路が必要なのに。

そしてもう1個愚策な道路計画がある。
東4丁目通の再整備だ。

現在は北5条の1ブロックと北2条以南が4車線となっている。
札幌ファクトリー付近のクランクを直すのが目的なんだけど、2車線+右折レーンに変更する。
車線を減らすとかアホなの?
それこそ交通渋滞にならない??

中身が長くなったけど、まとめると「コンパクトシティ化に向けて、箱物整備に全力&道路整備を躊躇」って言える。

④空室率

最後にオフィスの空室率を見てみる。

下の図のように、札幌の空室率は2%台で他都市に比べて非常に低く推移している。

オフィス空室率の推移(北海道新聞より引用)

基本的には空室率が4-5%あるとオフィスの入居・退居がスムーズになり、10%を超えると供給過剰になるとされる。
札幌市内が2%台で推移している理由は2点考えられる。

①:道外本社のIT企業とコールセンターが札幌に進出したがっている
②:一方で市内の会社は需要を躊躇してこれ以上増やしたくない

この2つが拮抗している以上、オフィス空室率はなかなか上がらないだろう。
そういう意味では将来は暗く無いかも?

【環境面】

①北海道新幹線への反応

新幹線開通の反応はあまり良くない。
開通しても飛行機を使い続けると答える市民が多く、需要すら見出せないと予想する市民もいる。

Xでは今でも一定数が新幹線延伸をストップさせたがっているくらいだ。

私本人も懐疑的で、むしろ北陸新幹線の全通前倒しに向けて全力を尽くすべきだと考えている。

新幹線が札幌に延伸しても将来は決して明るく無いだろう。

②周りの友達の就職先

私の周りの話だけど、大学卒業後の就職先は市内と道外で半々くらい。
統計の②で書いた通りの実態と言えるかな。

札幌にブレーンとなる仕事が少ないので、優秀な学生はやっぱり東京に行ってしまう。
札幌に居残っているのは高卒・専門卒・道内私大卒がメインかな。
現場職とか営業・販売ばっかりで、企画・エンタメ・開発は少ない。

ブレーンとなる仕事がないままだと将来は暗そうだ。

③交通機関の利便性

交通機関の便利さも減ってきた。

昨年の秋に中央バスが減便を発表。
費用高騰に運転手不足が響いた格好だ。

12月と4月の改正ですでにバスがどんどん減便されている!
JRと地下鉄が近くにないエリアは大変になってきたかな…

運転手の減少と減便の流れはずっと続くだろうから、郊外の衰退はすでに始まっているかも。

④市民から見た景気の体感

札幌市民からしてみると、実態景気の良さを全く体感できない。

1997年に北海道拓殖銀行が破綻してからずっと低空飛行で、福岡市どころか2002〜06年には仙台にも追いつかれそうになったくらいだ。

ハドソンも吸収されたし、カブデコムも衰退。
ニトリ・ツルハ・アインズは東京主軸になってしまった。
JR北海道も経営不振で、北海道電力も渋々やりくりしている印象。

この状態が何年も続いているようでは暗いままだろう。

【結論】衰退初期になった?

4つの統計と4つの環境面を解析した結果、個人的には「衰退が始まった」と判断している。

2022年まではなんとか踏ん張っていたけど、23年シーズンから暗い話が続いている。
これのどこが「全盛期」「円熟期」なのか?
正念場も通り過ぎて「衰退の初期」に入ったとしか思えない。

これから始める金融都市「GX」化計画も上手くいくか不透明。
将来は暗くて、ゆっくりと衰退してしまう気がするな…

(広島の時事問題をブログにしている「封入体筋炎患者のヒロ」氏みたいになってしまった…笑)

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