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Netflixについてつらつらと IT企業としてのNetflixとストーリーについて

私はNetflixが好きだ。というかファンだ。暇だとつい開いてしまうし、何か観たいと思ったらとりあえずNetflixを探すし、何もなくても帰宅したら開くし、つまりやや依存気味なくらいだ。

日本のテレビはもう何ヶ月もまともに観ていないのに、Netflixだけは観ている。

私がNetflixで好きなジャンルはスタンドアップコメディとドキュメンタリーとリアリティーショーだ。どれも日本ではなかなか触れられないコンテンツで、何よりとても面白い。今はQueer Eyeと「愛国者として物申す」がお気に入りで、新作を楽しみにしている。

今回のアカデミー賞で、一番話題になったのはNetflixが配給している「ROME」が作品賞をとるのかということだった。結論から言うと、取らなかったのだが、Netflix等配信サイトで見ることのできる映画をどう扱うか、というのは今後も大きな問題となってくると思う。


私は今までどちらでもいいじゃん派だった。つまりあまり深く考えていなかった。が、ネットのどこかの記事で「Netflixは映画会社ではなくあくまでIT企業である、視聴者がストレスなく、次の動画を見るようにするためエンドクレジットをきちんと流さない」という意見を見て、確かに、と思ってそこで初めてNetflixなどいわゆる動画配信サイトについて疑問を持った。

そんな中、私はNetflixで普段は見ない連続ドラマを見始めた。エレン・ペイジが好きなので。アンブレラ・アカデミーというドラマで、たいていのドラマだと序盤で飽きてしまう私が面白く中盤まで見続けた。

そこでふと思ったのだ。「あれ、これシーズン1って書いてある、、、」と。シーズン1と書いてあるということはその先も続くということだ。あれ、じゃあこれシーズン1で話が終わらないの?と思って、ネタバレサイトを見たら、どうやらすっぱりとは終わらず、続編が明らかにありそうな終わり方らしい。ではシーズン2の制作は決まっているの?と調べたら、まだ決まってはいないらしい。

なんということだ!!

これって普段から洋ドラを見ている人にとっては何今更当たり前のことを言っているのかと思われるかもしれないが、つまりこれってきちんと終わるかわからない物語を消費しているということでしょう?

こういう作られ方をしても、人気がでなかったらシーズン2は作られないのだし。


私が映画や本や漫画やその他ストーリー、物語があるものが好きなのは終わるからだ。一つの物語を最初から最後まで語るということは、人生にどういう意味を見つけるかということと同じことだと思っている。つまり人生というものにどう決着をつけて、どう結論をつけるかということを、ストーリーを通じて体験して学んでいるのだ。私はその過程が好きだ。ストーリーを体験するということは、たとえその映画でキャラクターの人生全部が描かれなかったとしても、人間というものの人生を俯瞰して追体験するということだと思っていて、私にとってはそれはセラピーに近い。

つまり私は、ストーリーを通じて、作り手は人生というものをどう思っているの?ということを知りたいのだ。

でも続編が作られるかどうかわからない連続ドラマではその結論は得られないのだ。私がこんなに真剣に見て、感じて、大好きになったアンブレラアカデミーのキャラクターたちの人生がどうなるかがわからないかもしれないなんて。


それに気づいた私は、一気にこのドラマを見る気が失せてしまった。


終わりを語るかどうかは人気のあるなしで決めます、という姿勢はクリエーターのものではない。正直ストーリーというものを舐めているのかと思う。この時初めて、Netflixは作り手ではないのだ。常に最高収益を上げ続ける動画プラットフォームを作りたいIT企業なのだ。という事実が、私の心にのしかかった。つまりこれではYOUTUBEと何が違うのか。上がっている動画がすべてプロによって莫大な予算をかけて作られているということ以外に違いはない。私はこれからも終わりの約束されていないドラマは見ないと思う。

終わることが決まっていないストーリーを見るって、そこにある楽しみって結局1シーン1シーンがどのように繋がれているかというところを楽しむしかなくて、それは非常にインスタントすぎる楽しみ方なんじゃないの。本当に、その一瞬で終わってしまうではないか。その後には何も残らない。

それでも私はNetflixが好きだ、これからも見続ける。で、大きい映画会社が作れない中規模の良作映画をNetflixが作り、それが賞レースに食い込んでくることも良いと思う。でも、その傍らで、終わることを許されなかった連ドラのストーリーがあること、そしてそういうものを作品として顧客に観せるIT会社としてのNetflixの姿を頭から消し去ることはできないと思った。

追記。

これを書き終わってから、結局気になって残りのエピソードも観てしまった。やはりクラウスはメンヘラで可愛く、エレン・ペイジは素敵で可愛く、5号はイケメンで可愛く、ベンはうすぼんやりとしていて可愛く、良いドラマでありました。ああ、続きがみたい。しっかりと哲学を持った終わり方をしてほしい!楽しみにしてます、Netflix。

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