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ミロ先生、私も読みました! 三島由紀夫「春の雪」はこじらせDTのラブストーリー

ドラマ『荒ぶる季節の男どもよ。「山岸知明 編」』で、山岸先生ことミロ先生がエロチャットをしていると、「熱い微風…」という表現が出てきて、ミロ先生が気になって調べているシーンがありました。「何の本だろう?」と気になったので調べたら、三島由紀夫の「春の雪」だったので、読んでみました。ストーリーのポイントや面白かったところをご紹介いたします。

簡単に言うと、美男、美女の悲恋の物語

三島由紀夫の「春の雪」は、侯爵家のお坊ちゃま・清顕と伯爵家のお嬢様・聡子の悲しい恋の物語です。聡子に縁談がくるようになってお互いに意識するようになり、好きだから結ばれたのだが、逢瀬を重ねるうち妊娠しちゃって、彼女は出家し、彼は死んでしまう。

…愛し合ってるのに、裕福なのになぜ?


世界観①清ちゃまがこじらせDT

清顕は2歳年上の聡子から「きよさま」と呼ばれていて、当年とって19歳ですが、今でいうところの「こじらせDT」で、聡子が好きなのに、その気持ちに素直になるには自意識が高すぎ。彼女に勝手に腹を立て、「もうDTじゃないもんね。女なんて「みだらな肉を持った小動物」にすぎない」とか書いて送ってしまう。私にはまったく意味不明です。男性の方は分かるのかな…。


世界観②使用人がいっぱいいる華麗な暮らし

聡子には蓼科という使用人がいつも一緒にいます。初めての情事のあと、清顕の前で蓼科を呼びつけ、着物を着るのを手伝ってもらう聡子のお嬢っぷりにはびっくりです。

清顕にも飯沼という住み込みの教育係がいます。

たくさん使用人がいる華麗な暮らしぶりは、伏線に生かされていて、面白いです。

例えば、重大な秘密が清顕に伝わる場面も、飯沼の付き合ってる女中が清顕の父の「お手つき」(!)で、「寝物語」に「秘密だよ」と念を押された話を今度は彼女が「秘密よ」と飯沼に話しちゃうという…。そして、飯沼が女中と付き合ってるのがバレると二人とも暇を出されてしまうのも、清顕の父は昔だったら手討ちものだとかも、まったく?です。


ドラマに出てきた「熱い微風」は二十七です

「下宿」という、怪し気なホテルのようなところで2人が密会して初めて結ばれるときのシーンで出てきました。

 雨の音がきびしくなった。清顕は女の体を抱きながら、その堅固を目で測った。夏薊の縫取のある半襟の、きちんとした襟の合せ目は、肌のわずかな逆三形をのこして、神殿の扉のように正しく閉ざされ、胸高に〆めた冷たく固い丸帯の中央に、金の帯留を釘隠の鋲のように光らせていた。しかし彼女の八つ口や袖口からは、肉の熱い微風がさまよい出ているのが感じられた。その微風は清顕の頬にかかった。

このあとの、着物を脱ぐ描写も視覚的でとてもいいです。

それにしても「熱い微風」でぴんとくるとは、ミロ先生、さすがです。



ドラマ『荒ぶる季節の男どもよ。「山岸知明 編」』について

山田杏奈、玉城ティナがW主演のドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』のオリジナルエピソード作品で、山岸先生が主役のお話です。TSUTAYA TVおよびTSUTAYAプレミアムで独占配信されています。DVDも発売されました! 古川雄輝が山岸先生(ミロ先生)を演じています。

このドラマをきっかけに、日本文学の名作を読むことができ、よかったと思います。(坂口安吾の「堕落論」も読みました。)まだ、ドラマ中には文学作品が隠されているかもしれないなあ、発見できたらまた読みたいです。






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