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蓋を閉じられたピアノ【フジコ・ヘミングさんを偲んで】

おはようございます。
ミュルアです。

今日の東京は、梅雨の走りのようなぐずついたお天気です。

つい先ごろ放送されたフジコ・ヘミングさんの追悼番組の録画を観ました。

前半は、お元気なフジコさんが意欲的に次のリサイタルに向けて準備を進めておられました。

フジコさんの代名詞とも言える【ラ・カンパネルラ】が世界的に大ヒットした頃から、私は、フジコさんに心酔しています。

ショパンやリストも、好きですが、特にドビュッシーの【月の光】が堪らなく好きです。

静かに降り注ぐ月の光のような優しい音色を私は、他には知りません。

インタビューの中で、フジコさんが曲のスピリットみたいなものと対話しながら弾いていると確か仰っていました。

技巧的でテクニックが勝ると機械のようだと。

「間違えても良い」という彼女の優しさは、ピアノの音色になって現れている気がします。

番組に釘付けになっていると、そこには、次のリサイタルのために懸命に闘病やリハビリをするフジコさんの姿がありました。

リハビリ病院のグランドピアノを見えぬ目で手探りで弾いた後、何かを観念したかのように自ら蓋をする姿が目に焼き付きました。

フジコさんがピアノに触れた最後の瞬間でした。

90歳を超えてなお生涯現役のピアニストの生き様を見させていただきました。

「天国でモーツァルトやショパンに会って、どうだったと聞くつもり」と笑っておられたフジコさん。

あちらでリサイタルをされたでしょうか。

ご冥福をお祈りいたします。


ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


blue_lace_moonさん、ピアノのお写真をありがとうございました。

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